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第一章 四月その6
野山乃花先輩の冗談とも本気とも取れない数々の発言に僕が混乱していると、
「ハナちゃんはね、かなり変わってるけど教えるのは上手なんだよ?」
土屋旭先輩が笑いながら言う。
本当かよ、と思いながら野山先輩を見ると。
「チョキチョキ」
右手でVサインを作ってハサミの仕草で指を開いたり閉じたりしている。
「……」
「…疑っているな。少年」
「いや、疑っては…」
「このままでは私とのフラグは立たないぞ?」
「フラグ?」
「それどころかキミはそっちの旭か、同級生クンとのエンディングを迎えるであろう~」
今度は両手を前に出して何か“念“のようなものを送る仕草。
『あの両手からは何が放射されてるんだろう』
「それは好感度アップ的ななにか?」
「なんで疑問系なんですか。人の思考を読まないで下さいよ」
「突っ込だからキミの負け~」
「…」
「負けましたね。わへい君」
長峰友利も加わって僕を茶化す。
“四面楚歌”そんな言葉が頭をよぎった。