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とっても こわいです

ただいま、「日間じゃんるらんきんぐ」の「文学」で6位。すごく、うれしくなって連日とうこうしちゃいました。

『帰ってきたと思ったらいきなり走り出して、エド! 俺を無視するとはいい度胸だな』


 どすのきいた地を這いずるような声に、思わずびくってなる。いつの間にかきつく握りしめていた手は、湿っていた。曲がったドアから顔を出したのは、黒づくめの男。ヤとか、マとかが頭につく職種の人だと言われれば納得しちゃうような全身から怒りのオーラが立ち昇った迫力のある人だった。たぶん、今鏡で顔を見たら完全に血の気が引いて蒼白に近くなっているかもしれない。


『おや、カルじゃないか。ひさしぶりだね、来ていたのかい』


 え、なんでこの金髪のお兄さんは怒られた(?)のに、こんなににこにこしているの? もしかして、ドMなのかな……だってめっちゃ今怒鳴られていたっぽいのに。あ、胸倉掴まれてる……なのに、なんで満面な笑みを浮かべているんですか、このお兄さん。今、いったいどういう状況なの?


『その、久しぶりの友人を無視して、さっさとお前は二階に上がっていったんだが……エド、この子供どうした?』

『ん、かわいいでしょう。拾ったんだよ。ずっと、眠りっぱなしだったから、心配してたんだよ。そしたら、さっき、外からこの子が窓から顔出しているのが見えたんだ。だから、カルを無視したわけじゃなくて、眼中になかっただけなんだよ』


 ぎろっと効果音がもれなくついてきそうな怖い目つきに、膝がガクガクする。金髪さんと違ってそういう趣味ないから、切実にやめてほしい。「やめてください」って、声を大にしても、たぶん伝わらないんだろうなぁ。あ、怖い視線の生贄が、金髪さんにまた移った。ほっ、蛇ににらまれたカエルの気分はもうこりごり。


『それ余計にひどいだろ。あぁ、もういい。お前に悪気がないことくらい初めからわかっていたことだ……はぁ。エド、こんなちんくしゃのどこに欲情したのか、この際どうでもいいが、誘拐は犯罪だ。っていうか、リリアーノ嬢一筋じゃなかったのかよ、お前』


 むっ、何言っているかわかんないですけど、わかんないですけど、今、ものすご~く失礼極まりないことを言われたのは気のせいじゃないと思うんですよね。あはは、こっちが言葉がわかんないのをいいことに調子に乗るんじゃねェよ、コラ! まぁ、ガタイのいい成人男性相手に立ち向かっても、ヤられるってオチ。だからって、言われっぱなしはむかつく。怒りのあまり、恐怖が吹き飛んだ。


『僕が、そんな目でこの子を見てるって本気で言っているのかい? カル、眼科に行くことを進めるよ。この子は、行き倒れてたから、保護していただけだよ。言葉が通じないみたいで、困り果てていたところに、君が来たんだ。それに、僕はリリアーノ一筋だよ』

『はぁ、お前としゃべるの本当につかれる。あぁ、もういい。それより、そこの子供に、俺ら、こうも脅えられているのは、言葉が通じてないのが原因か?』

『脅えられているのは、カルバン様のお顔が怖いからではないでしょうか』


 凛とした女性の声が、聞こえた方向に目を向けると、メイド服を着こなしたぼっきゅんぼんのお姉さまがいらっしゃいました。メイド服には、コスプレのイメージが根強かったけど、このお姉さまはなんというか板についていらっしゃる。


『相変わらず、エドんとこのメイドは冷てぇな。しかし、まぁ話ができんのは俺らもこいつも不便だろうし、速いとこ対策考えてやらねぇとな。手っ取り早いのは、従属の首輪だな。これなら、おまえんとこの小うるさい従者も納得するだろうし、野放しにするのはいろんな意味で危険だろ?』


 やくざなお兄さんは、顎でしゃくって、こっちを示す。なんか、傲慢なその態度腹立つ。なんなの、この世界の男の人って意味不明なんだけど。初対面なのに、いきなり突進してくる人とか、ドアを蹴り飛ばして入ってくる人とか……メイドさんは、普通に入ってきた気よね。うん、メイドさんは常識人だ。


『はぁ、あまり気が乗らないけど、このままじゃこの子も不便だよね。アリア、うちの店にある二番目にいい奴持ってきてくれない。あれは、確か見た目もいいし、重くないだろ。代金は、僕の方から差し引いてくれていいよ』

『かしこまりました』


 金髪さんに何か言われて、メイドさんどこかに行っちゃった。やくざっぽいお兄さんをいさめられるメイドさんには、早く戻ってきてほしいな。割と切実に。この人たち怖いんだもん。

 それにしても、何を食べたらあんなに大きくなるんだろう。この世界の食べ物食べたら、アリスみたいに大きくなるのかな。


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