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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第二章 機械仕掛けの天使と死神と呼ばれた部隊
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人間サイズの凶器

地下の肉塊が放った叫び声は地上の神癒奈達の方にも届いていた。


「これは、何⁉︎」

「まさか、お前達! 地下に入ったのか⁉︎」

「どう言う事⁉︎ 地下に一体何があったの⁉︎」


慌てる施設の人にコリーは詰め寄る。


「く…どうせバレてるなら仕方ないか…生物兵器だよ、子供を母体とした肉塊を親として、薬を介して子供の細胞にそれと同じものを植え付け、寄生させて子を兵士として扱うものだ」

「そんな…!」


あまりの所業にコリーは驚愕するが、驚いてる暇はなかった。施設の人が子供に背中から刺されていたのだ。


「ゲホッ…!」


施設の人はそのまま倒れる。まっすぐ心臓のあたりをひと突きされたんだ、多分死んだだろう。だが次にこうなるのはコリーや神癒奈の番だ。


「オネーチャン…遊ボ?」

「だめっ!」


笑顔を浮かべながら、刃物に変形した手で切り掛かってくる子供。コリーは素早く腰のホルスターから拳銃を抜くと、斬られる前に拳銃から数発弾を撃ち、子供を殺した。


「…一体なんで…そうだ、神癒奈ちゃん!」


子供が暴れ出したのも驚きだが、そんな事よりも神癒奈の方が心配だと、コリーは思い、彼女に声をかける。

その時だった。


「つっ!」


肩に傷を負った神癒奈が部屋から飛び出してくる。刀こそ構えているが、その手は震えていた。


「神癒奈ちゃん! 大丈夫⁉︎」

「平気です! でも……子供達がっ!」


コリーの方に下がった神癒奈がそう言うと、部屋から子供がわらわらと出てきた。全員が腕を武器として変化させ、神癒奈達を襲おうとしてくる。

コリーから見て、神癒奈は、子供を殺すことに抵抗を感じているように見えた。


「残酷な話だけど、こうなった以上、子供を無傷で捕まえることなんてできない、殺すか瀕死に追い込む勢いで行って!」

「分かりました!」


コリーの指示を聞いて神癒奈はまっすぐ前へ駆け出す。


「焔月式抜刀術弐式!」


神癒奈が鞘から刀を抜くと、まず真正面に立っていた子供を一撃で斬り伏せた。同時に子供達も襲いかかってくるが、それを神癒奈は流れるように斬っていく。


「適応が早いね…!」


コリーは拳銃を一発一発丁寧に子供に撃ち込む。不思議なことに、その一発が命中した子供は、すぐに動きを止めて倒れた。死んではいないようだが、気絶はしている


「凄い…そんな小さな武器で、殺すことなく一撃で倒すだなんて」

「私の能力はフェイタルポイント、倒す相手のある部分に攻撃を打ち込むと、致命的なダメージを与えることができるの、今の攻撃は気絶を狙った、全員殺してしまっては事件の謎がわかんないしね」


そう説明しているうちに、子供達は倒し、二人は息をする暇が生まれる。


「この子供達はどうしましょう?」

「Eフォンの通知から、調査チームに連絡はいってるはず、その人達に任せて私たちも地下に潜ろう」

「はい!」


神癒奈とコリーは地下に向かう、この様子だと永戸達が心配だ。


ーーー


地下の方では永戸達は寄生体の親となる肉塊と対峙していた。


「地上の方はどうなってるんだ!」

「分かりません、ですが…この敵が影響を与えたのは明らかかと!」


振り返って通路の方を見るが、ここでこの親となるものを食い止めないと地上に流出してしまう。肉塊の親の方は最初こそ不定形な形をしていたが、巨大な人の形を取ると、部屋を隔てるガラスを破壊してこちらに襲いかかってきた。


「ライ! 手術台の子供を頼む!」

「任せた!」


肉塊が手術台を押し除けようとしたところを、ライが前に出て大きな盾を構えた。ガンっとぶつかる音がして、盾から発せられたバリアがそれを防ぐ。

彼の能力は防御能力のあるフィールドを生成する能力、盾があろうとなかろうと、攻撃を防ぐ盾を作ることができる能力だ。

バリアで敵が足止めを喰らっているうちに手術台の子供を助ける。やはり運が良かった、子供の方には何の施術も施されていない、この事件で恐らく唯一何事もなかった子になるであろう。


「いくぞ!」

「かしこまりました!」


永戸とフィアネリスは肉塊に対して攻撃を開始する。永戸はパイルブレードでまず斬りかかるが、肉体はそこまで固くないのか、斬った感触は容易く斬れた。


「意外と簡単に斬れる…!」

「違います! マスター! 斬れてません! 相手は斬撃を肉体の変化で回避しています!」

「は⁉︎ じゃあどうやって倒せばいいんだ!」


もし肉体の変化で回避しているなら、通常の攻撃は通用しない。おもちゃのスライムを包丁で斬ろうとするようなものだ。


「なら白銀鉄針シルバーパイルは⁉︎」

「無駄です! これは能力者ではなくあくまで人体の改造による変化に過ぎません! 効果は見込めないかと!」


白銀鉄針もダメとなってしまっては打つ手がない。フィアネリスも先程から対艦槍の波動砲による攻撃をしているが、攻撃が避けられている。


「線や点の攻撃ではダメだ、面の攻撃でないと!」


ライがそう言った時だった、永戸が肉塊に殴られ、壁まで吹き飛ばされる。


「がっ……⁉︎」

「マスター!」


壁にもろに激突し、血を吐く永戸そのままぐらりと倒れかけるがフィアネリスに支えられた。


「フィーネ……くそっ、面の攻撃ができる奴は炎を操れる神癒奈しかいない」

「いいえ、マスター、私がいます」

「でも、お前の装備はまだ試作段階じゃ…」

「試作段階でも充分効果は見込めるはずです。私にお任せを」


永戸に回復用のアンプルを打つと、フィアネリスは彼をその場に降ろし、肉塊の前に立った。


「こちらですよ、遊んでさしあげます」


そう言うと、対艦槍の波動砲をチャージし始める。肉塊がフィアネリスを追って攻撃を始めるが、彼女はそれをひらりとかわした。


(オーバーチャージまで20秒、持たせてみせます)


苛烈な連続攻撃を飛んで回避し、フィアネリスは武器のチャージを続ける。天輪もエネルギーの循環によりくるくると回転を始め、彼女の体内のエネルギーが波動砲の一箇所に集中していく。


「ふっ!」


隙を見ては槍で貫くもやはり効果がない、斬った箇所から、貫いた箇所から簡単に傷が塞がれていく。


「っ!?」


肉塊が悲鳴をあげてはフィアネリスを捉え、勢いをつけて殴ってきた。その一撃に、彼女は盾で防ごうとするも、盾は吹き飛ばされ、同時に、彼女の左肩から先が無くなった。

身体に甚大なダメージを負ったが、それもここまでだ。彼女は槍をまっすぐ向けると、高らかに叫んだ。


「オーバーチャージ確認、ハイパードライブシステム解放! これで、お終いといたしましょう!」


トリガーを引くと、彼女の持つ対艦槍の砲身から、連続で波動砲が放たれた。マシンガンを連射するかのように波動砲が放たれ。その攻撃は、肉塊に直撃する。

流石に一発は回避できても、連続して放たれた波動砲の回避はできないようで、肉塊は、彼女の攻撃によりバラバラに弾けた。


「っ……やりましたね」


地面に降り立つと、ガクッと倒れそうになるが、フィアネリスはそれに槍を地面に刺して耐える。


「フィーネ! 無事か…!」

「…ふふふっ、ええ、勿論」


永戸は傷ついた身体でフィアネリスの方へ歩み寄り、肩を持ち上げる。ダメージの量では彼女の方がひどいはずなのに、彼女は余裕の表情をしていた。


「永戸さん! 無事ですか!」

「先輩! そっちの仕事は…」


ようやく、神癒奈とコリーがやってきた。それを見た途端、永戸は地上の方は片付いたんだなとふぅっと息を吐いた。


「永戸さん! フィアネリスさん! ライさん! 大丈……ぶ……」


神癒奈は3人が大丈夫か駆け寄るが、フィアネリスの身体を見て絶句した。

肩から先が無くなっているのを見て、驚いたが、それだけじゃない。


「フィアネリスさん……なんですか…その身体は」

「あぁ、これですか」


絶句する神癒奈をよそに、フィアネリスは余裕そうに話す。

神癒奈が見た彼女の傷は、血肉が溢れた傷ではなく、鉄と人工血液が流れた機械の体であったからだ。


「そう言えば、話してませんでしたね、私についてのことを」

「フィアネリスさんについてって……」


自分の体が傷ついてるのに、彼女は痛みで苦しむことなく笑うと、こう言った。


「私は、普通の天使ではありません、機械の体でできた、作り物の天使なのですよ」

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