下着泥棒捕獲大作戦-1
第5話 前書き
学級委員長になる為、票集めをしようとした矢先、桜井と不知火が予想以上の頑張りを見せていた。何も策がない秀太郎は、悩んでいたがそこへ明が学校に出没する下着泥棒の捕獲を提案する。その案に奇しくも乗る事にした。そしてその帰りに工藤という同じクラスの男子生徒が上級生に絡まれていたが秀太郎が助け、事なきを得た。その後秀太郎と明は午後6時に再び学校に集合することにした
明と午後6時に再び学校で落ち合う事にした。票が欲しい俺はどんな事をしても学級委員長になりたい…これで注目を浴びて一気に票を稼ぐ!
そして6時、学校の電灯もつき空は青黒くなり始めて学校の生徒達もちらほらと見える程度で、ほとんど帰って行った
駐輪場で制服を来た状態で待つ事になっている
制服で行く理由は先生に見つかっても言い訳をする為だ。その言い訳が効くかは分からないが私服で行くよりはマシだ
6時10分頃、コンビニ袋を持った明が急ぎ足で駐輪場に来た
「ごめんごめん!色々とコンビニで買ってたら…これから長期戦になるからな」
「何を買って来たんだ?」
コンビニ袋の中を見せてもらうと、紙カップの牛乳とメロンパンが2個ずつあった」
「アンパン買おうしたが売ってなくてメロンパンにした。アンパンが良かったのに…」
何故明がアンパンにこだわってるかは知らないが多分アンパンが好きなんだと思う
そして学校に進入した
この時間はまだ学校は開いており、帰る準備をしてる部活生徒の姿がちらほらいる。
自分達の教室がある1号間の3階に隠れる事にした
2階から4階まで行き来しやすい為だ
その間も明はどこかウキウキしてる様子だ
「とりあえず7時頃まで待とう」
「何処で?」
「……」
教室は午後7時になると先生が鍵をかける為教室に隠れるのはリスクがある。
トイレは隠れるにはもってこいだが、教室から一番端の場所にある為諦めた。それに臭いなどの問題もある為やめた
他にないかと廊下を見渡すと明が別の教室の前にとある物を見つけた。それは5・6個ほど積まれたダンボールだった
多分他の学年が教室移動で物を入れていたダンボールだろう
人1人が丸くなれば入れる程度の大きさだ
「まさか…これに…」
「もちろん!」
明は不気味な笑みを浮かべてダンボールの中に入り込んだ
明自身何かしら楽しそうなのが気になるがとりあえず俺も周りを確認してダンボールに入る事にした。
ダンボールの中は小さな穴があり、そこから僅かながら光が入ってくる。そこから廊下を一部分だが覗ける。
自分のクラス1-4組が見えるように移動して、先ほど明から渡されたメロンパンと紙カップの牛乳を食べながら待つ事に1時間ほど経ち、人がいる気配はほぼ無くなり、音1つ聞こえない。
「本当に来るのか?」
「新入生が入学したばっかりなんだぜ。泥棒が来ない訳ないだろ」
ひそひそ声でしゃべっていると下の階から階段を歩く音が聞こえて来る
「おっ?下着泥棒か?」
「いや、先生だろう」
ダンボールの穴から見えたのは濃い顔の体育教師だった
「ちえっ、下着泥棒じゃねぇーのかよ」
「そんな早く下着泥棒が来る訳ないだろ」
「あの体育教師が犯人だったら面白いのにな」
「そんな訳ないだろ…あんな顔でも教師なんだぞ」
小声で談笑を続けていると
「おい見ろよ、秀太郎」
「ん?」
濃い顔の体育教師がとあるクラスの前で止まっている
俺達のクラス1-4組の前に止まっている
しかも少し様子がおかしい。周りに人がいないかうろちょろ見渡している。
「あれって俺達のクラスじゃ…」
2人の不安をよそに体育教師はこっそりと1-4組に進入した
「とりあえず一旦様子見よう…」
「あぁ」
何分か経ったが出て来る様子がなく、何かガサガサと何か音が聞こえる
すると明はスマートフォンを取り出し、ビデオモードにした
「流石に怪しすぎる…行ってみるぞ」
明はダンボールからゆっくりと上にあげ、そっと出て、スマートフォン片手に一歩一歩教室へと近づいて行く
「(よし録画ボタンを押してっと…)」
ポチっと録画ボタンを押し、教室を写しながら教室へと接近する
「(よし俺も行くか)」
ダンボールをゆっくりと上にあげ、そっと明同様教室に接近した時、ポケットに入れていた紙カップ牛乳のゴミが落ちた
その落ちるゴミが落ちる体感速度はかなりゆっくりに感じた
勿論拾う事は出来ず、音を立て地面に着地した
その音は秀太郎と明は勿論、教室にいる体育教師もこちらをゆっくりと振り向いた
だがその時明が見た光景は、教室で机に掛かっている袋を探っていた体育教師だった
「お前ら何やってんダァァァ!!!!」
体育教師は悪魔の咆哮の如く声をあげ、袋を持ち鬼の形相で走って来た
「逃げろぉぉぉぉ!!!」
「うわぁぁ!!」
2人も必死に走った。後ろを確認する暇も無くただひたすら走った。
秀太郎の方が多少前を走っている
だが数メートル後ろでは、血眼になりながら追いかける体育教師が迫って来た
「そこの2人止まれぇぇぇ!!!」
「止まれで止まる訳ないだろおぉ!!」
「うわっ!!」
秀太郎がこけて、汗だくになった体育教師が接近し、顔を真ん前まで近づけてきた。その間もポタポタと汗は垂れている
「はぁ…はぁ…お前達…何を……見た…」
「い、いや…俺は……」
後ろからドヤ顔の明が録画した画面のスマートフォンを体育教師に突きつける
「これが証拠だ!!観念しろ!この変態教師!!」
「まっ…待て!これには訳が…」
明らかに同様してる体育教師は、更に汗が吹き出してきた
体育教師が持っていた袋を見て、ドヤ顔だった明の表情が一転し、青ざめた表情になる
「…ってちょっと待て…それ……俺の体操着…」
「え?」
その袋は明が来週から始まる体育の為に事前に持ってきていた体操着の袋であった
証拠に袋にマジックペンで明の名前が書いてあった
「あ……え…お…これは…」
「あんた!俺の体操着どうするつもりだったんだよ!!」
「く……」
「秀太郎!こいつが犯人だ!!警察に電話しろ!!」
「ちょ!ちょっと待てお前ら!!ワシの話を…」
更に汗が吹き出し、床が水浸しになっていた
そして秀太郎があることに気づく
「ちょっと待て…泥棒と言っても男子生徒のじゃなくて、女子生徒だよな……」
冷静に言う秀太郎に、明は更に体育教師に問い詰める
「あんた男女両方狙ってたのか⁉︎」
「違う!!違うんだ!!」
「俺の体操袋が何よりの証拠なんだよ!変態!」
「変態って言うな!!ワシの話を聞け!!」
「問答む……」
2人が言い合いをしてると、隣の1-5組から何かを探る音が聞こえた
それと同時に言い合いは瞬時に収まる
「え?」
ここにいる3人は全員顔が青ざめ、体育教師の滝の如く流れていた汗も瞬時に止まった
そして3人はドアに掴まりながらゆっくりと1-5組を覗いた
そこに居たのは……




