12.ケイ「弁当忘れた」
ケイ「見よろ、リョウ。桜きれいだな~」
リョウ「そうだな」
ケイ「やっぱり、春はお花見しないとな」
リョウ「そうだな」
ケイ「お花見って本当に素晴らしい」
リョウ「ああ、お前が弁当、酒を忘れなかったら本当に素晴らしかったな」
ケイ「ごめんてば」
リョウ「ありえねーよな。俺は道具担当で、お前は食料担当。しかも決めたのはお前のはずだが」
ケイ「本当ごめん。朝寝坊して急いで来たから」
リョウ「もういいよ。お前を責めたところで何も変わらないからな。金出すからどっかで何か買ってきてくれ」
ケイ「ああ、分かった」
~十数分後~
ケイ「近くにコンビニあったから買ってきたわ」
リョウ「どれどれ」
コンビニ袋には梅おにぎり10個と缶ビール2本が入っていた
リョウ「何で梅のおにぎりしかないんだよ?」
ケイ「何言ってんだ。桜なら梅だろ」
リョウ「そうかもしれないが、普通ツナマヨとか鮭とかも買ってくるもんだろう。しかも何で缶ビールは2本しかないんだ。これじゃーすぐ飲み終わるじゃねーか」
ケイ「仕方ないだろ。リョウが出した金じゃ2本が限界だったんだから」
リョウ「お前も金出せ」
ケイ「財布忘れたからない」
リョウ「クソ~、お前とは二度と花見には来ねーからな」
それから、2人は無言で梅おにぎりと缶ビールを飲食していた
ケイ(やべーな、絶対怒っているよ、どうしろう)
ケイ(…ま、時間が経てば怒りも治まるか)
リョウ(たく、ケイのせいでせっかく楽しいはずの花見が台無しだ。来年は1人で来よう)
リョウ(…冷静になって考えるとそれは寂しいな。俺ケイ以外と親しい人いないし。そういえば何でケイと仲良くなったんだっけ?)
リョウ(そういえば、1年の最初のガイダンスでたまたま隣の席に居て、なんか息が合ってそのまま仲良くなったよな)
リョウ(良く言えば運命の出会い、悪く言えばただの偶然の出会いか。それからお互いそれほど友達が欲しいってわけでもないから2人でよく遊んだな。コイツと疎遠になれば俺は1人ボッチになるのか?)
リョウ(そう考えると今の仲は大切にしないといけないかもな)
リョウ「ケイ、悪かったなちょっと言い過ぎた」
ケイ「…リョウ」
リョウ「とりあえず、謝っておくわ」
ケイ「俺の方こそごめん」
ケイ(何か分からんが、良かった良かった)
リョウ「桜も見たし、帰るか」
ケイ「そうだな」
(終わり)