ダンジョン攻略終了
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少しの間、休息をとっていた。カイラたちは切断して動かなくなった魔族の体をまさぐっていた。何をしているのか全く分からなかったが肉がつぶれるような音が耳に届いてきた。
「あっ、あった!」とカイラの溌剌とした声があたりに響いた。
その声を聴いて、頭をもたげるとカイラが自身の顔に着いた血を手の甲で拭いながらこちらに歩いてきた。
「ねえ!見てこれ!」
そう言って突き出された手の中には水晶のようなものが握られていた。だがただの水晶ではないことは一目見て理解することができた。
「何それ?」
興味をもって顔をその水晶に近づけようとするとカイラは気を利かせて少し手を前に伸ばしてくれた。
「これは、魔力結晶だよ。高く売れるよ!」
そう言ってカイラはその球体を顔の近くにもっていった。
「それは良かったな。でもそれ光ってないか?」
「うん、光ってるよ」
カイラの視線が結晶に注がれる。それに伴って瞳が淡いピンク色に変容している。
「魔力結晶は結構貴重なものなんだよ。あの魔族から取れた物だから多分、嗜好品の原料とかになるんじゃないかな」
「嗜好品ってどういうことだ?」
そう聞き返すとカイラは少し考えた後に説明してくれた。
「えっとね、基本的に魔力結晶はそれを生み出した生物の特徴を持ってるの。例えば水を使う魔獣から採れた結晶だったら、水魔法に関係した物の原料になるとかね。ほら!風呂屋のシャワー。あれには水を使う魔獣から取れる魔力結晶を原料に使われているの。だから、幻惑魔法を得意としてた魔族なら嗜好品の原料になるかなってこと。」
そのことを聞かされて少し疑問が浮かんだが直ぐにそれは沈んでいった。
「なるほど、そう言うことか」とあまり働かない頭で考えた末に言ったがカイラには理解していないことが伝わったらしい。
「まあ、とにかく需要が高くて高値で売れるってことだけ覚えておいたらいいよ!」
そんな風に半ば呆れられたような感じで言われた。
「高いのは分かったが、その理由は何なんだ?」
自分でもどうでもいいなと思いつつ、気が付いたときには口に出してしまっていた。
「ああ、それはね。これ単純に使い切りなの」
そう言って手に持った結晶を眺める。
「そのくせ、生活には必要なものだから値段が張るの。売る方としては足元を見ているってことになるのかな」
そう言いにくそうにして、結晶を腰に提げた袋の中にしまい込んだ。
「まあ、私たち冒険者にとっては臨時収入みたいなものだからあんまり気にしなくていいよ!」
カイラは立ち上がって再び、死体の方に戻っていった。だがその後は特に目立った収穫は無かったらしく、一人で死体漁りをしていたフガと共に戻ってきた。
「まあ、こんなもんかな」
「だな」
納得のいった様子で二人が顔を見合わせていた。
「よし、それじゃあ帰ろっか!」
カイラがいまだ地面に座っていた俺に手を伸ばしてくる。その手を取って一息に立ち上がった。
「一つ質問があるんだが、魔族を倒したって証拠がいると思うんだが、どうすればいいと思う?」
全員の方を見て、そう言う俺に三人は間の抜けた顔を向けてきた。
「ん?別にこれでいいじゃん」
そう言ってカイラが指し示す先は、フガが持っていた袋だった。その袋は下の部分が赤く染まっており、何が入っているかは明らかだった。魔族の少女の方を見てみると、切り落とされた頭部が無くなっており、胴体だけが地面に転がっていた。
「あれさ、埋めなくていいの?」
そう言って死体の方を指さした。
「まあ、気になるなら埋めるか、燃やすかしたらいいと思うよ。そんなことする冒険者はほとんどいないけど」
サーラとフガもこいつ何なんだみたいな顔をしている。
それを見て「分かった。少しだけ待っていてくれ」と伝え三人のもとから離れた。
死体に近づいて改めて見てみると、魔族とは言え見た目はほとんど人と同じであるため気分が少し悪くなった。だがそう思いながらも手を揃え合掌の形をとった。その後わずかに回復した魔力を使い、胴体に火をつけた。
そして全てが灰になって、風に乗ってどこかに飛んでいったのを確認して三人のもとに歩いて戻った。
「よし、帰ろうか」
俺たちは地上を目指して歩き始めた。
その後特に大きな問題も起こることが無く戻ることができた。途中数匹の獣に襲われたが、フガとカイラの二人だけで追い払うことができた。その時に少し二人はケガをしてしまったが、その傷もサーラが回復魔法で治療して、化膿してしまう事態にはならなかった。
そうして俺の二度目のダンジョン攻略は幕を閉じた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。誤字脱字等ありましたら教えていただきたいです。次回もよろしければご覧ください。




