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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
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薬草採取のクエスト

今までで一番長くなりました。良ければご覧ください。

 辺りは鬱蒼とした木々が俺たちのいる草原を囲い込むようにそびえたっている。針葉樹のような形をしており、今朝振った雨の名残が葉の上に残っている。

 俺とカイラは薬草を取りに来ている。かれこれ二時間ほどが経った。なぜこんなクエストをしているのかについては理由がある。そう、これしか受けられなかったからだ。実をいうと俺は初め、討伐系のクエストを受けようと考えていた。だがその類のクエストは俺たちのランクでは、まだ受けることができないと言われ、仕方なく別のクエストに来ているということだ。だがこのクエスト、考えていたよりも難しい。それはその目的の薬草が生えている場所には様々な種類の植物が群生しており、素人が一目で判断して採取するということはできない。俺は鑑定のスキルを持っているため多少は見分けがつくが、前にも言ったように俺のスキルは中途半端なため、有毒か無毒か、程度の判断しかできず、結局「無毒」と判定されたものの中から改めて目的の薬草を探さなければならない。そのために今は植物図鑑と格闘している。カイラはそういった鑑定の能力は無いため、とりあえず目についた植物を採って来てもらうことにした。だがカイラが持ってくるものはどうにもはずれ、つまり有毒のものが多く今のところ6割弱が毒草だ。というか見た目からして絶対に毒を持っているものもいくつかある。今しがたカイラが持ってきたものの中には赤と紫の模様が葉に描かれており、手に持っただけでピリピリと刺激が走った。いったい、いつ終わるんだこれ。そう思っているとカイラがまた追加の植物を持ってきた。半ば諦めていたが今回は毒草ではないらしい。

 「ねえ、蓮これじゃないの?」

 そういうカイラの手には濃緑に青が混ざったような色の植物が握られていた。

 「うーん、だといいんだけど俺が分かるのは毒草かそうじゃないかぐらいで、今回狙っているのは毒草じゃないらしいから、その集めたものの中からさらに探さないといけない」

 そう言ってカイラの持ってきたものを見てみるとどうやら、毒草ではないらしかった。

 「よし、とりあえず今集めたものの中に目的のものがあるか探そう」

 「うん、わかった」

 カイラは隣に座って来て、胡坐をかいている俺のひざ下ほどの高さまで積み重ねられた植物の中から一つを手に取り、目的の薬草か、図鑑で確認し始めた。ちなみに毒草はその1,5倍ほど集められた。

 この今、俺たちの目的の薬草は、加工されポーションに姿を変えるらしい。回復ポーションであったり解毒のポーションであったり、原材料の薬草によって効果が変わるらしい。また単にすりつぶして成分を抽出するだけでは完成せず、いくつかの薬草を混ぜ合わせてそれぞれのポーションを作成するらしい。らしいというのは、ポーションの作り方は協会が秘匿しているらしく、一般の人間には知られていない。カイラにそう教えてもらった。それでも以前の街で少し小耳にはさんだレベルだと言っていた。

 そうこうしているうちに目的の薬草が見つかった。葉の形も葉脈の形も多少の誤差はあれど図鑑のものと一致しているのが見つかった。二人で確認しあってもおそらく間違いがないという結論に至った。色は夕日のようなオレンジ色で少し黄金色も含まれていた。

 「これだ~」

 二人して静かに声を出した。

 「カイラ、これがあった場所覚えてる?」

 「うん、ついてきて、今から必要な分だけ一緒に採りに行こ」

 そうして飛び跳ねるように立ったカイラに続いて、ゆっくりと足を崩し、立った。カイラは俺が立ったのを確認した後すぐに走り出した。そのあとを追ってついていくと群生している場所まで来た。

 「もしかしてあれ?」

 「うん、あれ」

 そう引きつる笑顔で言うカイラに対して俺の顔から熱が消えていった。そうあったのだ、目的のものが生えていたのだ。だが、眼下には今にも崩れだしそうな不安定な足場、一歩間違えて進めばそのまま奈落に落ちていくだろう。底が見えない。そうなのだ、その薬草は渓谷の壁に横に生える形で存在していた。

 「あれ、どうやって採ったの?」

 頭に思い浮かんだことをそのまま伝えた。

 「実は蓮に持っていたやつは、一本だけ手を伸ばせば届くところに生えていたの。そのあと蓮がこれじゃないかって言ってこの薬草を見せてきたときに「まさかそれが目的の薬草だったなんてどうしよう」って思ったの、でも採るしかないし、とりあえず連れてきたの」

 「あんなところに生えているものをどうやって採るんだよ。下手すりゃここで終わりだ。低ランクのクエストだぞ。勘弁してくれよ」

 つい弱音を吐いてしまった。それからしばらく頭を抱えて座り込んでいる。

 「大丈夫だよ、蓮、私が行くから」

 不意にカイラがそう言った。足は震えていたがそれを隠すように準備を進めている。

 「なんで、あんなところに採りに行こうと思えんだよ。戦うのとは違うまた別の怖さだろあれ」

 「だって、採り終えないと帰れないし、それにもし、クエスト失敗したら次のランクに上がるのが難しくなるから魔族や魔王を倒すのが遠のくから絶対にクリアしないと」

 そう言って持ってきた縄を自分の体に巻きその先を近くの巨木に巻き付けようとしていた。

 「待って、この渓谷に降りる役目は俺がする。今日だってほとんど、薬草を集めてくれたのはカイラだし、俺も一緒のパーティーなんだから少しは何かしないといけない、と思う」

 そう自分に言い聞かせるように言うとカイラは困惑していた。だが俺の気持ちを読み取ってくれたのだろう、すぐに自分に巻いていた縄をほどき俺に渡してくれた。

 「カイラ、木に巻き付けているとはいえ、俺怖いからさ、縄、握ってってくれないか?」

 そう、震えながらいう俺に対してカイラは当たり前じゃんという顔をして静かに縄の先に手を添えた。それを見て少し安心した。そもそも俺は仮にもこのパーティーのリーダーだ。危険な場所には率先して先行しなければならないと思いなおした。

 「じゃあ、行ってくる」

 「うん」

 そう言って、俺は少しづつ岩肌を下っていった。

 上のほうは大丈夫だったが薬草まであと少しのところぐらいから壁に水滴がついている。上のほうは乾いていたが下のほうは暗く湿度が高いため今朝の雨の水滴が蒸発していない。より慎重に降りていかなければいけない。そうして手を伸ばせば取れそうなところまで降りてきた。だが、ここで少し気が抜けてしまった。落ちるかもしれないという恐怖と戦いながらここまで来た。これを採れば上に戻れるといった一種の安堵によって手の力が緩んでしまった。そしてそのまま手を滑らせ焦ってしまい、バランスを崩してしまった。あっ。

 気が付くと俺は縄に吊るされる形で空中にいた。今の自分の状況を判断するのに少し時間が必要だった。そしてかなり危険な状況だと気付きすぐに縄を揺らし壁にへばりついた。しばらく息を整え心を落ち着かせた。そしてここに来た目的を思い出し、急いで近くの薬草を必要数採取した。そのあとカイラに合図し上まで持ち上げてもらった。

 上に上がって驚いた。なんと縄を巻き付けていた木が折れておりカイラが一人で俺のことを支えていたらしい。どうやら縄を結び付けていた木は喰木虫にやられていたらしく、カイラに話を聞いたところ、いきなり縄が引っ張られ何が起こったかも確認する暇もなく、今まで耐えていたと言われた。もしカイラがいなければ、あのまま渓谷の底まで一直線で落ちていたと思うと背中から冷汗がだらだらと出てきた。

 「蓮は、大丈夫だった?」

 「手が滑って死ぬかと思ったけどカイラがいてくれたおかげで何とか生きて戻ってこれた、カイラには感謝してもしきれないよ」

 「別に感謝なんかしなくていいよ。今回たまたま私が蓮を助ける結果になったけど、一人だったら蓮の手に持っているその薬草は手に入らなかったわけだし、二人だからこそ達成できたんだと思うよ」

 そして、その言葉を最後に俺たちはしばらく休憩するために、元いた場所に戻った。そこで休憩し終わった後、俺とカイラは薬草の数を二人で確認し、必要数採取できたことに安堵した。そのあとここまで来た道を通り街に戻りギルドにクエスト完了の報告をして、宿に戻った。

読んでいただきありがとうございました。初めて3000字超えました。初の3000字超えの内容が薬草採取であることに少し驚いています。でも今回も楽しく書けました。また次回もよろしければご覧ください執筆の励みになります。

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