エルフと獣人
よろしければご覧ください。
「分かりました。それではこの二匹の奴隷をパーティーのメンバーとして登録します。それと、今からクエストは受けられますか?」
ギルドでここまでのことを話し、二人の登録をしてもらった。だがクエストは受けないことにした。とりあえず、親睦を深めるところから入らなければならないと思う。特に犬の獣人の方は俺たちに対して敵意を向けてきている。こんな状態で一緒にクエストに行くことなどできない。
「えー、とりあえず自己紹介でもするか」
俺たちは今現在、寝泊まりしている宿に帰ってきた。出て行ったときは二人であったにも関わらず、帰って来たときには、奴隷を連れた俺たちを見て、宿の女将は怪訝な顔をしていた。
「俺のことは蓮って呼んでくれ」
そういうとカイラが「私はカイラ」と続けざまに二人に言った。
「お前たちの名前を教えてくれるか?」
「俺はフガ」
それだけだった。まあ俺も名前しか言ってないから別にかまわないが、少しぐらいは愛想よくしてくれと思う。
「私はサーラと言います」
二人とも顔が暗い。エルフのサーラの名前だけの自己紹介をした後、沈黙が訪れた。
「そうか、二人ともよろしく頼むな」
再び、音が消えた。
そんな状況の中、どうしようか迷っている様子の俺を見かけて、サーラが気を利かして質問してくれた。
「あの、お二人はどうして私たちを買われたのですか?」
その問いに対して、俺たちは包み隠すことなく事情を説明した。
「なるほど、つまりヒーラーが必要であり、人数も足りてなかった。そのうえ、お二人は周りの冒険者によく思われていない、と」
「まあ、そういうわけだ。だから二人にはクエストに参加してもらうことになる。だから、二人がどんなことができるのか教えてくれると助かる」
サーラの方に目を向けると、分かったという風に首を傾けた。
「私は回復魔法を使うことができます。ただ、回復が専門なので前線に出て戦うことは難しいです」
そう言った後、黙ってしまった。その様子を見て次はフガの方に話を聞こうと視線を移した。
「ああ?俺か?俺は味方の身体強化をするぐらいだぜ。まあサーラよりは戦えるとは思うが」
「分かった。ならこの四人でクエストに行くときの陣形としてはカイラを先頭にしてその次に俺、その後ろにサーラ、最後尾にフガって言う感じでいいか?」
そういうとカイラは別にかまわないといった風だったが、フガとサーラはきょとんとした顔をしていた。
「ん?駄目か?何か意見があるなら言ってくれると助かるんだが。ああ、あれか?実際に戦闘になった時のことか?その時は基本サーラを守りながら、それぞれが各々好きに戦っていく感じになるけどそれでいいか?」
不意を突かれたように「ああ、いや。それでいい」とフガが言った。そんな様子のフガを横目にサーラが口を開いた。
「いいんですか?それで?」
何かを疑っているような口調だった。
「ん?何が?」
「えっ、あっ、カイラ様と蓮様がこのパーティーの先頭にいることです。普通、最も危険な先頭は隊の中で防御能力が高い者か、私たちみたいな奴隷を使って安全に進むことがほとんどです。それなのにどうして」
そういうものなのか。よく知らなかった。この世界における人間以外の奴隷はかなり雑な扱いをされているのかもしれない。確かにギルドの登録に関してもやけにすんなり事が運んだなと感じていた。俺たちの時は昇級試験を受けさせられたのに、この二人は特にそう言った試験を受けろとは言われていなかった。その時は気にも留めなかったが、今にして思うと、ギルドが、というよりも人間が人間以外の種族を見下しているのかもしれない。もしこの考えが正しいなら二人が不審がるのも当然である。しかし、それならば伝えないといけないことがある。
「それは二人が先頭に立つよりも、カイラと俺ほうが全員で帰ってこれる可能性が高いと思ったからで、それ以外の理由はないが他に質問はあるか?」
「いえ、そうですか。分かりました」
そう言うサーラとその横に座るフガは呆れたような顔をしていた。その状況に耐え切れなくなってカイラのほうを見ると、ひとり爪をいじっていた。
「ごめん、カイラ。俺一人だけいろいろ話して」
「ううん。別にいいよ。それよりもさ、この部屋ちょっと狭いし暑くない?」
手で顔のあたりを仰ぎながら、額に汗を浮かべている。サーラとフガの二人も言わないだけで暑そうにしている。それに二人は身につけている服が貧相な代物なので、体にへばりついており体のラインがくっきりと出ている。フガの方は透けて見える体からも中々に良い筋肉がついており、これは期待できると感じた。一方、サーラの方は特に筋肉らしきものは見当たらなかったが、しっかりと出るとこは出ており男の目には魅力的に映る。だが、そうやって見ているとサーラが恥ずかしそう頬を赤らめた。
「すみませんが、あまりじろじろ見られるのは恥ずかしいです」
「すまん」
慌てて目を背けたが既に遅かった。カイラの掌が俺の頬に綺麗に収まり、俺は床に倒れこんだ。
「ごめんね、サーラ。あとでしっかり言っとくから。こいつらには」
カイラがサーラに謝りながら、冷たい目を向けてくる。
「おい、こいつらってどういことだ?」
フガが慌てた様子で聞くが、知るかとばかりにサーラの手を取り立ち上がった。
「とりあえず、服。買いに行こ!こんな奴らほっといて」
カイラに手を引っ張られる形で二人は出ていってしまった。部屋の中には俺とフガだけが残された。
ここまで読んでいただきありがとうございます。少し文字と文字の間隔を空けてみました。今までと比べてどちらが良いか教えていただけると幸いです。最後になりますが、よろしければ次回もご覧ください。




