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炎の舞踏会 1


 国王、ルイ6世は狂気から抜け出し、国政を取り仕切るまでに回復したが、まだまだ安心はできなかった。今は安定しているが、いつまた何時、狂気に陥るとも限らない。その時のために備えなければならない。

 自分が狂気を宿しており、そのために備えなければならないことを本人に納得させることは、ひどく困難だ。事実、国王の説得には王族を始め、側近に有力貴族が加わり、イザボウもまた熱心に夫をかき口説いた。その甲斐あって、ルイ6世は、漸く自分が政務を執れない時のための臨時政府を制定した。

 王弟ルイを摂政として、三人の叔父と王妃イザボウの兄、三人の司教、聖職者と六人の貴族で枢密議会を運営して王国を治めると決定し、王妃であるイザボウには子供たちの後見権を与えた。

 全くの他国人であるイザボウの兄に、一部とはいえ国を治める権限があるのに、王妃であるイザボウには子供たちの養育権与えられなかったが、これは、イングランドが女性の血統による王位継承権を主張していることに関係し、フランスでは女性の政治への関与をそれほどに警戒していたともいえる。


 それから数か月。国王の状態も良好で、このまま国政が安定すると思われた時にそれは起こった。

 

 1393年1月。

 イザボウのドイツ人侍女の結婚を祝う仮装舞踏会が、パリ近郊の前王妃の館で開かれていた。この侍女はドイツ語を話せたので、イザボウのお気に入りであり、結婚自体彼女に良縁をと願ったイザボウの肝いりで決まったものだった。

 そのため舞踏会の招待客も豪華な顔ぶれで、あらゆる趣向を凝らした催しが用意されていた。中でも一番だったのは、鎖でつながれ毛むくじゃら扮装をした「野蛮人」と名付けられた者たちの登場だった。


 毛むくじゃらの身体に蓑を纏い、奇声を挙げながら走り回り、猥雑なダンスを踊る姿に、招待客は熱狂した。この催し自体は、それほど珍しいものではないが、高貴な身分の者が仮面をつけて野蛮人に扮するという趣向に、人々は拍手喝采を送り、舞踏会は大成功と思われた。


 ――――――この「野蛮人」の一人に王自らが参加していさえいなければ。

 



 

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