第二話 もう一人の残念な後輩
二人目が登場です。どんな生徒かは、読んでのお楽しみ~
はあ、今日もわたしは憂鬱なのです。
姫と呼んでもいいと許したら、一緒に登下校する羽目になったのです。
わたしとジロちゃんが、登校していた時のことです。
「おい、みねみねともう少し仲良くしてやれよ」
「えっ、なんで。こっちは、迷惑してんだから、そんなの嫌よ」
「あんなに慕ってくれてんだ。少し仲良くするくらい、いいと思うぞ」
なんで、そんなこと言うのよジロちゃん。
にぶちんなんだから。
そういうとこ嫌いなのよ。
小次郎の顔を見上げ、雛子はそう思った。
「どした?」
「なんでもない」
「そうか、なんでもないなら、みねみね呼ぶか」
「うん・・・え~っ!!なんでそうなるの!!」
「こっちゃこい、みねみね~。お許しが出たぞ~」
「なっ、なっ」
雛子は訳が分からず、声を出すのも忘れてしまった。
「おい、みねみね。これからは、一緒に学校行こうな」
「はいっ!本田先輩。そして、姫。これからもよろしくおねがいします」
「あう、あ~っ」
わたしは、思いもよらない展開に、唖然とすることしか出来なかった。
そしていま、わたしとジロちゃんの後ろを、一歩下がって歩くみねみねがいる。
もう、諦めるしかないか。
これも、ジロちゃんのせいだ。
アホ!
そのとき、後姿でも分かる、清楚そうな黒髪ロングの女子生徒がいた。
ん?あの女の子、ふらふらしてる気がする。
なんか、こういうの前にもあった気が・・・
そして、女子生徒は倒れた。
あ~、やっぱり。
そのとき、一陣の風が横切った。
「大丈夫か君」
一陣の風の正体は、小次郎であった。
「気を失っている。早く何処かへ運ばなければ。しかしどこへ。うん、保健室がいい」
小次郎の脳内では、保健室一択であった。
小次郎が、お姫様抱っこをしようとした時、
「行け、みねみね。小次郎を止めろ」
「仰せのままに」
小次郎は、後ろ手に腕をみねみねに、固められた。
「いって~、くそっ、なにしやがる。放せみねみね!」
「だめです。姫の命令です」
「なんだと。おい、こらみねみね!この恩知らずが」
雛子は、そんな小次郎を無視して女子生徒の下へ歩いた。
「大丈夫、あなた?」
「はい・・・どうも、すみません」
女子生徒は、頭を上げ、雛子の顔を見た瞬間、ハッとした様子だった。
そして、みねみねと同じように気を失った。
昼休み
「ひめさま~、これからこのわたくしが~おむかえに~まいりますよ~♫」
そして、雛子が座っている席まで、その生徒は歩いて行った。
今朝の、女子生徒であった。
女子生徒は、雛子の前まで来ると、跪いた。
「姫様、やっと、お会いできました」
「えっ、あいっ、えっ?」
「今朝は、わたくしを助けてくださり、何とお礼を言っていいか」
教室の中の視線は、雛子と女子生徒に集まっていた。
居た堪れなくなった雛子は、
「ちょっ、ちょっと来て」
「は、はい?」
屋上へと、はてな顔の女子生徒を引っ張っていった。
教室には、集まっていた視線と、自分を指さす小次郎の姿があった。
屋上に着くと、雛子は女子生徒を問いただし始めた。
「なにいまの。1年のあいだでは、わたしをからかうのが流行ってんの?」
「ひめさまが、何を言っているのかわかりませんが、そんなことはないと思いますよ」
「だったらなんで!あんたといい、みねみねのやつといい」
「みねみね?だれです、それ」
「あんたとおなじ、1年よ。ああそうだ。あんたの名前は?」
「はっ、失礼いたしました。私の名前は、瑠璃ヶ丘 留美子と申します。よろしくお願いいたします」
「う~ん、あんまりよろしくしたくないけど。まあ、みねみねよりましかもね。それじゃ、これからは、
え~っと、るーるーって呼んでもいい?」
「は、はい」
うれしそうなるーるーの声が、屋上に響き渡った。
そのとき、騒ぎを聞きつけたみねみねがやってきた。
「ひめ~っ、ひめ~っ!!あっ、ここにいましたか」
みねみねの視線の先のはしに、もう一人誰かがいるのが見えた。
「なんだおまえ。姫をさらったのは、お前か!」
「ひめ、だと。お前ごときが、頭を上げ、姫様のことを、姫などと呼ぶことは許さん。這いつくばりなさい!無礼者め」
「無礼者だと。お前はいったいなんなのだ!」
「わたしは、姫様の侍女です。そんなことより、早く這いつくばりなさい」
「いい加減にしろ女。この、騎士たる我を、愚弄する気か!」
「騎士だと。笑わせるな。このチビが!」
「なんだと、垂れ目」
「うぐっ」
「あ、あの~、もうその辺にしたらどうかな」
雛子が口をはさんだ瞬間、びくりと肩が反応すると、二人が跪いた。
「「お、お見苦しいところをお見せしてしまい、すみませんでした~どうかお許しを~」」
ぴたりと息の合った二人の謝罪を見て、雛子は思った。
意外とこの二人、気が合うのではと。
三人目は、出てくるのか?こうご期待。