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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
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その後の処遇

回想終わります。

 えっ?牢屋に入った経緯が分からないって?いや大したことじゃないんだがあの訓練の次の日は、さすがに休息をとるようにカイラに言われたんだ。いきなり出鼻をくじかれたような気にもなったんだが、せっかくということでその日は街を見て回るということになったんだ。カイラも一緒に散策しないかと誘ったのだが、その日は俺が冒険に出るための書類を提出しないといけないらしく、断られた。そんなわけで一人で歩いていると、初めてこの世界に来た時とは違って文字も読める、数字も読める、といった具合で勉強の成果がありありと現れているのを心の底から楽しんでいたんだが、それもしばらくすると当たり前になり、ただ歩いているだけでは楽しめなくなった。もちろん天気は良く肌を優しくなでる風が吹いており、その風に乗って陽気なケルト音楽が街全体を包み込んでいた。それに街の家々は西洋風のデザインで建てられており五感すべてで楽しめたのだが、端的に飽きてしまった。そこで俺は文字が読めるようになってから是非とも行きたいと考えていた場所に行った。そうカジノって書いてあるその場所にね。

 俺がいたころの日本では本格的なカジノは無く、もし金銭をかけて賭け事がしたいなら、海外に行くしかなかった。もちろん競馬や競艇、パチンコといったものはあったけど、どうにも興味をそそられなかった。そんなわけで俺は今カジノの目の前にいる。この国ではカジノに入るためには、ある一定以上の資金があれば入場することが可能らしい。そんなこともあり18歳ながらも俺は今、店に来た客同士で金を奪い合っている。俺にはスキル「豪運」があり、序盤中盤は上手いこと流れに乗り、持っていた資金を3倍程度に増やすことができた。だが終盤に差し掛かるにつれて少しづつ負けが越してきたんだ。その結果最終的に持っていた資金を全て失った。挙句の果てに負け分を取り返そうと借金まで背負って勝負を仕掛けたのだが普通に負けてしまった。そして俺は、あることを全財産以上のものを失って思い出したのだ。

 俺は全てのチートスキルを女神からもらったが、その全てのスキルが半分程度、もしくはそれ以下の効果しか発揮しないってことをだ。つまり、真に実力のある相手と戦うときに、スキル頼りで応戦してしまうと普通に負けてしまうってことだ。そのことに気が付いたときには時すでに遅し。俺は金を返すように人相の悪い奴らに詰められていた。

 そんな、今までに経験したことがない状況に頭が混乱し、そこにいたやつらを全力で吹き飛ばし地面にたたきつけたうえで、その場から走って逃げてしまった。もちろん風魔法や身体強化、相手に対してのデバフスキルも使った。そして逃げ帰るように戻ると、門の前にはカイラが情けないといった様子でこちらを見ており、俺から、どうしたのかと話しかけると全力のパンチが俺の左頬を襲い俺は気を失った。

 そして目が覚めると牢屋の中にいたってわけだ。ここに入ってから三日ほど経過した。どうやら俺が金を借りた相手はこのあたりでは、あまり評判が良い金貸しとは言えず、俺のように右も左もわかっていない奴に大きな金を貸し、返せなくなったところで、脅迫し奴隷として売ってしまうといったことを繰り返し行っていたらしい。街としても問題視はしていたが、確たる証拠もつかめず逮捕に踏み切れなかったそんな折に、俺が少し暴れたおかげで現場調査を行うことができ、これまでの悪事の証拠を見つけることができ、捕まえることができたらしい。だがそれと俺が武器などの購入費を使ってギャンブルしたこと、さらに借金までしたことは、また別の話であるため俺の処遇をこの3日間で話し合っているというところだ。今日、その話し合いの結果によっては俺はこの街を去らなければならなくなるかもしれない。

 そんなことを考えていると鉄格子の前にカイラが来ており、声をかけてきた。

 「牢屋から出てきなさい」その声に応えるように俺は牢屋を出た。カイラがここに来たときに牢の前にいる二人の兵士が挨拶をしていたことからもカイラはかなり地位が高い人間なんだと感じた。

 「ついてきなさい」その淡々と事務的に発せられる言葉に従い、俺はカイラの後をついていった。

 そしてしばらく歩いた後、俺は荘厳な木で作られた扉の前に立たされた。鈍重な扉が音を立てて両手を広げるように開くと、眼前には裁判所のような雰囲気の広間があり、何人かの兵士、俺をこの世界に召喚した奴ら、司教のような恰好をしたやつがおり、広間の一番奥には王冠を被った偉そうなやつがいる。

 どうやら今から、個の3日間の審議の結果を伝えられるらしい。俺にはこの世界に来た時同様発言権などはないらしい。あと数分後には俺はどうなっているのだろう。

 心配しながらも広間に入った後は、判決が言い渡されるのを待つだけだ。そう思い覚悟を決めた。

次から話を進めていきたいと思います。

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