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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第十章 白竜の女王と最硬の盾
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首輪付き

リオーネ達の護衛を兼ねた、敵性勢力との戦闘が始まった。前衛に立つ永戸達が、まず敵とぶつかり合う。


「どこの勢力だか知らないが! よくも車を吹っ飛ばしてくれたな!」


ガンブレードで加速した一撃を入れ、敵を切り裂く。


「早く帰りたかったのに、なんなんすかこいつら!」


遅れてきた桐枝も、特殊警棒を伸ばすと光を宿し、敵を叩く。その時、妙なものを見た。


「…首輪?」


前衛をしていた永戸達が見えたのは、少し大きな首輪をつけた人達だった。そして、彼らの持っていた武器が、どう言うことか、イストリアの正式装備であるものばかりだった。


「どう言うことですか⁉︎ なんでイストリアの装備をした人達がこんな事を⁉︎」


一番のアタッカーである神癒奈も困惑しながら戦っていた。大火力の焔で一面を焼き払い、寄りつく者を薙ぎ倒していくが、数が多いのか、次々と敵は現れる。


「少しお待ちを……!」


フィアネリスが神癒奈の後ろに下がり、全知による観測を開始する。周辺情報が暴かれ、四課全員に情報が共有されるが、同時にフィアネリスが驚愕した。


「これは……相手は敵ではございません! 我々と同じイストリアの者、それも、特別調査隊四課です!」

「同じ四課⁉︎ 四課って一つしか存在しないんじゃないんですか⁉︎ そもそも同じイストリアが何故敵に⁉︎」


味方であるはずの者たちとわかると、神癒奈の攻撃が一瞬収まる、その一瞬を突かれ、目の前に立たれ、剣が振り上げられた。

だがそれを、ユリウスが聖剣の一撃で食い止める。


「我々と彼らは確かにイストリアだが恐らくは別の支部の物だろう! 我々は第61支部、彼らはそれとは別の支部だ! 彼らの目的は分からないが、手加減をしてはならない! 相手も殺しのエキスパートの四課だからだ!」


課長のユリウスが聖剣とレイピアで次々と同じ四課の敵を倒す。その時だった。首輪からピピッと音が鳴ると倒した敵が死にかけの体でユリウスに抱きつき、首輪が爆発した。


「課長!」


永戸がユリウスの方へ行こうと聖剣を引き抜き、切り掛かってきた敵を両断する。するとこちらも首輪が爆発した。


「永戸さん! そんな!」

「いえ! 2人は無事です!」


フィアネリスのその言葉を聞くと、爆発の中から2人が出てきた、どちらもなんとか無傷のようだ。


「まさか初歩的な防御魔法に救われるなんてね」

「大戦時の経験のお陰です、魔力適性のない俺でも使える防御魔法がこんなところで役に立つんですからね」

「人間爆弾とは随分倫理に反する戦術じゃないか、これで四課を名乗る辺り、舐められたものだと思うよ」

「ええ、そう思います」


2人でそう言うと、永戸とユリウスは互いの聖剣を重ね合わせる。直後、互いの聖剣が呼応し、光を放つ。


「できれば話し合いで事を済ませたいが、相手はそうはさせてくれないようだ。神癒奈君、少し下がって桐枝君を守りながら戦うんだ、代わりにフィアネリス君が前線に出なさい」

「了解です!」

「了解っす!」

「かしこまりました」


そうして陣形が変更され、大戦経験者の三人が前に出る。


「かかってくるといい、本当の死神はどちらか、教えてあげよう」


三人が前に出て爆発が轟く中敵を次々と倒していく。それを見守りながら、神癒奈は奥の方からやってくる敵を焼き払う。


「これ、きりちゃんの仕事がないっすね」

「桐枝さんや私はまだ戦いの経験は少ないですからね、課長はきっと気を遣ってくれたんですよ」


そうは言いつつも敵は突破してくる。それを神癒奈が手を一振りすると、刀を抜く事もなく、敵が上半身と下半身が真っ二つになって倒れる。


「ひ…ひぇ、神癒奈先輩も結構エグい強さしてるっすよね」

「神様ですから」


前線がうまく構築できているため、後衛のコリーやエイル達は安心して射撃に集中できた。幸い、敵は一方向からしか来ていない、彼女たちがやるのは神癒奈が倒し損ねた敵を撃ち抜くだけのことだ


「同じイストリアが一体どうしてこんな戦いを…」

「コリーさん、口を動かす前に照準と手を動かしてください、いくら前線が安定してるとはいえ、安全とは限りませんから」


リオーネとエイザークを守りつつ、エイルとコリーは弾幕を張り続ける。


「あーんもう! なんなのよあいつら! なんでよりによってアタシがいる時に襲いに来るのよ!」

「女王様! 頭をお下げください!」


戦ってみて思ってのは個々の力はかなりまばらなものになっていると言うことだ、課長であるユリウスからすれば、四課にしては戦力が心許ないと感じた。


「心配するな! 君達は私が守る!」

「アンタ1人だけじゃ心配なのよ! 盾しか持ってない癖に!」


飛んでくる砲撃や銃弾から2人を大きな盾で守るライの姿に、リオーネは文句を言う。だが、今この場でリオーネ達を完全に守れているのは、ライの力あってのものだ。

しばらく戦っていると、戦いに来る首輪付きの兵士の数はだいぶ減った。だが、代わりとして、巨大な体を持つ亜人が首輪をつけてやってきた。


「いくらなんでもでかすぎるだろ!」


振り下ろされた拳を永戸は寸前で回避し、ガンブレードを突き刺し、発砲する。高威力の弾丸が腕に命中し、中で肉をバラバラに引き裂くが、亜人は痛みは感じても恐れずに永戸をもう片方の手で握り潰そうとした。


「光を宿せ、イクセリオス!」


つかもうとした手を聖剣で両断すると、それを使って飛び上がり、亜人の顔面にまで到達した。


「くたばれぇえええっ!」


そう彼が叫ぶと、上から光をまとった聖剣で亜人の体を真っ二つにした。


「これで気になる戦力は削げた感じかな?」


ユリウスも周辺の敵を一掃すると、周りを見渡す。自爆した兵士や倒れた兵士と色々な死体がある中、敵は恐れをなしたのか、撤退していった。


「……ひとまず、安全は確保できたみたいですね」

「ええ、兵士達にピックアップを要請しましょう、課長、よろしいですね?」

「うむ、そうしてもらえると助かる」


ふぅっと一息ついた全員は、端末から帰還用のヘリを呼んだ。

そうして待ってると、ヘリが到着し、全員が乗り込むこととなる。


「全く、アタシがいる時に襲撃だなんて、とんだ組織ね」

「申し訳ない、今回のケースはかなりの特例で、我々としても困惑しています」


ユリウスのその言葉でまぁいいわとリオーネが言うと、四課の人と共にヘリに乗り、基地の方へ戻った。


ーーー


基地に戻った四課のメンバーは、今回起きた騒動を上に報告し、自分達のオフィスに戻った。


「こんな事が起こるのなら、アタシの身も危ないわ、残念だけど、支援の方は無しにさせてもらうわ」

「誠に申し訳ない…」


リオーネからそう聞くと、ユリウスはうなだれた。

自分の視察中に襲撃が起きたのだ、支援を断ったのは協力者扱いを受けて後日また襲撃が起きたらたまったものではないからであろう。


「でも、どうしてリオーネさんがいる時に別の支部の、それも同じ課から攻撃を受けたのでしょうか? こんなことってあり得るんですか?」

「前例はない、他の支部の部隊と協力はあるけど、敵対することはなかった。だが今回は、明確に俺たちを襲撃してきた。どこの支部かはわからないが上からの報告待ちだな、とりあえずは」


永戸もどうしたらいいのかわからないのか、困った顔になっていた。

リオーネが機嫌を損ねた顔で帰ろうとしたその直後、目を閉じて情報を整理していたフィアネリスが目を開けて声を発した。


「お待ちを、今回の襲撃の情報、割り出せたかもしれません」


その言葉で、その場の全員がフィアネリスの方へ向いた。


「割り出せたって、アンタ、ただの襲撃だけで何が起きたかわかったって言うの?」

「ええ、断片的にですが情報を得られました」


不敵な笑顔を見せると、フィアネリスはこう言った。


「あの時、何故襲撃を受けたか、狙われた理由は、リオーネ様と、我々の抹殺です」

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