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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
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思わぬ落とし穴

よろしければご覧ください。

 「すみません、このクエストは受けられません」

 えっ?二人して間抜けな顔をしていた。

 「えっと、どういうこと?」

 カイラがすぐさま聞き返していた。

 「このお二人が受けようとしているクエストなんですが、場所のほうがダンジョン内になっていまして、最低でも四人での申し込みが必要なんです。それにお二人は知る限り、どちらも戦闘特化タイプの冒険者でいますよね?」

 「はあ」

 間抜けな声で返答した。

 「ダンジョンの二階層以降は、回復役、つまりヒーラーの役職を持つ者が一人いないと攻略は難しくなっていまして、今のお二人では危険すぎます。ですので受けることができないということです」

 「いや、俺たちなら大丈夫です」

 何とか食い下がろうとしたが、無駄だった。

 「いや、そういうわけにはいかなくて、規定として決まっていまして例外は認められないのですよ」

 申し訳なさそうにそう言うが、少しだけ粘ってみようと思う。

 「そこを何とかできないですか?」

 「はい、できないですね」

 はっきりと言われてしまった。

 「というのもですね、二階層以降は危険度が高まるといった話は先ほどしましたが、それに伴って、クエストに行ったきり帰ってこれなくなる方も、一階層よりも格段に増えるですよ。それに二階層以降のダンジョン内のマッピングは完全ではなくて、偶然三階層に降りる道がここ何年か前に見つかってようやく進めるといったところなんです。それぐらい広くて謎が多いところなんです。ダンジョンというのは」

 滝のような勢いで、ダンジョンについて説明された。その迫力に一歩退いてしまった。だがそんな俺を見て、少し冷静になったのか、受付の人が背筋を伸ばす仕草をした後、少しの間目を閉じた。そして改めてこちらのほうを見つめてきた。その様子は俺たちのことを心配しているような顔だった。

 「ギルドとしても、冒険者の方々が戻ってこられないのは辛いことなんですよ。ですのでどうか、納得していただきたいと思います」

 そんなことを言われてしまっては、もうどうしようもない。俺とカイラはダンジョンに潜ることは諦めることにした。

 「どうしよ」

 カイラが困ったように言う。

 「どうするもこうするも、何とかするしかないだろ」

 「そうなんだけど」

 そう呟いて、しばらく無言の時間が過ぎた。

 「誰かいるだろ。クエストのために一時的に適当なパーティーと組めばよくないか」

 沈黙を破るように提案したが、どうやらカイラの顔を見る限り、あまりいい案ではなかったようだ。

 「蓮は知らないかもだけどね、今の私たちのパーティーって周りからの評判が全然よくないの」

 「えっ?」

 「だって、よく考えてみてよ。もし私たちみたいなパーティーが周りにいたらどう思うか」

 「ん?何も気になることなんてないだろ」

 「蓮はそうかもしれないけど、私たちのことを危険だと思っている人や、妬んでいる人が結構いるの。というのも、あの昇級試験の時、私たちが助けたパーティーいるでしょ?」

 「ああ、あのパーティーな」

 「うん、いつだったか忘れたけど、あの時全員は助けられなかったって言ったの覚えてる?」

 「ああ」

 覚えてるよ。その話を聞いたとき残念に思ったからな。どこの誰かも知らない奴らだから、いずれ忘れるだろうと思っていたが、そうはならなかった。そのせいか、今でも夢に見ることがある。

 「そのパーティーの生き残った人たちが、私たちがすぐに助ければ誰も死ななかったとか、私たちは試験にクリアすることばかり考えていて、助け合いの精神がなかったとか、周りに吹聴しまわっていたらしいの。それを聞いて多くの人たちが、私たちと彼らを見比べた。私たちは見た目的には大したケガもしていない。何なら次の日には、一人は普通に動いている。もう片方のほうも、昏睡状態ではあるらしいが、ギルドから支援によって、それなりに快適な環境に身を置いているらしい。だがその一方で生き残った彼らは、どちらとも目に見えて大けがをしている。それに仲間も失ったとか。その二つのパーティーを比べたときに世間がどちらに寄り添いたいかは一目瞭然でしょ?」

 「なんだそれ」

 腹が立ってきた。訳の分からないことを言われ、評判が落ちているだと?助けてやっただけでも感謝しろよ。奴らは頭を地面にこすりつけてお礼を言ってもいいところだ。そもそも、俺たちがそこに居合わせたのは偶然であり、その状況を俺たちがどのように行動しようと勝手だ。確かに、一番いいタイミングは何時かとか考えていた気がするが、そうやって自分たちが最大限利益を得るチャンスをうかがうのは当然のことだろ。そんなことを言うなら一生、安全な場所から出るなと思う。

 「蓮が怒るのも分かるけど、諦めるしかないよ。そのことについては」

 顔に出ていたか?そう思い、顔に意識を向けてみるが先ほどと何ら変わらない。カイラは一体何を感じ取ったんだ?

 「でね、今、問題なのはそのことが足を引っ張って、誰も組んでくれないかもってこと。だから、蓮が出してくれた案はかなり厳しいと思うの」

 だからカイラは訝しい顔をしたのか。納得がいった。しかしそうはいっても他の方法なんて思いつかない。

 「それでも、手当たり次第に声をかける以外の方法しか無くないか?」

 「うん。実際いろいろ言ったけど、それしか方法が思いつかないのは、私も一緒なの。でも、断られる可能性が高いってことだけは覚えておいて」

 カイラが忠告のような形で言ってきた。

 「分かった。よし、とりあえず今からしばらく時間を取って、そこらへんにいる奴らに話かけよう」

 「分かった。でも言ったからね。断られることが大前提だって」

 俺は首を下に振って頷いた。とりあえず、テーブルを囲うように座っている4人組に話しかけよう。そう思って席から立ち上がると、それに続いてカイラも適当なパーティーを見つけ、席を離れていった。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。よろしければ次回もご覧ください。

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