愛妾 2
色々修正しながら進めているので、ちょこちょこ矛盾が見られます。
特に、時系列。結構思い違いが多くて、記憶力の低下が不安な今日この頃。
判明する度に直しているので、ちょっとおかしい(・・? と思ったら、ご指摘くださると大変ありがたいです。
16歳で愛妾に上げられ、小王妃とまで呼ばれて権勢を誇るオデットは、それほど愚かでも鈍くもない。
でなければ、どれほど権勢を誇ろうとも、所詮は力のない小貴族の娘。もし誰かに睨まれでもしたら、精神疾患を抱える王の愛妾など、すぐに挿げ替えられてしまうことをよく理解していた。そんな彼女が懐妊を公表すると言われて、真っ先に慮ったのは、王妃であるイザボウの心情だった。
だが、意外なことに王妃に呼ばれたと告げた時、夫である王は、王妃の質問には何ひとつ偽ることなく応えよ、と命じた。
そして、今、王妃の部屋を辞したオデットは、王の部屋に呼ばれ、王妃との会話の一部始終を繰り返させられた。
話が終わると、シャルル6世は
「そうか」
とだけ口にして、すぐに下がるように言った。それはひどく疲れた様子で、いつもならその疲れを癒すべく側に侍り、様々に世話を焼くのだが、この時ばかりはそんな雰囲気ではなかった。命令通りすぐに自室に戻ったオデットは、もしかしたら、と考えた。
もしかしたら、王は、オデットの過去の懐妊を知らされていないのでは。今でこそ王妃は王の愛妾に寛大だが、以前は王を愛し、愛妾を迎えることを強く拒否したと聞いてる。もしそのままだったなら、自分の懐妊は公表されないまま死産と告げられて、生まれた子は人知れずどこか修道院や教会に預けられ、そのままどころか、すぐに闇に葬られていたのではないか―――――――そんな可能性に思い至った。
それならば、王妃の優しさ――――あのどこか、背筋が泡立つような冷たさを押し隠した優しさも理解できた。あれは、オデットに対する嫉妬でも、懐妊したことに対する怒りでもなく、懐妊を公表したこと――――王の庶子を認めたことに対する怒りなのだ。
そして、王は、オデットに王妃の問いに正直に答えるように命じ、それを報告させることによって、自分の空白の記憶を埋めたのだ。
ぞく、と寒気がした。では、今までの流産は本当に自然なものだったのか、疑念が湧き起こる。2回の流産。あれが公表する気が無かったから、意図的に引き起こされたものだとしたら。今回のこの子は、無事に生まれてきてくれるのか。
結論から言えば、この時懐妊していた子は翌年早産となり、死んだ状態で生まれたため、系譜に載ることもなかった。
妻イザボウを遠ざけたのがほかならぬ自分自身であること、更に既に妻を守る力が無いことを認識したシャルル6世は、この後イザボウの権力を強めることで、変わらずに彼女が自分にとって大切な妻であることを示すことを決意したが、二人の間に以前のような情愛が戻ることは無かった。
イザボウとの関係改善を完全に諦めたシャルル6世は、ヴァレンティーナが去った後の己の空虚さを、また嘆き悲しむ愛妾を慰めるため、更にオデットへの寵愛を深めていく。
一方、夫への信頼を完全に失くしたイザボウは、今後の身の振り方を考えた。いくら権利を与えられても、基盤のない外国から嫁いだ妻が、全ての権力を握るのは難しい。誰か国内の有力貴族の後ろ盾が必要だった。その相手への打診はすでに済んでいる。
「ふ・・・」
イザボウは、今までの自分を微かに嗤った。
義弟との同盟は、国王の不興を買うことになるだろう。でも、それでもかまわなかった。今回のことでイザボウは、夫への遠慮をかなぐり捨てた。もう二度と、彼女が夫のことを慮ることはない。今後は、自分の思うとおりに、自分の利益だけを考えて行動する。
どれほど我慢しようと、裏で献身を捧げようと、誰もがみなそんなことには目を向けない。他人は、見たいものを見て、聞きたいことに耳を傾け、悪意を持って噂する。ならば、その通りに振舞えばよいのだ。病の国王を見捨て己のことしか考えない、強欲な王妃。それがこの国がイザボウに期待する姿なのだから。
それぞれの人物像を語ることを優先したため、時系列順の記述になっていません。わかりづらくて申し訳ありません。
また、この時点での愛妾の懐妊という事実は、歴史上ありません。イザボウの絶望を深めるために、作者が創作したものです。
時系列順としては、
イザボウが権力掌握を目指す→ルイとの密談→愛妾の懐妊公表→イザボウ、シャルル6世に摂政権を強請る→ヴァレンティーナが宮廷を去る→ブルゴーニュ公がイザボウに摂政権を与えるよう進言する→ルイに対するブルゴーニュ公の挙兵→ルイとブルゴーニュ公の和議→イザボウが摂政権を与えられる→ブルゴーニュ公死亡 ここまで書きました。 今後、今までにサラッと記述した史実を書く予定です
ルイと共同統治を行うと発表→シャルル7世の誕生→ルイの暗殺→無怖公ジャンとの同盟→シャルル7世の婚約→王太子の死去と続きます。
ジャンヌ・ダルク登場まで長いなぁ(;^_^A その後も長いし。
2つに分けた方が良かったかも・・・などと思う今日この頃です。
読んでくださっている皆様、どうぞよろしくお願いいたします。




