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今僕は地元の近くのバス停にいた。バスが来るのは1日6往復。おおくはないけど、ここら辺のちゃんとした足だ。これがないとばあちゃんは買い物に行くのが大変だと言っている。お母さんはこの街が嫌いみたいで、夏ぐらいしか僕の住んでいるこの街にはやってこない。街は緑がいっぱいで、僕がすんでいる家の後ろには裏山がある。夏になるとそこにセミを取りに行く。今日はそれをしたいわけではない。町に出たいんだ。
「あっ。来た。」
僕がそう声をあげた。夏の日差しが僕の頭に突き刺さる。しばらくすると古いバスが僕の前にとまった。バスのドアが開いて、僕はその中に乗り込んだ。
席に座ると僕はおばあちゃんからもらったお金を見た。財布の中には1000円札が入っている。往復これで足りるんだね。そう思った。でも、バスっていうのは確か丁度の金額を払わないといけないって聞いたことがあった。じゃあ、これは・・・。どうすればいいんだろう。動き出したバスの席から立ち、僕は運転手さんのいる隣にやってきた。しばらく走っているとこの街に数少ない信号のある交差点に来た。こっちは赤になっているから、バスは止まる。
「運転手さん。」
と運転手に聞いた。
「なんだい。坊や。」
1000円札を見せると運転手さんは察したらしい。
「坊や。そのお札はこの機械にいれればいいんだよ。」
そう言いながら、運転手さんはそのボックスをたたいた。僕が1000円札をその中に入れると、500円玉1枚、100円玉4枚、50円玉1枚、10円玉4枚、5円玉1枚?。1円玉5枚?出てきた。えっ。これってこんなに細かい金額も出してくれるんだぁ・・・。そう思っていた。あっ。
「運転手さん。僕は○○っていうところで降りたいんだけど・・・。そこまで何円。」
「298円。」
「えっ・・・。」
「298円だよ。坊や。」
運転手さんは笑って見せた。
「えっ。僕が乗ったところからでも。」
「ああ・・・。」
「ふぅん。」
298円かぁ・・・。ってことは100円玉は2枚。50円玉1枚。10円玉4枚。5円玉1枚。1円玉3枚で出せばいいのかぁ・・・。いろいろ面倒くさいなぁ・・・。何でこんなに面倒くさいバスなんだろう・・・。
僕は言ったところで298円払ってバスを降りた。あのバスはいったいなんなんだろう。そう言えば、僕はあんなバス今まで見たことがない。あの金額で走ってくれたら、お母さんは喜ぶだろうか。
「へへ・・・。」
右を見るとお母さんが来ていた。そっちに走って行った。
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