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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
24/54

衰えたからだ

よろしければご覧ください。

 あれからリハビリを始めて一か月が経過した。初日は、ものの十分も続けて歩くことなどできず、介護ありきでどうにかこうにかやり遂げた。それだけで一日の気力の半分程度を損なったような徒労感を感じた。それに食事も味気なく、臓器に刺激を与えないようにと、淡泊なスープが主だったメニューとして目の前に用意された。カイラは俺に悪いからと外で外食してから部屋に来ていた。正直その時は、自分の状態を甘く考えていたふしがあった。歩いていても、発汗能力が弱っているらしく、上手く汗をかくことができず、体に熱がこもり体調を崩した。そして、少しは自然の中で歩いたほうが良いと言われ、外に出たときは、ただの日光に対して、なぜ昼は太陽が昇るのか、月を見習って夜に昇ってこいとか、訳の分からないことを考えていた。今にして考えると夜に太陽が昇ってきたら、それはもう夜ではなく昼になるのではないかとも思う。だがそうした馬鹿な考えが浮かんでくるほど、今まで当たり前にあったものが、途端に牙をむき襲ってくる感覚に襲われることには耐え難いものがあった。失って初めて気づくとはよく言ったもので、普段当たり前に歩いていたこと、息を切らすことなく話していたこと、一日のうちの半分以上の時間を外で動けたことなど、挙げ始めるときりがないが、そういったことが自由にできなくなって、ようやく今までの自分が恵まれていたことに気付けた。しかし、こうした考えも不便であるがゆえにうまれてくる考えであり、またしばらくしたら忘れてしまうのだと思うと辟易する。また意気込んではいたものの、実際に体を動かすことは難しかったため、部屋の中にいる時間は長かった。だがその時間も別に無駄に過ごしていたわけではない。部屋にいる間は瞑想にふけっていた。というかこれぐらいしかやることがなかったのだ。食事は決まった時間にしか用意されず、間食などもってのほかだった。かといって、部屋の中にはテレビや漫画といった転生する前の世界にはいくらでもあった物も、部屋には何一つとしてなかった。そのため本当に壁や天井のシミの数を数えるぐらいしかやることがなく、それならばと、確か魔法の強化には呼吸が大切だ、みたいなことをかつて聞いた記憶が曖昧に頭の中に残っていることに気づき、とにかくやることも、やれることもないので、せめてもと思い、取り組んでみた。だが何とはなしに始めたものであったが、これまた実際に意識を体の中に向けるとなると難しく、余計なことが頭の中をよぎる。だがそうした雑念すらもなくなった、状態に開始から30分ほどで至った。そうして改めて、自身も魔力やスキルについて向きあってみることにした。1週間ほどは認識もできなかった。一人でさまよっている感じであった。だが本当に少しづつ、照れ屋な子が心を開いていくかのように、毎日取り組むことで魔力やスキルを僅かに知覚できるようになった気がした。気がしたと思ったのも、別に魔力やスキルが人型になって懐いてきたというのではなく、なんとなく、感覚的に、そう感じたから、気がすると表現になった。だが、こうして改めて自分自身と向き合うことで、頭の中が整理されていく感じがした。これからのこと、それを達成するために必要な力など、考えなければならないことは多分にある。

 その日から、まずは自身の体を元に戻すためにも、少しずつ、本当に少しずつではあるがリハビリに精を出して取り組んでいった。

 そうして一月ほどの時間が経過し、今日という日にいたった。

今回もご覧いただき、ありがとうございます。また次回もよろしければ見ていただけると嬉しく思います。

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