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閃光転移のグレイルガスト  作者: 山田二郎
1章 
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「カングリア三機、イーゲル三星の乗る機体をヘッドとした隊列で、謎の機影を追ってください」


オペレーターの指示により、三機のカングリアは陣形を変えていく。


「了解、追跡を続行する、パール、ゲート、サポートよろしく」


「あいよ」


「了解」


フユカの掛け声に答える二機のカングリアのパイロット。


「それにしても、あいつらの兵器は宇宙空間にはやってこないんじゃなかったのか?」


「ゲート、それを調べるために追跡しているんだろ、無駄口を叩く暇があったらレーダーで機影の動きを確認しろ」


「へいへい、まったくパールは真面目すぎるっての」


「お前が不真面目すぎるんだ」


仲間二人が無駄口でにぎわっている中、フユカには不安があった。


(もしかしたら戦闘になるかもしれない。そうなれば、カングリアの初戦闘になる。訓練は積んできたし、カングリアがやつらに負けるとは思っていない。だが実戦は初めてだ、何が起こるかわからない)


だがこの二人のいつもと変わらない声を聞いてフユカは安堵した。


(この先どうなるか分からない状況でこの二人はいつもと変わらない会話をしている。これならば戦える、実戦になろうとも訓練で習ったとおりにすれば、負けない)


謎の機影は、同じ場所から動く気配がない。フユカ達は、慎重に距離をつめた。


「速度を落とせ、私が一度オープンチャンネルで接触を試みる、目視後、私の機体後方で待機」


「了解」


「ウィース」


カングリアは、レーダーで確認された謎の機影付近100メートルの場所まで接近した。


「おいおい、マジか」


機影を目視し、三人は驚いていた。目の前に現れた機影の大きさだった。


「カングリアの二倍・・・・・・ぐらいか?」


パールは思わず謎の機影を見上げた。


「おい、設計や技術者じゃないからよく分からないけどこれって奴らのってよりもこっちの二足歩行型に似てないか?」


外見はカングリアには似ていなかったが、設計思想に何箇所か類似している点があった。


「おしゃべりはそこまでだ、予定通り接触を試みる」


フユカがそう言うと、カングリア達はデルタ陣形のまま、速度を落としパールとゲートの乗るカングリアはライフルを構えた。


「そこの未確認機に告げる、ただちに停止しこちらの質問に答えろ」


未確認機の顔が三機のカングリアのほうを向いた。


「いや~、中々強そうだなこいつ」


「無駄口叩くな!」


「へいへい」


顔をこちらに向けただけで未確認機は何もしようとはしない。


「所属があるのならば所属と、パイロットの名前、その機体の正式名称を答えろ」


フユカがそう告げると、未確認機のほうから通信コールがきた。


「こちら、二足歩行搭乗型特機部隊、コード名ビッグフット、機体名グレイルガスト」


「・・・・・・」


グレイルガストと名乗る機体のパイロットは落ち着いた声でそう告げた。

フユカ達が聞いたことの無い部隊名だった。


「二足歩行搭乗型特機・・・・・・何だそれは?」


二足歩行搭乗型というだけあって、軍の機体であることは分かったが、フユカ達が知る限りまだ機体はカングリア以外存在していないはずであった。


「ん? ・・・・・・まさか・・・・・・おい、今は何年の何月だ?」


グレイルガストという機体にのるパイロットは突然この場にそぐわない質問をしてきた。


「そんなことはどうでもいい・・・・・・そちらは私のしつ・・・・・・」


「いいから、今は何年の何月だ!」


冷静だったパイロットは激しく怒鳴った。


「い、今は2250年の8月だ」


「・・・・・・冗談もほどほどにしろよ・・・・・・」


沈黙が流れた後、回線が切られグレイルガストの腰の部分から小型のミサイルが発射された。


「攻撃?」


カングリアのどのレーダーにも反応はなかった。


「フユカ、散開しろ」


ゲートがそう言うと、フユカの後で構えていた二機のカングリアは、その場から緊急回避をとった。それに遅れてフユカのカングリアも回避運動をとる。

 三機が小型ミサイルの軌道からそれた瞬間、小型ミサイルはフユカ達の乗るカングリアに向かっていくことはせずはじけとんだ。三機の目の前には銀色に光った小さな光が無数にキラキラと輝いていた。


「・・・・・・ふ・・・・・・こ・・・・・・れ」


音声、レーダーの不具合を知らせる警告音が響く。


「電磁妨害・・・・・・」


三機のカングリアは通信不能、メインカメラすら真っ暗な状態に陥っていた。


「くそっ」


フユカはコックピットハッチを開いた。フユカの視線にはキラキラ光輝く銀色の粒子と、吸い込まれそうになるような黒闇が広がった。


「どこだ、何処に行った」


フユカは電磁妨害の中から自分の目でグレイルガストを確認しようとしていた。


「いた・・・・・・」


だがフユカにとってそれは信じられない光景であった。カングリアの二倍、いや三倍はあるスピードでグレイルガストは、フユカの目の前から一瞬で離脱していったからだあった。


「なにあのスピード・・・・・・」


「フユカ、応答しろ、フユカ!」


「どうしたフユカ!」


コックピットからは通信機能が回復した二人のパイロットの声が響いていた。



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