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ケイの一話完結小説  作者: ケイ
17/68

17.神「言われた通り出て来たぞ」

男「あ~、世の中には成功者がたくさんいるのに俺は32歳ニート。神は俺に何か恨みでもあるのか?」


男「クソ神が。いるんなら出てこい!」


神「言われた通り出て来たぞ」


男「え?うわー!」


神「なんだその驚きは出て来いって言うから出て来たのに」


男「あれは言葉の綾ってやつで」


神「そうか、用がないなら帰らせてもらう」


男「いえ、用はあります」


神「何じゃ」


男「俺をこんな風にしたあんたに恨みがあるんだ。どうして俺は不幸なんだ」


神「不幸?私が見る限り君は不幸には見えないが」


男「はあ~?あんた頭可笑しいんじゃないのか。俺は32歳ニートだぞ」


神「それがどうした、何か問題あるのか」


男「問題ありまくりだ、神なら俺を幸せにしろ」


神「お前はもうすでに幸せだぞ」


男「そんなわけねーだろう」


神「じゃあ、何でお前は自分を不幸だと思うんじゃ」


男「それは32歳なのに無職で」


神「無職でいいじゃないか。現にお前が働いていなくても世の中は回っておる」


男「それじゃー、生活できないだろ」


神「生活できているじゃないか。お前は親の金で毎日部屋で生活しておる」


男「そういう意味じゃなくて、何て言うのかなあ。普通の会社員みたく自分の稼ぎだけで生活しているような」


神「会社員が幸せじゃと思うのか」


男「え?」


神「会社員の中には毎日クタクタになるまで働き、ノルマはきつく、残業に休日出勤。お前みたいなニートを羨ましいと思う奴もいる。現に会社を辞めてしばらくの間無職になる奴もいる」


男「それでも俺は会社で働きたいの」


神「それなら働けばいいじゃないか」


男「32歳ニートだぞ。どこも雇ってくれねーよ」


神「何でそう決めつける。人手不足の会社なんてたくさんある。その気になれば1社くらいは就職できるんじゃないか」


男「そんな常に人手に悩んでいるような会社は嫌だ。大企業がいい」


神「何で大企業じゃないといけないんじゃ?」


男「やっぱ安定してるし、給料が高いから」


神「大企業は安定なんかしてないぞ。給料は高いかもしれないが、その代わり周りの人間はみんなエリートばかりだから出世競争は過酷じゃぞ。お前はそんな所で働きたいのか」


男「でも、中小企業よりはいいだろう」


神「何でそう決めつける。中小企業の中にだって安定していて、給料の高い所なんてたくさんある。決めつけるな」


男「う…でも」


神「本当のことを言ってやろう。お前が今も無職なのはお前自身が働きたくないと思っているからじゃ」


男「そんなわけねーだろう」


神「いや、お前は働きたいと言葉では言っているが、心の中では働きたくないと強く思っているのじゃ」


神「どうしてお前が働きたくないと思っているのか、それは学生時代のアルバイトが原因じゃ」


男「アルバイト?」


神「お前はバイト先でミスをし、お客さんにこっぴどく叱られた。そのことでお前はミスを怖がり最終的にミスをしたくないから働かないという思いができてしまったんじゃ」


男「そう言えば学生時代怒られて逃げるようにバイト辞めたんだっけ。そのことで親や友達は「根性ねーな」「1回怒られたくらいで逃げんなよ」ってバカにされたんだ。そのことが俺をさらに落ち込ませて、ますますミスが怖くなったんだ」


神「今やっとお前は原因を見つけた。原因なんて思い返してみると些細な事じゃよ。そんなことでイチイチ悩んでいるなんて時間の無駄じゃよ。お前は10年以上も無駄にしておる」


男「そうだな。バイトのミスを10年以上も引きずっていたのか。そう考えるとバカみたいだな」


神「そうじゃ、お前はバカじゃ。だが安心しろ世界中の人間は全員バカだ」


男「ひでーな、神様」


神「酷いも何も事実を言っただけじゃ。どうでもいいことでイチイチ時間を無駄にしておるんじゃぞ。これがバカ以外の何と言えばいいんじゃ」


男「ハハ、確かにそうだな。じゃあ、バカな俺はこれからどうしたらいいんだ?」


神「そんなの自分で考えろ。まあ、お前自身でもう答えは出ているじゃよ」


男「まあな」


神「じゃあ、さっそく行動しろ。いいか自分を変えるには、ワシのような神だったとしても他人に任せじゃダメじゃ。自分で行動することでしか変えることができないんじゃよ」


そう言って神は消えて行った


男「変な神だったな」




~面接~


面接官「では、面接を始めます。あなたは10年以上も職歴がありませんが我が社に入っても大丈夫ですか?」


男「大丈夫です。もう私は過去のことでクヨクヨするのはやめました。今までの時間を取り戻せるよう全力で働きます」




(終わり)

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