表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/35

29 リハビリ……?

ガーゼの寝間着は湯に濡れると体に張り付いて体の線が見えてしまう。

寝ている間に余計な肉が削ぎ落とされて標準的な体系になったけれど、そういう問題ではない。

でも、メルリーシュがどう言おうともルートヴィヒの耳には右から左なので、もはや抗議することも諦めた。

(ああ…でも今すぐ眠ってしまいたい……。)


ルートヴィヒは慣れた様子でメルリーシュを抱え、腰巻きタオル1枚で自分ごとバスタブに浸かった。

(ひいっ!!なんでルー様まで!?…ああもう!いつもいつの間にか寝てしまうのに、どうして今日はこんなにも目がさえているんですっ!?)

体が動くのならカチコチに固まったであろうメルリーシュだが、首から下の自由が全くきかないから固まることもない。

(私は丸太……私は丸太……)

恥ずかしすぎてとにかく現実逃避をするメルリーシュなのだった。


恥ずかしくはあるのだが、しかし、ルートヴィヒの胸に背中を預け、全身を包まれるような形で湯船にたゆたうと、えも言われぬ幸福感が全身を包んだ。

動かないはずの体は湯の中でルートヴィヒに撫でられると心地よく、ピクピクと良く跳ね、ルートヴィヒはその様子に目を見張り大喜びした。


「起きているときに入浴したことで、良いリハビリがみつかったな。思わぬ収穫だ…。」

ブツブツ言いながらメルリーシュを運んだルートヴィヒは、魔法で水を飛ばして乾かしたメルリーシュをそのままコロンと寝台に寝かせた。

寝台の横に跪き、メルを撫でさすりながら四肢の状態を確かめる。

入浴前までまるで無反応だった腕が、撫でるとピクピク動く。

「神経が回復してきたようだ…!」

ルートヴィヒが感嘆の声を上げたそのとき。


寝室のドアがバーン!!と開いた。


1カメ 王妃目線でルートヴィヒが上半身裸でメルリーシュを撫で回している図


2カメ ルートヴィヒ目線でルートヴィヒが上半身裸で、目玉が飛び出しそうな王妃&王妃が連れてきた魔力持ちの侍女達と目が合う図


3カメ 顔を紅潮させグッタリしたメルリーシュ表情


「こぉぉの!!下衆(ゲス)息子ーーー!!」

「ぶべっ!!」

王妃が放った手形の閃光がビターーン!!とルートヴィヒの顔面に炸裂し、ルートヴィヒは尻丸出しで寝台の横に転げ落ちた。

「きゃあーーー!!」

「変態!!」

侍女達は叫び声をあげる。

「なっ…何をっ!!」

「何をしてるのかはこっちのセリフです!!この変態息子!!」

王妃が吠える。

マーガレットとアリーナ、侍女達が駆け寄り、「ぐぇえ!!最悪!!」 メルリーシュを魔力で運び去る。

「このっ!!私のメルをどこへ連れて行くっ!!」

「湯殿に決まっています!!この鬼畜息子!!動けないメルリーシュに、なんてことをっ!!」

「はぁ!?もう風呂には入れた!私はリハビリをしてたんだ!!」

「上半身裸で助平根性丸出しの顔をして、どの口が言うのっ!!あなたは金輪際、メルリーシュの入浴介助を禁止します!!」

「なっ!!なんの権利があって私の生きる喜びを奪うんですっ!!」

「いたいけな少女を手籠めにすることが生きる喜びですって!?あなたっ、脳みそが溶けているの!?頭痛と吐き気がすることを言うのはやめなさい!!権利!!?王妃として、母として、女性として、いいえ!!ヒトとしての権利に基づいてよっ!!この、スカポンタン!!」

「なっ…スカッ…!?手籠めになんかしていませんよ!!」

「………あなたっ……メルリーシュの体が治り次第、可及的速やかに式を挙げなさいっ!!なんって体面の悪いっ…!最っ悪だわ!!さっさと服を着て、婚約届けだけでも先に出していらっしゃい!!」

「何を勝手なっ!!俺はまだメルにプロポーズもしていないんですよ!?ロマンチックのかけらもないことを言うのはヤメてもらいましょうか!!」

「だからっ!!プロポーズもしてない人間が!!こんな破廉恥な行為を!!するなって言ってるのが!!わからないのっ!!この、ミジンコ脳味噌ーーっ!!」


王妃の顔は、今世紀最強の魔王だった。


「あの…婚約とは…?」

風呂には入ったと聞いて、侍女たちが再びメルリーシュを運び入れてきた。

王妃が絶叫した内容について、メルリーシュは侍女に聞いてみたのだが…。

「シッ…。あの王妃様に逆らってはなりません…。さ…今日は別のお部屋に致しましょうか。」

「あ……はぃ……。……え?」

……ちゃんと答えてもらえなかった。


いくら好きあっている恋人どうしでも、結婚となると話は別なのが身分がある者の現実だ。

ほぼ没落している貧乏子爵令嬢が魔法が得意なくらいで王子と結婚できるなどと図々しいことは考えていない。

本来ならルートヴィヒは口を利くのもおこがましい雲の上の人なのだ。

バルシュミーデ王国は一夫一婦制。

ルートヴィヒはメルリーシュ以外いらないと言ってくれているからメルリーシュはこの問題をひとまず伏せていた。

今は何も考えずにこの幸せな毎日に浸っていたいと。

(……お遊びはやめて、早く身を固めろ…という意味かしら…()()()()()()()と…。)


「こんな国っ!!滅ぼしてやるーーっ!!」

「できるものならやってみなさい!!このスカポンタン!!」


メルリーシュの間違った推測をよそに、夜の王宮の離れに、ルートヴィヒの咆哮が響くのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ