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最後まで、Yes。  作者: 上之下 皐月
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第四章 七月その1

七月。

他の部活同様、三年生の先輩達が引退した。

僕達カーリング部は新しい部長の下、再スタートを切ったのだった。

そして今までの練習に加え、私立学園のメンバーとのミックスダブルスの練習も行っていた。

ミックスダブルスの練習はいつもの四人で行う練習とは全く違っていた。

ミックスダブルスでは、ストーンを投げる人が基本的にそのまま自分でスイープを行う。

今までは旭先輩等が一緒にスイープし、ストーン速度(ウェイト)を判断してくれていた。

それを、デリバリーし、ウェイトをジャッジし、スイープしなければならない。

また、チームメイトのリューリがデリバリーする際は、僕がハウス側でスキップ役を行わなければならない。

今までは全く経験のない僕は戸惑うだけだった。

『これは個人種目だ…』

僕はそう理解した。

団体戦では個人で技量が劣ってもチームでカバー出来る。それが個人戦であれば、個人で全て行わなければならない。

僕にとってのミックスダブルスは、個人の技量を上げるまたとない機会だった。

そして、初めての練習からこっち、僕はリューリとの実力差をまざまざと見せつけられたのだった。

「ハウス側からではストーンのウェイトは分からないわ。スイーパーがジャッジして!」

ハウス側からリューリが叫ぶ。

「ウェイトはある…と思う!たぶん…」

「間違っても良いから堂々と言いなさい!間違った分、成長できるわ!」

「ウェイトは強い!8、9だ!」

「ラインはYes!ガードストーン越えさせて!」

「くっ!」

僕はスイープを始める。

それも、今までみたいにただひたすら力一杯行うだけではない。

ガードを越えるためには?

なるべく直進させたい方向を擦る。

擦り過ぎると?ただでさえ強いウェイトがもっと強くなる。

「越えろ!」

ストーンがガードストーンをぎりぎり越える。

「止めて(ウォー!)」

リューリに言われるまでもなく、僕も即座にスイープを止める。

ストーンは中心を過ぎ、ハウスの端に止まる。

「ダメかぁ!」

僕が叫ぶ。

「これならハウスの外の方が良かったかもしれないわ。私のジャッジミスね」

「いや、そもそも君の指示よりデリバリーが内側だったし、ウェイトも強かった。僕のデリバリーミスだね」

「それならあなたの技量を加味しない作戦を立てた私の作戦ミスだわ」

「ならちょっと厳しいなって思った時に言わなかった僕のチームメイトとしてのミスだろ」

そこまで言ってお互いにふっと笑い合う。

相変わらずの憎まれ口と皮肉の応酬。それ以外の会話が自然なものになってきていた。







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