店の中には
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店の中は想像していたよりも明るかった。そして何より綺麗だった。まるで式場のような。温度管理も適切に行ってあり、かなり心地よい。それに、店の中を彩る花々も、それぞれが個性を出しすぎることなく、店になじんでいた。だが、そのどれもが違和感を覚えさせる。
俺とカイラが案内された部屋には扉が二つある。一つは俺たちが入ってきた扉。そして、もう一つは奴隷商の男が俺たちを案内した後、入っていった扉。
しばらくすると男が扉を開けて、部屋に入ってきた。
「すまん、待たせたな。これが店で扱っている商品の情報だ」
テーブルの上に置かれた紙の束には、名前と性別、種族といった個人情報といえるものが記されていた。
紙の枚数は15枚もある。一枚一枚に丁寧に目を通すが、どうにも分かりにくい。
「どうする?どれか買うか?」
資料を見る限り、ほとんどのことは書かれていたが、それぞれがどういった能力があるのは書かれていなかった。そのため本当に知りたいことは分からなかった。
「直接奴隷を見ることはできるか?」
「ああ、別にかまわねーが、汚れるかもしれねーぞ?」
「それでもいい」
「なら、ついてきてくれ」
案内してくれるらしい。だが汚れるとか言っていたし、カイラには一応聞いておかなければならないことがある。
「カイラはどうする?汚れるかもしれないらしいから、ここで待っとくか?」
そう聞くと、私もついていくと言わんばかりに立ち上がった。
「よし、それじゃあ来てくれ」
部屋に案内されたときに男が消えていった方に案内された。扉の向こうには道が続いている。すると、男が先を進んですぐのところで止まって声をかけてきた。
「ここを降りたところに、奴隷がある」
急いで、男に追いつくとそこには下に続く階段があった。
「足元が暗いから気を付けてくれ」
その注意に従って、地下に進んでいった。
「ここだ。この先においてある」
また扉があった。だがこの先に奴隷がいるのは明らかだった。扉の向こうからこの店に入るときに感じた、陰鬱とした雰囲気を感じた。
「よし、開けるぞ」
男は厳重に施錠された鍵を外し、厚みのある扉を力いっぱい引っ張った。自然と男の腕に血管が浮き上がる。そんな姿を見ていると、次第に扉は嫌な音を立てながら、ゆっくりと動いた。
「おら、入ってくれてかまわねーぞ」
息を切らしながら、男は俺たちにそう言った。
部屋の中は、蒸し暑かった。店に入ってすぐに案内された部屋はかなり快適な温度に維持してあった。だがここにはそう言った温度を調整するための魔道具は無いらしい。そのため先ほどから汗が体を這っており不快な気分だ。また地面を掘りぬいて作られたこの部屋では、蝋燭がゆらゆらとあちこちで橙色に煌いてはいるが、それ以外の光源は他に無く、部屋の中は薄暗い。そして部屋の中に道を作り出している、布の被った四角い箱。おそらくこの箱は檻でその中に奴隷がいるのだろう。
「これめくっていいか?」
「ああ、好きに見てくれ」
男からの了承も得られたので、目の前の布をはぎ取った。
読んでいただきありがとうございました。腰が痛くなってきたので、中断します。よろしければ次回もご覧ください。




