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内包的リリーオブヴァレー  作者: COVID-19
-SAW-
3/20

葬-③

「……誰?」


 突然現れたその女に対し、鈴花は眉をひそめた。

 黒いベールを頭から足の爪先まですっぽりと被り、目元だけをのぞかせた女が、ベールの隙間から飛び出した手に腕時計を握っている。

 真夏の気温におよそ似つかわしくないその姿に面食らうも、鈴花はすぐに血相を変えた。


「返して」

「……」

「返してったら!」


 鈴花が掴みかかろうとすると、ベールの女はひらりと身をかわし、一目散に駆け出した。

 黒い布がふわりとひるがえり、大きなゆらめく影のように鈴花の視界を覆う。女は逃げ出した様子だった。鈴花もすぐに後を追う。


「待ちなさいって!」


 糸杉の並木を縫うように、ベールの女は走ってゆく。足が早く、鈴花が必死に後を追うも距離はなかなか縮まらない。

 やがてベールの女は薄暗い路地へと身を滑り込ませる。鈴花は女を見失わないよう、走り慣れない足を必死に動かしながら「待て」と繰り返した。

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