第一章 四月その9
部長がカーリング場で終了の挨拶をすると、その場で解散となった。
女子達はロッカールームに向かい僕ら男子は受付の辺りで集まっていた。
改めて見ると、カーリング場はなんというか、華やかだった。
もちろん男性も多いが女性も多い。
僕らと入れ替わりに同い年くらいの集団が受付に現れる。
それは一目で“特別な”集団とわかった。
お揃いのユニフォーム。恐らくは個人個人で持っているであろうブラシとシューズ。
受付の係ともとても親しげだった。
「近くの私立学園の人達だね」
にゅっ、と現れるとはこういうことだ、というお手本のように野山先輩が現れる。
そのスタイルは部活前に見た、黒いキャスケットにヘッドフォン、首からタブレットPCという姿だった。
野山先輩からほのかに制汗スプレーの香りがして、どぎまぎしてしまう。
僕はひょっとして女性への免疫が思った以上にないのだろうか?
「私立学園ですか?」
「うん。小等校~中等校一貫教育。ここ数年で高等部が発足したとこ。カーリングは上手い集まりだわ(ノ-o-)ノ┫」
「…それ、どういう表情ですか…」
その集団は本当に華やかだった。
その中の一人とふ、と目が合う。
艶々した長い黒と金色の混ざった髪が印象に残った。
…そしてその後で切れ長の目尻がつり上がった強烈な眼差しで、睨まれた…ように感じた。
なんて言うか、そう、“蛇に睨まれた蛙”。
僕が目を反らせずにいると相手の方からふぃ、と視線を反らせた。
瞬間、どっと汗をかいている自分に気付く。
「…あの子とは関わらない方がええよー」
野山先輩が言うがそもそも僕はあの人とは積極的に関わりたくはない。
僕はよく分からない汗をかきながら、カーリング場を後にした。




