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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第二章 機械仕掛けの天使と死神と呼ばれた部隊
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晴れて入隊

「えーそれでは、神癒奈君の入隊を記念して、乾杯!」

「かんぱーい!」


本入隊試験を終えた後、神癒奈は晴れて異世界特別調査隊四課の入隊が決まり、その後、四課のメンバーと共に、入隊記念の新人歓迎会が開かれた。


「いやぁ、常に人手不足な四課に新しい子が入ってきてくれて、私は嬉しいよ、これから、頑張ってくれたまえ」

「はい! よろしくお願いします!」


ユリウスから入隊を歓迎され、神癒奈は固くなりながらもぺこぺこと頭を下げた。


「噂じゃ試験とはいえあのレイモンドを倒しただって? 彼は三課のエースの一人、よく倒せたものだ、凄いじゃないか」

「えへへ…なんとかなりました」


ライからも褒められ、神癒奈は照れてしまう。


「その後の適性検査でも妖力Sクラスの結果を叩き出したんだって? 凄いよ!」


コリーからはその後の適性検査の話がされた。実技試験の後、適性検査が行われたのだが、その際に体内の魔力や妖力の量、質を調べられたが、その検査で見事にSランクの結果が出た。

どうやら体内に保有している妖力が普通の何百倍もの量で、尚且つ透き通ったとても質の良いものだと言われた。九尾の狐と言われるのも納得な力である。

流石は九尾の狐と四課のメンバーは大喜びで神癒奈を迎えて、今に至る。


「この実力なら、即戦力としてすぐに現場で活躍できるだろう。これからいろんな任務をこなしてもらうが、なんとでもなるだろう」

「はい! 精一杯頑張ります!」


またペコペコとするが、酒の席か、話題はすぐに雑談へと移った。


「で、これからどこに住むつもりだい?」

「永戸さんとフィアネリスさんの家で暫くはお世話になろうかなと思います」

「この男の家で⁉︎ 冗談だろう? こんな堅物が家に女を呼び込むなんて」

「堅物言うな」


ライの茶化しに永戸はジュースを飲みながら答える。そう言う神癒奈はどういうことかわからず頭にハテナを浮かべるが、直後フィアネリスから「気にしなくて結構です♪」と言われた。


「四課ってそんなに人いないんですか?」

「一応他にも人はいるが、今は長期任務中で出払ってる、今いるのはこの6人だけだ」

「ブラックな仕事をする部隊の割に人数が少ないんですね?」

「ありえない仕事をしますから。異世界での汚職や事案はどこでも起きますけど、ここの課で取り扱われるのはその中でも稀な危険な事案や歴史に影響を及ぼすものですので、それに、必要とあらば他の部隊と連携して戦えますからね」


コリーの説明に神癒奈は納得する。必要とあらば他の部隊まで動かせる権限まであると考えると、確かに人数不足でもどうにでもなるのかなと思った。


「だが戦力としては選りすぐりだ、全員特殊能力を持ち、専用の武器や装備が与えられている。単独での作戦行動も可能なんだ、ただ難点としては歴史に名を残すことはない、という点かな」


ライから言われ、神癒奈は永戸と一緒に戦ったことを思い出す。対能力者用の白銀鉄芯シルバーパイルや、肉体強化などの特殊能力、そして極め付けに切り札の聖剣と確かに強力なものばかりを持っていた。


「そうだ! 装備で思い出したんだけど、開発部が神癒奈ちゃん用の制服を作ってくれたの! これ、入隊祝いに渡すね!」


そうしてコリーから渡されたのは、赤と白の柄をした服装だった、まだ袋から未開封なのでどんなものかは分からないが、これから自分はこれを着て仕事に出るんだと思うと、神癒奈は胸が高まった。


「見た目は普通の服だけど、防弾、防刃性が高くて、尚且つ神癒奈ちゃん用に焔の能力を阻害せず、より扱いやすくできるように作られた制服だから、着るとすっごい馴染むよ!」

「それは凄いですね、ありがたくいただきます!」


制服を頂くと、コリーは嬉しそうに笑った。


「所で、相変わらず永戸は酒を飲まないな、せっかくこんな席なのに、好きじゃないのかい?」

「嫌いではないけど、飲むのが苦手なだけだ」

「相変わらず子供舌だなぁ、つまみはよく食べるくせに」

「任務でレーションとか食わされるから余計に食いたくなるんだよ、気にすんな」


そう言う永戸はさっきからコーラとつまみを交互に飲み食いしている。さっきから肉とか食べてたりする辺り、ああ見えて子供じみた舌なのかもしれない


「確かに、あのレーションの味のひどさときたら酷いものだ、神癒奈はあのレーションは食べたかい?」

「確か、永戸さんと最初に会った時に頂きましたね。とても食べれる味がしませんでした…」

「嘘? 永戸、さてはレーションを押し付けようとしたな?」

「別にいいだろ、お前だってレーションを不味く食べる癖に」

「だからと言って赤の他人に押し付ける奴がいるか」


仕方ないじゃん不味かったんだからとぶつぶつ文句を言う永戸。神癒奈はそれを聞きながら、出された料理をもぐもぐと食べていく。


「こっちもこっちで食欲旺盛だな。どうだい? 異世界で食べる美味い食事は」

「はい! とても美味しいです!」

「それならよかった、この街にはまだ色々な美味いお店やいいところがたくさんあるから、気が向いたら歩き回るといいよ。ただ、一つ問題があるとすれば…」


ライが何か言いかけた途端、外で爆発音が聞こえた。なんだかんだと神癒奈は窓から外を見るが、外を見れば銃を持った男達が銀行強盗を行なってた。


「治安が途轍もなく悪いところか汗」

「そんなこと言ってる場合ですか! 止めないと!」

「いや、いい、これは私たちの仕事の管轄に入らない、それに、じきに来るぞ」


そうライが言うと、街路の遠くから装甲車が走ってきて、中からわらわらと兵士が出てきた。あの格好には見覚えがある。イストリアの一般兵のものだ。


「ここでの犯罪行為は許さない!」


盾と拳銃や警棒を持った兵士達がすぐに強盗団に襲いかかると、あっという間に鎮圧された。それを見た永戸は慣れているのか、なんのリアクションもせずに言った。


「この街には警察こそいるが、イストリアの基地がある。何か事件があれば任務のない一般兵が緊急出動して警察よりも先に事件をあんな風に終わらせることができる。で、警察はその後始末を担当する。治安は悪いが、対応も早く、怪我人が出ても割と安心なのがこの都市だ」


永戸の説明を聞いた神癒奈はほっとする。だが同時に気になることがあった。


「なんでここそんなに治安が悪いんですか?」

「能力者や異世界から移住してきた民達が集まる都市だからさ、ヒーローもヴィランもうじゃうじゃ集まる物だから街全体が混沌としてるわけ、表向きは近未来のあらゆる技術が集まった住みやすい街だが、裏は正義と悪がぶつかり合う、そう言う街だ」


そう言い終えると、永戸はコーラを飲みほし、おかわりをとりにジュースサーバーへと向かった。


「な、慣れてるんですね、皆さん」

「まぁ、世界一危険で世界一安全な街って考えてくれればいい、一度住めば慣れるとも、気楽にいなさい」


神癒奈にそう言うと、ユリウスはカクテルを飲む。それを聞いた神癒奈ははぁ…とため息をつきながら頷いた。


「まぁ今日は飲んで食べたまえ、本格的な仕事は明日から始まるからね」

「はい、頂かせてもらいます」


そうして四課のメンバーは、酒と料理を嗜み、明日の仕事がどうなるかと考えながら、宴の席を楽しんだ。

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