第一章2 学年の初めに絶対行われるクラス分け
春休みで脳が、訛ったのか自考力が落ちていた。よくよく、考えてみると今日はブレザー登校だし、校舎には入学おめでとうと書かれた大きな紙がぶら下げられていたな。
「どうやら、三年生になって、初めにやらなければいけないのは、腐った頭を平常通りの馬鹿に戻すことらしい」
そして、クラス分けの紙が貼られている体育館へと駿は歩き出した。何かを囲むように生徒たちはいた。
「今回は、どんなクラスが待ち構えているのか、楽しみだ。前回は、個人的に悪かったから、今年で挽回するぞ!」
体育館には、伝言板が置いてある。毎年そこにクラスの振り分け表が貼られている。だが、駿はそれを見ずとも自分がどこの組に配属をされているかがわかる。
「今年は三組、か」
誰もが見ないような伝言板の隅には『S……スリー』と一日も経てば消えてしまいそうなほどに、薄い字で書かれていた。
駿以外の者から見れば、どうってことのない落書きだ。しかし、これには列記とした意味がある。Sとは、駿のことであり、スリーとは三組のことだ。毎年、駿は最後の最後まで楽しみはとっとくタイプだ。だからこうして、自分がどこの組に配属されているか、だけを友達に頼んで書いてもらっている。もし、表を見れば自分と同じクラスに誰がいるかわかってしまい、つまらなくってしまう。
とう言うわけで、自分のクラスがわかった駿はクラスが楽しみのためか、足取りは軽そうだった。
教室の道中で、改装されたらしい校内を見て回ったがどこが変わっているのか、はっきり言って、わからない。敢えて言うのなら、ただ小奇麗になったくらいだ。
駿が三組に着いた瞬間、声がかかった。声のトーンは低く、一発で男だとわかる。
「久しぶりだな」
「おう。言うとおりに、伝言版に書いとったで。今年は俺と同じでクラスで嬉しいやろうが? まぁ、一年よろしくな」
この大阪弁で話している奴は、島木 信広。ノブヒロのノブを取って、通称ノブ。坊主で百八十の背丈に褐色の肌。寺の僧侶をダンディにしたような風貌の男。見た目故か不良に間違えられるがそんなことはない。むしろ、友達思いのいい奴だ。とは言っても、喧嘩をよくする。だが動機は、いつも友が危険な目に会ったりするところ助けているからだ。性格の方は、生粋の大阪人あってか面白いことが大好きで、ギャグ上手くてクラスのムードメーカ。そして、駿の一番の親友。
「ありがとう、ノブ」
教室全体を見回してみると、クラスにはまだ数人しか集まっていなかった。
「どないことあらへん。な、当たり前やん」
笑いながら軽く背中を叩く、ノブ。




