表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/35

幸福な結婚と不幸の影  2

これまでは、イザボウを取り巻く環境を紹介しています。

結婚して10年。おそらく20代後半には、幸福な生活は跡形もなく崩れ去っていたのでは、と思っています。

 それからは、時分と子供の運命をかけてサバイバル!生き残るためには、手段を選んでいられません。

そんな考察が前面に出てきますので、ご不快に感じたら、申し訳ありません。




 ともあれ、当時は、国王の地位は盤石ではなかった。まだまだ広大な領地を有する諸侯がおり、独自に軍を持っていたため、たとえ王と言えど命令ひとつで彼らを動かすことはできない。議会では彼らが大きな発言権を持ち、団結されれば王の意志を通すのは困難。無理に通せばその後が大変になる。

 当時は国という概念が希薄で、諸侯は国王に忠誠を誓って緩やかなまとまりを見せてはいたが、王の権力としては、まとめ役として権力が付随していたに過ぎず、王妃に至っては子を産み、育てる以外のことは全く望まれていなかった。


 イザボウの先祖には、12世紀に活躍した名高い女傑、アキテーヌ女公アリエノール・ダキテーヌがいるが、彼女は自身が女相続人であり、父公から莫大な財産と広大な領地、強大な権力を引き継いだ。その力見込まれて、当時のフランス国王ルイ7世と婚姻したが、地位も権力も彼女の方が上だと誰もが理解していた。

 実際、彼女はフランス王と離婚した際、自身の財産を全て国王から取り返し、その後イギリス国王と再婚して、その財産を全てイギリスに帰属させている。対して、イザボウは、持参金はあれど、その中に領地は含まれていない。言わば彼女の王妃とは国王あっての地位であり、その力も所詮王権が盤石であってこそ。王妃自身に力があるわけではなかった。

 

 イザボウ自身が、もともと富や権力に執着する性質だったのかは、わからない。ぜなら、夫たるシャルル6世が1388年に摂政を退け親政を開始し、1392年に狂気を発した後も、彼女が特に過度な要求をした、贅沢な生活を望んだなどという話は出ていないからだ。

 彼女の悪評が出てくるのは、シャルル6世が年の半分以上を狂気の中に過ごして統治が不可能となり、彼女と子供たちの平穏が危ぶまれるようになってからのことである。







今回の章で少し出てくるアリエノール・ダキテーヌは、まさに女傑に相応しく、80代という高齢にもかかわらず外国遠征を増し遂げています。

おまけに子供は10人。当時としては珍しく、早死にした子はほぼいません。そのせいで彼女の血統はヨーロッパの名家に拡がり、ヨーロッパの母などと言われているくらいです。

 ですが、この方、作中で紹介した通りイギリスフランス両国の王妃となったため、イギリスがフランス王位をよこせと言い始める切っ掛けとなっています。それだけでなく、本来フランス領だったはずの自分の領土をイギリスに帰属させる、フランス王と離婚の理由は、王が、大好きな叔父の救援を断り死なせたせいと推察されています。いやいや、かなり勝手では?王妃って、国の不利益になるようなことしちゃいけんでしょ?と思うけど、アリエノール、王より自分の方が格上どころか下手したら、王は自分に従うべき!くらい考えていそう。

 それどころか嫌がらせもかねて再婚したイギリス王(結婚当時はアンジュ―伯、ノルマンディー公。のちにプランタジネット朝イングランド王ヘンリー2世)と後継者問題でもめ、夫に反旗を翻す、となんともやりたい放題。

女性でも富と権力、何より気概があれば何でもできる!の見本みたいなお方です。

凄~い‼と素直に感心させられますが、領土を敵国に帰属って、いくら国の概念が薄くてもやってることは結構ヤバいのでは?

まあ、その後の後継者たちのやりとりの結果、全部フランスに戻ってるから非難轟々というわけではないけど、そうでなかったら、今頃イザボウと同じ売国妃扱いだったかも・・・・?と思わずにはいられません。

 最も、アリエノールにも多々言い分はあったのでしょうけど。

 生まれながらに文化の中心地、アキテーヌの女主人。教養高い美女が各地に齎した優雅な文化に皆感謝したという事実もあり、賛否両論あるお方です。

 あまり非難すると、貧乏人の僻みと言われてしまうかもしれませんね (;^_^A

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ