ダンジョンでの二次試験1
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試験二日目、カイラの昨日の話にも出てきた「ブラックウルフ」が課題だと試験官にダンジョンの入り口で告げられた。ダンジョン入り口前には、俺たちのほかに試験を受ける奴らも何人かいた。ソロで試験に挑む者、俺たちと同じようにパーティーで挑む者と形態は多種多様だった。
そうこうしているうちに試験についての説明が終わった。試験は受験者が間隔をあけてダンジョンに潜って行われる。ダンジョン内は複雑に入り組んでおり、他の受験者の邪魔をする行為などは不可能であり、また入った順番に出てくるとも限らないと言われた。また複雑故、人によっては出てこれない場合もあるのだとか。だがそうなった場合は試験官がダンジョンに潜り、出口まで連れ出してくれるらしい。そのために俺たちにはダンジョンに入る前、手の甲に星形を二つ組み合わせたような形の、魔法陣が刻み込まれた。受験者が死なないように仕組みが整えられている。その甲斐もあり今まで、この試験で負傷した者はいるも、命を落としたものはいないと言われた。加えてダンジョンに入り階段を下った後は必ず地面と平行に探索を進めろとも言われた。間違っても階段を下ることは無いようにと、複数回告げられた。どうやら二階層には今の俺たちの冒険者としてのレベルでは到底太刀打ちできない奴らが何体もいると言われた。中には魔族によって強化されたモンスターがいるとか。だが階段を下らない限りは問題なく、二階層のモンスターが一階層に上がってくることもないらしい。
一回目の受験者集団が階段を下っていった。四人パーティーで試験が始まる前も楽しそうに談笑していた。確か男三、女一人のパーティーだった。今の時点でパーティーを組んでいるのは俺たちと今ダンジョンに潜っていった組と他2組だ。そのほかは基本的に一人だった。だがこの今の時点では一人でいても何ら変ではない。なぜなら今のランクで受けることのできるクエストは一人でも簡単に達成することができるからだ。むしろパーティーを組んでいるほうが珍しいまである。実際、誰かと組んで冒険を始めるのは、この試験の後、ランクが上がり討伐などのクエストが受けられるようになってからが一般的らしい。試験を通して自分に足りないものを感じ取り、それを補ってくれる相手を探し、パーティーを組み、冒険に出る、ダンジョンに潜る、といったことがテンプレだとかなんとか。
そうしている間にもどんどん受験者はダンジョンに潜っていった。次で、ようやく俺たちの番だ。試験というのは集まるのは早いが、実際に取り掛かるまでには、時間がかかるというのが世の定石だ。ダンジョン前に来てからかれこれ2時間ほど経過した。だがそれもこれもようやく終わる。
そして俺たちの名前が呼ばれた。
「よし。それじゃあ行くか」
カイラは伸びをしながら華麗に立ち上がった。そしてそのままダンジョンの前まで歩いて行った。
ダンジョン外から見える位置には下に続く階段しか見えない。それに暗くじめじめしており、漂ってくる風が肌にまとわりつく。
「カイラ準備はいい?」
「うん、特に問題ないよ、さっさと行って、さっさと戻ってこよ!」
それを合図に俺たち二人は一歩、一歩確実に階段を下りていった。
階段を降り始めてからしばらくの間は、ダンジョンの入り口からの射し込んでいる光で足元が見えていたが、それもそのうち届かなくなり、あたりが次第に暗くなっていった。こんなところで足を滑らせて、試験終了なんて馬鹿なことに、ならないためにも魔法を使った。掌に炎を出し、自分たちの周辺を照らした。これで問題なく下に降りていけるが、問題はこの継続的な魔法の使用によってどれだけ魔力が削られるか分からないということだ。ほとんど問題ないと思いたい。また戦闘になった場合はカイラを軸として戦うことになるだろう。そのため、それまでのことでカイラを消耗させたくない。とりあえず何も見えないことによる精神的な疲労は感じさせたくないと思う。
「ねえ蓮、そんなにずっと魔法を使っていても大丈夫なの?」
「うん、たぶん問題ないと思う」
「それならいいんだけど」
階段を降り始めて10分程度が経過した。そろそろ階段の先が見えてくると思うが、普段だったらこんなに時間はかからないだろう。やはり暗闇で得体のしれないところに入っていくのは緊張しているらしい。
「見て」
カイラが階段の下を指さした。そこにはオレンジ色の灯りが暗闇の中にある階段をぼんやりと照らしていた。どうやら階段はこれで終わりらしい。俺は魔法で作った炎の明かりと、階段の出口から漏れ出す明かりが混じりあったところで炎を消した。
「行こうか」
俺とカイラはその明かりを目指して階段を駆け下りた。そしてその降りた先にはいくつにも分岐する道が広がっていた。
その光景を前に、ここからが試験本番なのだと気を引き締めなおした。
ようやく試験が始まりそうです。始め端的に書こうかと思っていたのですが、書き始めると書きたいことがどんどん出てきたので、複数回に分けて書こうと決めました。最後になりますが今回もご覧いただいた方、本当にありがとうございます。優れた文章ではないと思いますが、よければ次回もお付き合いください。




