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たった一人の戦争
閃光転移のグレイルガスト
権力を顔に貼り付けたような男が数十人といる若い男女の前で、拳を振り上げ声高らかにこれから自分たちに待ち受けている戦いを語り続けていた。
「貴様達は選ばれた者達だ、その力を地球月連合軍のために存分に使い我々の星、地球を奪還して欲しい、以上」
「敬礼!」
壇上の下で眼鏡をかけた男がそういうと、綺麗に整列していた数十人の男女は壇上の上に立っていた男に敬礼をした。数十人の男女を見下ろす形でこれぞ軍人という顔つきの男が敬礼を仕返し壇上から降りていった。
「何が選ばれた者達だ、選ばれたのはほとんどが月の人間だけじゃないか」
列の一番後ろで眉間に皺をよせた黒髪の男がぼそぼそ呟いたが、それがほかの者達に聞こえることはなかった。
「それでは、ID認証を行う、前の者から順にこの機械に手をかざしなさい」
白衣を着た男たちの一人がIDを確認する機械の横でそう指示すると、整列していた新米兵達は指示に従い一人また一人と順番にIDを確認する機械の前へと向かっていった。