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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第九章 復讐の勇者と英雄達の晩餐
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護る者達

 パーティー会場に、フル装備の四課のメンバーが揃う。


「マスター達は別の場所で戦闘中です、指揮は一時的に私が取ります、コリーさん、爆弾の解除をお願いします」

「もうやってる! えへへー、無線かつ市販品の低品質爆弾で良かった、すぐに解体できそうだよ」


 アタッシュケースに隠したパソコンから暴徒達のが取り付けていた爆弾の起爆装置を遠隔で解除する。幸い安物の信管が使われていたため、簡単に解除できた。


「ライさんは客とホテルの方を連れて後方へ下がってください、バリアは展開したままで」

「把握した」


 ライがタワーシールド"マウアー"を構えると、バリアが展開される。そして、客を集めると、後方に下がった。


「桐枝さん、エイルさんは私と戦闘を」

「ばっちこいっす」

「あぁ…戦わないといけないんですね…」


 桐枝は聖剣エルメイルを、エイルは触肢と合わせて四本のサブマシンガンVQー70を装備し、暴徒達に向ける。

 そしてフィアネリスはラストダンサーの装備を光子バルカンにセットし、暴徒に向けて牽制射撃を行った。


「先に言っておきます、私達、こう見えてかなーり強いので、今のうちに投降した方が身のためですよ」

「話し合いで済むんならそれでいいっすけどねー」

「でも、仕事だから仕方ない…です」


 暴徒達が銃を撃ち始めると、戦闘が始まった。敵の使う弾は特殊な儀礼弾、かするだけでも即死と非常に危険な弾だ。エイルは糸を使ってテーブルを引き寄せると、それをバラバラに倒して簡単なバリケードを作る。そして、バリケードの隙間から、エイルはサブマシンガンで射撃を始めた。


「ぐあっ!」

「撃ってきやがった!」

「爆薬を起動させろ!」

「そんなこと言われたって…!」


 爆弾は解除済みだが、自分もろとも爆死するのは怖いのか、暴徒達は爆弾に手をつけるかどうか焦りを見せる。


「死ぬ覚悟もなくここに来たのですか。言うこと言う割には…愚かですね」


 フィアネリスがシールドビットを展開しながら非殺傷のパラライザーに変換した光子バルカンを連射し、暴徒達を次々と撃ち倒していく。接近すれば槍も交えた格闘で薙ぎ倒す。


「たぁー!」


 桐枝がエルメイルを振り回し、暴徒達を廊下へと追いやる。すると廊下から別の攻撃が暴徒に飛んできた。


「三課も負けるな! 意地を見せろ!」


 レイモンドがトンファーを両手に暴徒を殴り飛ばしていた。他の三課の隊員も盾と棍棒を持ちながら暴徒を制圧していく。


「この調子なら制圧は簡単にできそうっすね!」

『そうだね、困る事はなさそう…いや、ちょっと待って! この建物に何かが近づいてる!』


 すると、壁を突き破って巨大なロボットが入り込んできた。どうやらこれも暴徒達の所有物らしく、重装甲に覆われたロボットは両手のバルカンをライが守る客の方に向けた。


「あぶないっ!」


 エイルが糸でロボットの両手を引っ張り、攻撃を逸らさせる。そのまま触肢のサブマシンガンで射撃を行うが、非殺傷の弾丸になっているためダメージは入らない。ならばと彼女専用の武器であるバトルアックス"アンダーカバー"を背中から取ると、それを掲げて斬りかかった。

 攻撃は命中するが、相当分厚い装甲なのか、弾かれてしまう。


「この兵器、簡単に攻撃が通りません…!」

「では私がやります! エイルさん、コリーさん! 桐枝さんの援護をお願いします!」

『わかったよ!』

「わかりましたっ」


 コリーがハンドガンを持つと、暴徒を鎮圧すべく動き出す。エイルもバトルアックスを片手に暴徒を相手にし始めた。


「これだけ大きければ制圧するのも一苦労ですね!」


 フィアネリスは光子バルカンからライトニング波動砲にモードをチェンジさせると、チャージして放つ。それが命中すると、ロボットを中から壊す。


「まだまだ!」


 続けてレーザーを照射し、表面の装甲をひたすら焼く。するとロボットが脚部となるタイヤを回転させて走って押し潰そうとしてきた。


「くっ…うぅうううっ!」


 強力なパワーで押されるが、フィアネリスは盾とビットで抑え込み、スラスターを噴射してゆっくり押し返した。


「これでも喰らいなさい!」


 ビームサーベルを発振させると、ロボットの脇腹を切りつけ、そのまま背後に回ると波動砲で背後にあったラジエーターを狙い撃つ。

 ラジエーターを撃ち抜かれた事でロボットは熱暴走を起こすが、予備のラジエーターがあるのか、全身の装甲を開いて熱を放出する。


「まだ動く気のようですね、いいでしょう、スクラップになるまで相手してあげますよ」


 フィアネリスも本気なのか、なるべく被害を増やさない装備に変更すると、ロボットに立ち向かった。


 ーーー


 一方、永戸とヒカルとの対決は熾烈を極めていた。


「このっ!」

「ちぃっ!」


 ヒカルが勇者の能力で高威力の斬撃を放つのを、永戸は寸前で避ける。カウンターでブレイズエッジの弾丸を叩き込むが、非殺傷弾では怯む程度で全然痛みもしない。


「いつまでそんなおもちゃで戦うつもり⁉︎」


 ヒカルも舐めた攻撃に対して苛立っているのか、徐々に攻撃を強めていく。


「あいにくとこっちは殺すなと命令されてるんでね!」


 ブレイズエッジを六連早撃ちするも、全て弾かれる、気がつくと非殺傷の弾丸が尽きていた。


(不味い…残るは殺傷型の魔力弾しかないぞ!)


 いくら勇者とはいえ、.44マグナムの強力な魔力弾を喰らえば、傷がつくだけでは済まない、永戸はブレイズエッジをしまうと、徒手空拳で戦い始めた。


「武器なしだなんて、舐めてるの!」


 ヒカルが光の斬撃を連続で放つ中、永戸はその場に落ちていた椅子を持ち上げて投げてそれを盾にし、接近する。そして、彼女の剣を蹴り上げた。


「なっ!」

「武器は何も、ないわけじゃない!」


 ヒカルから剣を奪うと、空中で二回回転して斬り込んだ、ここで初めてヒカルにダメージが入り、彼女は一歩下がる。


「私の剣を…返して!」

「甘いんだよ! 何もかも!」


 永戸は飛び込むと剣で斬っていく。本来であれば殺傷武器の為使うのは躊躇われるが今は緊急時だ、使えるものはなんでも使うと永戸は斬りかかる。


「このっ!」

「白刃取り⁉︎」


 だが、ヒカルはなんと永戸の斬撃を白刃取りしてみせた。零の力で出力を上げて振り下ろそうとするも、彼女はパワーで押し返し、剣を奪い返す。


「死ねぇええっ!」

「っ!」


 剣を握ったヒカルが剣を振り下ろす。完全に隙を晒した永戸、あわやと思われた時だった。


「きた!」

「何っ⁉︎」


 転移のゲートが開き、そこから聖剣イクセリオスが射出される。フィアネリスの武器の使用許可が間に合ったのだ。永戸はそれを取ると、逆手で攻撃を受け止めた。


「聖剣レイマルク…返せっ! それは、私達の剣よ!」

「違う! これは、ケイから託された俺の剣だ! 光を宿せ! イクセリオス!」


 イクセリオスから光が放たれ、威力を抑えた放射状の刀身となる。その光でヒカルの目をくらませると、三連続斬りを行い、彼女に打撃を与えた。


「レイマルク…本来の持ち主に楯突こうっていうの!」

「違うな、今のこの剣、イクセリオスは、俺に合わせて生まれ変わったレイマルク、ケイの遺志は、俺が受け継いだ!」


 光を放つ聖剣を手に、永戸はヒカルに飛び込む。ヒカルも迎撃で光を放つ剣をぶつけ合った。


「英雄殺しの貴方が! 崇高だった兄さんの遺志を継ぐな!」

「だったら、お前にできるのか! なんの血も流さず、世界を救う事を!」


 永戸が弾くともう一つの専用武器、リヴァンジェンスⅡを転移ゲートから取り出し、ヒカルに構える。


「無理なんだよ、みんな仲良く世界を作りましょうなんてそんな事を完全にやり遂げるのは。仮にそれをやり遂げたとして、その先に待ち受けるのは個人の感情もない、クソつまらない管理社会だけだ!」

「だったら何故、貴方は殺し続ける道を選んだ!」


 ヒカルの問いに、永戸は目を伏せる。少し考えた後、彼は顔を上げると、真剣な眼差しで答えた。


「俺達が、明日を生きる為だ」


 そう言った瞬間、ガンブレードのブースターが点火し刀身が赤熱する。


「どれだけ大層な夢を抱えても、死んでしまったら元も子もない。お前か望む平和も、誰かが抱いた人と人ならざる者の調和も、自分が生きてなければ始まらない。これはゲームなんかじゃない、一度きりの命なんだ。だから平和とかどうのこうのと言う前に、誰かを犠牲にしてでも生き残って、その先にある未来を掴むしかなかった!」


 永戸のその言葉に、神癒奈は息を呑み、ヒカルは目を丸める。


「この世は蹴落としあいだ、貴族も貧民も関係ない、弱者と強者が混ざり合って、このクソッタレな世界のその中で、どれだけ血に汚れても、生きて生きて生き抜いて明日を迎えるために戦ってるんだ。夢について語るのは、生きる力を得てから言う事だ!」


 永戸はヒカルを睨みつけ、両手の剣を構える。


「けどな、殺すだけしか能のない俺でも、夢を護るくらいならできる、そこに生きる人の明日を護るくらいならやってやる! ただ殺すことだけしかできなくても、使い方次第では、人は英雄になれる!」


 永戸の想いに応え、イクセリオスの光が強まった。ヒカルはその光に恐れを感じ、一歩下がる。


「甘ったるい考えで世界を救えると思うなよクソガキ! 今から、本物の英雄って奴の覚悟を見せてやる!」


 そう言うと永戸は、両手の剣を構えながら走り出した。

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