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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第十章 白竜の女王と最硬の盾
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禁忌とされた者達

「私たちの…」

「アタシの…」

『抹殺??』


 フィアネリスが言ったことに、全員が疑問に思う。そのまま彼女は話を続ける。


「まずリオーネ様が何故狙われたか、恐らくはこれは向こうの四課の依頼主からの命令でしょう、リオーネ様は最近、竜の世界でも飛び出てきたと噂されてますね?」

「え、えぇ、まぁ、他の種族や自らの領土の竜の為に努力してるわ」

「恐らくは、その努力をして、竜の世界の中でも飛び出ようとしている貴方を気に食わないと思い、襲撃を企てたのでしょう。まずこれが第一の理由です」

「待ちなさいよ、って事は、今もアタシは狙われてるって事⁉︎」

「そうなりますね」


 その場の空気に合わないニッコリとした顔で言うフィアネリスに対して顔を青ざめながら絶句するリオーネ。狙われているとなるともう支援金どうのこうのの話ではない、このままいけば今日のような襲撃がまた続くと言うのだ。

 自国の民を巻き込むわけにはいかないとリオーネは頭を抱えた。


「じゃあアタシはどうすればいいのよ⁉︎ いつくるかわからない襲撃者に震えながら暮らさなきゃいけないわけ⁉︎」

「…貴方の身柄は、一時的に四課で保護した方がいいかと、ユリウス課長、宜しいですか?」

「ふむ…フィアネリス君の言う事ならば認めよう、リオーネ女王の身柄は、一時的に我々が預けさせてもらう、如何かな?」

「うぅ…どっちにしても襲われるなら仕方ないわ、いいわよ! アンタ達に従っても」


 リオーネから確認を取れたところで、フィアネリスは四課のメンバーの方へ向いた。


「さて…次は我々ですね。我々が狙われた理由は、"やりすぎた"のです」

「やりすぎた?」

「神癒奈さんの神の覚醒、桐枝さんの保護と入隊、マスターの零の能力の覚醒と、アズウルとの対峙、私の全知の力の覚醒、これ程連続して異能の力を手に入れ、尚且つ相応に危険な存在と対峙してきた私達は、恐らくは、他の支部の四課より抜きん出た存在になっているでしょう」

「それならそれでどうして襲う理由があるんですか?」


 納得のいかない神癒奈に対して、フィアネリスはこう答えた。


「力を持ちすぎた事により、今この支部の四課は、他の一部の支部から危険な存在として目をつけられています、仮に部隊丸ごと組織からの離反などが起きた場合、止められるかどうかわからない部隊として。恐らくは、我々を"禁忌"とみなして行動している者達もいるかと」


 禁忌と聞いて四課のメンバー全員が息を呑んだ。今の四課なら確かに危険と言われる者達も多い。だがだからと言って他の支部から消される理由にはならないはずだ。


「消される理由にはならない、そう思いたいでしょうけれど、我々が関わってきたこれまでは、全て一歩間違えれば世界を滅ぼせる話だったのです」


 するとフィアネリスは自分の手を胸に当てて、確認するように答えた。


「私、フィアネリスに与えられた全知の能力、これを使えば、世界の情報は思うがままです。個人情報や銀行の口座番号なんて軽い話、下手をすれば世界がひた隠しにする真実にまで手を触れる事ができます」


 それを聞かせると、フィアネリスは胸に当てた手をキュッと握りしめた。

 確かにこの能力は、どんな情報にも手を出せるのは便利である反面、どんなに厳重に保管された情報でも引き出せる危険な能力となってしまうだろう。

 続いてフィアネリスは桐枝に手を伸ばした。


「桐枝さんの光の戦士、その能力の詳細はただの光を発する能力なんかではありません、その能力は外宇宙から来た存在、……つまり、異星人から与えられた力です。本来のその力はただの光ではなく、世界に対する外敵への浄化装置みたいなものです」

「えぇっ⁉︎ い、異星人⁉︎」


 フィアネリスの発言に桐枝は驚愕する。

 桐枝が異世界に召喚されて、あの時助けた光る巨人、あの時は彼女はただの魔物か何かかと思っていたが、だがそれが外宇宙から来た異星人で、自分の力がその異星人から与えられた力だなんてとても思わなかった。まるで朝のテレビでやる子供向けの特撮作品みたいな話で、桐枝には理解できなかった。

 次にフィアネリスは神癒奈に手を向ける。


「神癒奈さん……分かってはいると思うでしょうけれど、貴方に芽生えた神の力は想像を超えるモノです。その力があれば世界を滅ぼす事も、変える事も、貴方の思うがままでしょう。どうか、その力の使い方を決して誤らぬよう、お願いします」

「…はい、分かりました」


 フィアネリスに忠告され、神癒奈は頷く。

 今はまだ小さな改変しか試していないが、できる事が増えていけば、いつかは世界をも変える事ができるであろう。あの全能神、ゼウスの娘であるのならばと、神癒奈は心で思った。

 そしてフィアネリスは永戸の方へ手を伸ばす。


「マスター、貴方の力、零は、世界から与えられた対能力者用の力、そのまま使っても充分強い力ですが、その真価は、暴走した能力者や世界への脅威に対しての特効薬となるモノです。貴方の存在そのものが、抑止力になります」

「…あぁ」


 永戸はフィアネリスの顔をじっと見て、拳を握りしめた。

 今の彼ならどんな能力者にも立ち向かえるだろう。その力は、彼を本当の"英雄殺し"とさせるもので、いずれ対峙するアズウルに対しての切り札となるものだ。そのことを思った永戸は、彼と戦う事が自分の使命だと深く心に刻みつけた。

 そうして説明を終えて、フィアネリスは総括する。


「ここまで聞いて、皆気づいたでしょう。今のこの部隊は、どの世界も動かせる、強力で、そして最も危険な部隊であると、だから、刺客が送られた」


 そう彼女がまとめると、四課のメンバーは重く頷いた。今自分達が、大きな力を持っていることと同時に危険視されている事、それに気づき、彼らはこの次はどうするか考える。


「それで、これからどうする? このまま私達がやられるわけにはいかないだろう、リオーネ女王の事もあるし」


 ライがそう言うと、ユリウスは首に手を当て、考えながら口にした。


「ならば、こちらから打って出ようではないか、フィアネリス君、そこまで言って、打開策がないと言うわけではないのだろう?」

「ええ、まずは敵の情報ですが、これを見てください」


 そう言うと、フィアネリスは先ほど戦って倒した首輪付きの兵士の首輪の映像を出した。


「この首輪はただの首輪ではありません、本来ならこれは囚人に使われる首輪です。ですが、この首輪は特別で、イストリアにナンバーで管理され、追加で自決用の爆薬が仕込まれています。この首輪を四課で採用しているのは、第108支部の四課、通称『処刑隊』です」

「処刑隊? 死神部隊じゃないんですか?」


 神癒奈が質問をすると、フィアネリスが指をふる。すると映像が切り替わり、第108支部の四課の情報が出てくる。そこには、首輪をつけた兵士たちの情報が出てきた。


「確かに、同じ死神部隊という扱いではあります。ですが、第108支部の四課は特殊で、隊員が全て、犯罪を犯した死刑囚で構成されているのです。戦闘で使われる武器も使い捨てを想定した質より量の短期決戦用の武器、能力もまちまちです」

「だけど、相手は死刑囚でも同じ危険度の高い任務を目的とした四課なんだろ? 俺達に対抗する為の武器も持ち合わせている、そうだろ?」

「ええ、彼らは数で押してきますが、装備や戦闘力が高い者が整った状態ならば戦力はこちらと同等になる筈、今回の襲撃は小手調べにすぎません」


 さっきよりももっと強いのがくるのかと全員頭を抱えたくなる。だがそれでも戦うしかないと腹を括ると、桐枝が手を挙げた。


「だったら、今度は相手が動く前にこっちでなんか対策を立てるってのはどうっすか? 罠でもいいし攻めてもいいし」

「攻めるのはリオーネ女王がいる限り得策ではないな」

「なによアタシが邪魔なわけ?」

「そうじゃない、攻めるとなると誰がリオーネ女王のおもりをするって話になるんだよ」

「あーーーー! おもりって言ったー! アタシを赤ん坊扱いしてー!」


 プンスコとリオーネが怒る事をよそに永戸は考える。


「と、すると……やるとしたら逆」

「罠にかける方式…ですね?」


 罠にかけると聞いてエイルがキラキラした目で永戸を見てきた。しれっと彼女はアラクネと蜘蛛の能力を活かしてトラップの設置技術を習得している。彼女の四課の万能屋の肩書きは伊達ではない。


「罠って言ったって、エサはどうするんすか? いくらきりちゃん達が危険だからって相手はそう簡単に動くはずがないっすよ?」

「だろうな、だが、手札はある」

「手札って?」

「神癒奈、そしてリオーネ女王、2人に頼む事だ」


 永戸の発言に、神癒奈とリオーネは互いに目を合わせた。


「2人とも一国の王の立場にいる、だったら、そういう会談もあり得る話だ」

「……まさか……アンタ」


 嫌な予感を察知してリオーネは顔を青くする。


「2人だけの非武装の会談を装って奴らを引き摺り出す、引き摺り出したらそいつらを丸ごと使える戦力を全て使って吹っ飛ばす」

「い…嫌ぁああああああああ!」


 永戸の無慈悲な作戦立案に、リオーネが悲鳴をあげた。

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