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15 ローレン・フェルマールの告げ口

隠そうとしたら自白魔法で吐かせてやろうと思っていたら、こちらから聞くまでもなくローレンはペラペラと自発的に話し出してくれた。


「よく来てくださいましたよ、ルートヴィヒ殿下。僕はもう、いてもたってもいられなくて、直接押し掛けようかと思っていたところなんです!」


ルートヴィヒの容姿にものおじすることなく、はなから普通に接するローレンに、ルートヴィヒは逆に面食らった。

「ああ、僕のこと覚えていませんか?幼いころはノルと一緒に、よく貴方に剣の相手をしてもらったんですけれど…。」

「ノル…ああ!君!まさかローリーか!」

「そうです!嬉しいな!覚えていてくれて!」

「あの頃と髪型が全然違うからわからなかった。」

「ずっと長くのばしてひとつに束ねていましたからね。色味も、今よりもっと濃かった。成長とともに、少し金の色が薄くなって。」

「そうか。懐かしいな。」

「ええ。あなたの大切にしている女の子の話、ノルから聞いていたんです。メルリーシュ・レーマン嬢。図書館の利用登録をしたときに挨拶もしました。」


メルリーシュの名前が出て、ルートヴィヒの雰囲気が少しピリついた。

「心配なさらなくても下心なんかありませんよ。ふふ、本当にノルが言ったとおり。過保護だなぁ。」

「余計なお世話だ。」

「今日はね、ランチルームから教室に帰ろうと思ったら、たまたま、あなたの元婚約者が図書館の方に向かったのが見えたんです。これから午後の授業が始まろうかという時間にね。それで、嫌な予感がして…。」

「元婚約者だと!?」

「え、ええ。アギレラの王女ですよね?」

「あの女、ぬけぬけとバルシュミーデに来ているのか!?」

「来ているもなにも、留学生ですよ。ご存じなかったのですか?」

きっと、ルートヴィヒが気分を害さないように周囲が隠していたのだろう。

隠しきれるわけもないのに、時間稼ぎでもしたつもりだったのだろうか。


「あれからずいぶん経つし、国交も正常化しているしと、友好的な姿勢だったようでバルシュミーデ側も断れなかったようですよ。ノルは最後まで反対していましたけれど、宰相の息子がアギレラの貴族令嬢を娶ったでしょう?それで受け入れざるを得なかったようです。」

「我が国は人が良すぎるな…。」

「僕がここに留学に来たのは偶然ですけれど、ノルから事情は聞いていますからね。なるべくアギレラの王女の動向に気を付けておいてくれと頼まれていたんですよ。僕は王太子でもなく留学中で身軽なんで時間もたっぷりありますし。」

「なるほど。それはありがたいな。……それで?」

「その王女がね、難癖をつけて、メルリーシュ嬢をぶったんです。」


「…………………は?」


聞こえなかったのかな?と、ローレンは思った。


「だから、アギレラの王女が、メルリーシュ嬢を、『ブタメガネ』って言って、頬を魔力を込めた平手でぶったんです!」


噛んで含めるように言い聞かせた瞬間、ズガーン!!と音をたてて、アカデミーの男子寮の談話室の壁が吹き飛んだ。


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