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投票結果

金曜日の朝、1-4組の教室はざわざわしていた。

桜井が教卓の前でダンボールで作った選挙箱を置いていて、時計を確認している。どうやらまだ来ていない生徒達を待っているようだ。

俺は勝てる気がしない。もうどうにでもなれっ!ってやけくそ気味だ。教室のドアが開き…


「秀太郎君おはよう…」


工藤が小さな声で挨拶して来た。教室の雑音で聞こえづらいが俺にははっきりと聞こえた。


「おはよう」


俺も笑顔で挨拶を返した。それに工藤は昨日よりも何処かしら笑顔に見えた。

そして俺達を助けた明は後ろで朝からぐっすり寝ている。本当に感謝するよ、明。

8時30分になり、生徒を殆ど揃ってるので桜井・不知火・俺の3人が前に立つ。不知火は何処かしら勝ち誇った顔をしている。そして桜井が中央に立ち口を開らく。


「今から、学級委員長の投票を始めます!今から紙を配るので、私達3人の内1人の名前を書いてこのボックスの中に入れて下さい。その間私達は廊下で待っています。5分後に戻って来るのでそれまでに書いて下さい。お願いします」


桜井は小さな白紙をクラス全員に配り、俺を含めた3人は廊下で待機した。その間も不知火は勝ち誇った顔で俺に喋って来る。


「秀太郎く〜ん君は勝つ自信ある〜?僕はちょっと自信ないかな〜」


やたら自信満々に行って来て逆に怖い感じがする。

すると桜井が割り込んで来た。


「みんなを引っ張る立場となるのに、自信が無いなんて学級委員長候補失格だわ」

「じょ、冗談だよ〜」


昨日の俺も同じ感じの事を考えていたな…無理だの諦めるなど…みんなを引っ張る者がそんなマイナス思考な事を考えるのはダメだよな。

そして5分後…


「5分が経過したわ。行くわよ」

「はいはい」

「あぁ」


3人はそれぞれの思いを胸に、教室へと入り黒板の前に立つ。


「今から投票結果を発表します。1枚1枚確認し、黒板に貼り付けて行きます」


桜井は3人の名字を書き、ダンボール箱の中を1枚1枚確認し名前が書いてある下に持参してきた黒いマグネットで貼り付けていく。静かな空間にただマグネットを貼り付ける音だけが聞こえる。


「これが最後の1票よ」


最後の票が貼られ結果が発表される。だけど俺は黒板の見れなかった……だけどビビっていけない…自分のこの目で確認しないと…勇気を振り絞って確認した。


不知火…6票


桜井…26票


秀太郎…2票


不明票…1


負けた……けど悔いは無いつもりだ。自分のやった事に非はない。やるべき事をやっただけだ。おめでとう桜井…


「私、桜井聡美が1-4組の学級委員長に就任致します。1年間よろしくお願いします」


一例の後に大きな拍手が起こった。だが1人だけこの状況を気にくわない奴がいた。


「なんで僕が学級委員長じゃ無いんだぁ⁉︎僕に入れなかった奴ら!渡したシャーペンと消しゴム返せ!!」


不知火は周りの生徒に食って掛かってた。これにて学級委員長の選挙は終わった。

席に着くと明が肩を叩いてきた


「ドンマイ!」

「気にして無いさ」

「本気かぁ〜?」

「当たり前だろ。こんな事でいじける訳ないだろ」


すると後ろから


「秀太郎君…」

「何だ?」

「今日お昼一緒に…食べていい?」


工藤は精一杯の声で言ってきた。この時、ある事を察した。まさか…


「もちろん。いいぜ!」

「秀太郎ファン第2号だな!」

「ファンってなんだよ。てか2号って…」

「ファン2号は工藤でファン1号は俺だ!」


この時分かった。誰が2票を俺に入れたのか、それと同時にもう1つ分かった。時間を掛けてもいい、ゆっくりでいい、人を知り、理解するのが大事だ。2票…側から見てばとても少ない数かもしれない。だけど今の俺にとってはとても大きな2票だ。この2票を大事しなければいけない。失わないように頑張らなければ。

生徒会長の道は遠い……だけど地道に頑張る。どんだけ遠い所にあっても…絶対に生徒会長になる!


「よーし俺のファンの2人にお茶を奢ってやる!」

「何茶だ?」

「十六茶だ!」

「僕は麦茶派かな…」

「俺は紅茶派だ!」

「つべこべ飲んでみろ!!行くぞ!!」


俺の長く楽しみな学校生活が今、始まる。

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