表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/51

31 バレたので、告白!(7)


「んん」

 

 朝日の眩しさで目を覚ました私は、ゴロリと寝返りをうった。すると固い何かにぶつかる。その温もりに思わずすり寄ると、ぎゅうっと抱きしめられた。そこで異変に気づく。


「起きたかい? おはようリディ」

「!?」


 驚きすぎて声が出ない。クリス様の麗しすぎるご尊顔が目の前にある。私はベッドで寝ていたようだが、クリス様も隣で!? ……服は着ている! よかった。


「リディ? 大丈夫? 痛いところはない?」


 私と同じく寝起きらしいクリス様は、見てはいけないのではないかというくらい眩しい。妖艶で色気がすごい。イケメンの寝起きは危険です!


「……あ、あああ、あの……」

「どこか痛いの?」

「いっ、いえ! いいえ!」

「それはよかった」


 やめて! 甘く微笑まないで! 心臓がバクバク音を立てて、変な汗が出てきそうだ。イケメンの色香で気絶しそう!


「な、ななな、なぜ私のベッドに殿下が!?」

「クリス」

「?」

「クリスと呼んでくれ」

「クリス様!」


 恐らく私の顔は真っ赤だ。恥ずかしい。そんな私を見て、くすくすと笑いながら、クリス様は答える。


「リディが昨日森で倒れたんだ。だからしばらくはここで休養してもらうことにした」

「休養? ここは、王宮……ですか?」


 確かによく見てみれば、王太子妃教育が始まってから用意された、私の自室だ。公爵家へ鍛錬の為に必ず帰宅するので、滅多に使用しない部屋なのだけれど。

 でも何故運ばれた先が公爵家ではないのか、何故クリス様と同じベッドで寝ているのか、色々な疑問が湧いてくる。頭の中は大混乱だ。


「リディが倒れた姿を見て肝が冷えたよ。君が目を覚ますまで、どうしても側にいたかった。公爵家ではそれは難しいだろう?」


 クリス様は優しく丁寧に私の髪を撫でた。そして私の身体をそっと抱き寄せる。


「目が覚めてくれてよかった。君がいないと私は──」

「あああああ、あの、だ、大丈夫ですわ! ご存知の通り、きっ、鍛えておりますからっ! ほらっ、もう元気ですっ! ご心配をおかけして申し訳ございませんんっ!」


 寝起きのクリス様は暴力的な位かっこいい。何度も言うが、色気がすごい。このスチルがあったら買う。買い占める。いつも以上にくしゃりとした前髪にとろんとした瞳、気怠げな雰囲気がたまらなく色っぽい。そんなすごい状態の男性と同じベッドの上で横になり、さらには抱き寄せられたので、もう私はパニックだ。


「あのあのあの! だ、大丈夫なので、えっと、帰りますッ!」

「ダメだ」

「えぇぇ!?」


 勢いよく起き上がりベッドから抜け出そうとする私を、クリス様が再び抱き止めた。混乱で頭がパンクしそうだ。この状況一体どういうこと!?


「しばらくリディはここで暮らして?」

「ど、どうしてですの?」

「私が、リディと、離れたくないから」

「!?」


 色気満載の男性から後ろからハグされて、耳元でそんなことを囁かれて、倒れない令嬢などいるのだろうか。沸騰する勢いで真っ赤になった私は、思考能力を失った。

 ぎゅうっと抱き寄せられながら、「私のそばにいてくれるよね?」と問われれば、混乱したまま頷くことしか出来なかった。


 そうして私はそのまま三日間、クリス様と共に過ごすことになったのだった。


 公務や妃教育も学園も全て休んで、ずーっと一緒。鍛錬もさせてもらえず、王宮から一歩も出られなかった。傷一つないのに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ