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最後まで、Yes。  作者: 上之下 皐月
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第五章 八月その17

「兄貴は…」

アッコちゃんが、目を細めながら口を開く。

「兄貴はさっさとハナさんに告白して付き合っちゃえばいいんだよ」

黒崎の眉がぴくりと動く。

「いつもハナさん、ハナさん、て」

以前にもリューリが言っていたが、昔からの関係を知っている人から見ると黒崎と野山先輩は、やはりそういう仲に見えるのだろうか。

しかしこの間、野山先輩に黒崎との事を聞いてみたが、その時は黒崎を意識している様子は見られなかった。

野山先輩やリューリの話を整理すると、黒崎と野山先輩、そしてリューリは同じ町内の公立中学校だった。

そして僕や黒崎より一つ歳上の野山先輩とリューリ。

黒崎も野山先輩もリューリも、同じカーリング部だったようだから二年間は一緒にプレーしていたことになる。

黒崎は小学生の頃からジュニア(小学生以下の集まり)に参加していたようだから、ひょっとしたらその頃から三人は知り合いなのかもしれない。

「モテるくせに彼女いないから、こういうことになるんだよ」

黒崎は何も言わない。

しかし、なんだろう?

妹に心配されている兄、と言われればそれまでだが。

妹というのは、ここまで兄の恋愛を気にするものだろうか。

黒崎が野山先輩を気にしている、それは言われてみれば納得出来る。

ただ、普段クールな黒崎がまさか自宅で野山先輩の名前を本当に連呼してるとは思えない。

この妹さんは普段から余程黒崎のことを気にしているのだろう。

「行こう、わへい。時間だ」

「あ、ああ…」

黒崎がさっさと席を立ち上がる。

アッコちゃんは納得いかない様子だった。

「ミツキさんが来るまで大人しくしてるんだぞ」

「はいはい。大人しくしてるわよ」

「にいちゃん勝ってねー」

それぞれの言葉を背に僕らは一階に下りていく。

“ミツキさん”というのは恐らく黒崎達の母親なのだろうが…。

それ以上詮索はしないことにする。

黒崎も、僕の家庭の事には詮索してこないのだから。

一階に下りると旭先輩と友利が来ていた。

「我がチーム最初の一戦だ!ンンン燃えてきたぁぁぁ!」

旭先輩が吠える。

この先輩、段々暑苦しさが増してきたな。

「やりますよ~わへい君」

ひょろひょろと友利が近付いてくる。

「とりあえず、怪我のないように、気楽に行こう」

黒崎がぽんと肩を叩く。

『よし、行くか』

僕らはカーリングホールに向かって歩き出した。











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