下着泥棒捕獲大作戦-2
3人は息の合った様にゆっくりと覗くとそこには、窓際の生徒の机に白髪のてっぺんが禿げた老人が女子生徒の体操着をニヤけながら見ていた。
「誰?」
3人の息の合った声に流石の老人も気づいたようだ。ゆっくりこちらを振り向くと机の上にある物が置いてあるのが見えた。包丁だ。
「あれって……包丁⁉︎」
「何⁉︎」
「包丁だと⁉︎」
驚く明、体育教師は再び汗が吹き出て床が水浸しになる。俺もびっくりして何歩か後ろへ引いてしまった。
「見たな…俺の楽しみを見たな…」
「見てない!見てない!」
3人は息の合う様に言い、首を振る。
だがおじいさんは体操着を床に置き、包丁を突き出しながら1歩1歩こちらに歩いて来た。ハァハア言いながら近づいて来る。老人はすごく焦っているだろう。自分のやってる光景を見られたことに。
「あんた先生だろ!何とかしろ!!」
「包丁相手にどうしろと言うんだ!」
先生と明が揉めてる間にも、老人は包丁と共に前進して来る。先ほどはニヤケてたのに今は無表情で接近してくる姿はかなり不気味だ。
「覚悟!」
老人は叫びと共に全速力で走り出して来た。老人とは思えない速度で迫り来る。
「来たぞぉぉ!!」
俺の声と共に3人は一斉に走り出す。あの老人に捕まったどうなるとか、後ろ何メートルにいるのか?など、一切考えずただひたすらに走る。
すると教室からゴッ!っと何かがぶつかる音が聞こえた。3人が振り向くと老人が倒れて気絶していた。
「おじいさん大丈夫…ですか?」
ゆっくりと近づき、老人をゆするが一切反応しない。
なぜ倒れたのだろう?疑問に思いあたりを見渡すと、教室の入り口に謎の水溜りが出来ていた。
「これは……あの先生汗か!」
あの体育教師は汗っかきでそれで出来た水溜りのようだ。
老人はその水溜りに滑ってこけて、頭を地面にぶつけたようだ。
明と体育教師もこちらに戻って来て、確認した。
「この老人が下着泥棒の犯人だったのか…?」
「そのようだな…」
「だからワシじゃないと言ってただろ」
「でも何で俺の体操袋持っていたんだ」
明が思い出したかのように体育教師に再び質問した瞬間、また汗が吹き出して来た。
「やっぱりお前も犯人の1人だろ!この変態!」
「変態じゃない!ワシはただ……ちょっと興味があって…」
「興味がある時点でダメだろ」
3人で再び揉め始めて数分後、確認した時には、倒れていたはずの老人がいなくなっていた。存在を完全に忘れていた。
ここは3階なのにどうやって逃げたのかすら、考える事は出来なかった。
「……」
逃した……その悔しさが心残りだ。
静まり返った廊下、唖然とする3人。
その時思った、学級委員長はやっぱり無理だ……案もなく口だけな自分も悪いし、人に頼ろうとした事も悪かった…これは自分に対する罰なんだろう…
体育教師とは夜の学校にいた事を秘密にする代わり、明が撮った動画は公表しないと言う約束で決着がついた。明は納得してない顔をしていたが、こうして下着泥棒捕獲作戦は終わった。




