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パントマイムの短編集  作者: パントマイム
-単独短編-
2/6

あなたとのことを思い出にしたいから――。

苦しみから逃れるための勇気

大好きだった。

確かに好きだった。

人に胸をはっていえるよ。


でも自分が好きだけでは苦しくて、見返りが欲しくてしょうがなかった。


どんどん離れていく気持ち。

ずいぶん前から分かっていたけどここまでくるのに大分かかった。


私なりに悩んだよ。

でも悩むだけで何も解決しなかった。

そろそろ楽になってもいいでしょ。

考えるのに疲れたの。


これ以上傷つきたくなくて、前に進みたくて。

玄関の靴箱にコトリと音をたてて鍵を置いた。


二度と来ることがなぃだろうと思うと、床に散らばった雑誌や窓の外で風に揺れている洗濯物。

その向こうの青い空。

もう気にならなくなった電車の音。

マンションの廊下から聞こえる人の足音。


その、どれもが日常なのに急に愛しくなる。

涙がでるほど離れがたかった。


気が付いたら痛くもなぃのに胸を抑えてる両手が目にはいった。


なんだか切ないな。


のろのろと靴を履いて、後ろを振りむかずドアノブをにぎる。


変化を望み、自ら動く。

勇気と覚悟。

必要なのはただそれだけで。


後で後悔すると分かっていても、苦しくて泣くと分かっていても

あなたとのことを思い出にしたいから。


すぐ後ろで響くドアが閉まる声は私の悲鳴のような気がした。



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