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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
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第二の街へ

ようやく、次の街を目指し走り出しました。

 現在、俺とカイラは二人で荷馬車に揺られている。そのため、自分たちの足では走っていない。この乗り物の主人も俺たちが乗っていることには何も言わない。だがそれには、少し訳がある。

 時は少しさかのぼり、風呂に入り英気を養った後のことだった。俺たちは走り出した。しばらくは順調に進んでいたのだが、4時間ほど経った頃に転機があった。俺たちが進んでいた道の先で、荷馬車を引いた集団が狼のような獣に襲われていた。その、狼も図鑑などで見たことのあるものではなく、この世界原産の獣だった。牙が刃物を思わせるほど鋭利に輝き、漆黒の毛が全身を覆っており、空いた口からは、だらだらと唾液をこぼしている。魔獣の名にふさわしい見てくれをしていた。そこで二つの選択肢があった。俺たちの速さならカイラ曰く、あの獣を振り切って走り抜けることは造作もないらしい。そう、だから選択肢というのは無視して進むか、止まって助けてやるか、ということだった。結論から言うと助けることにした。カイラに助けたいという旨を伝えると快く了承してくれた。多分そう言うと思ってたと言われた。実際に襲われているのに遠目で気が付くと、カイラはスピードを落とし始めていた。

 戦闘自体は簡単に片が付いた。計18体の獣に囲まれていたがカイラと俺で半分ずつ倒した。カイラのほうは目にも見えないほど早く剣を抜き、早々に終わらしていた。一方俺にはそんな芸当はできないので、少し魔力を練って、風の魔法を使い真っ二つに引き裂いた。

 そのあと、荷馬車の集団のボスと思わしき人物がこちらにきて、お礼を言ってきた。その時に、俺たちと荷馬車の集団の目的地が同じであるということで送ってもらうことになった。当初獣を倒した後は、走って次の街に行くつもりだった。だが通行書が無いと、次の街には入ることはできないぞと言われた。それを聞き、どうするか頭を悩ませていたところ、助けてくれた借りを返すということで、俺たちを集団の一員として申告し、街に一緒に入るか?と提案してくれた。正規の方法で入れるならそれに越したことはないと思い、ありがたくその提案を了承した。

 そうして今、俺たちは荷馬車に揺られている。だがこの荷馬車、俺が知っている荷馬車とは少し違う。違うっていうのは別に形や大きさの話をしているわけでもないんだが、確かに大きいのは大きい。だけどそれ以上に乗せている物が気になる。今俺たちは荷馬車の後ろ側に座っているんだが、背中にとんでもない威圧感を感じる。いや、懐かしささえ感じるものが後ろにある。カイラは全く気にしていないようだが俺は気になってしょうがない。先ほどからカイラの話が全く頭に残らない。

 「ねえ!聞いてるの?」

 そういうカイラの顔は少し怒っているように見えた。

 「えっ?いや、聞いてるけど、後ろにあるものが気になって」

 「えっ?これのこと?」

 「う、うん」

 そういう俺たちの後ろには俺がつい先日いた場所を模した鉄の檻がおり、中に数人の姿が見えている。

 「あー蓮は見たことないのか。この世界だと奴隷って結構大きな産業として栄えているよ」

 そう、後ろにいる人たちにはどう見ても、首輪が付いているし、これから先に自分に待っている運命を嘆くような表情の人もいる。奴隷なんて文化はそれこそ、漫画や小説の中の世界だと考えていた。だが実際に目にするとかなり悲壮感がある。そう考えていると、カイラが当たり前のように、それこそ朝の次は昼でありそのあとに夜が来るといった様子で言ってきた。

 「別に人を奴隷にしているわけじゃないし、そんなに気にしなくていいよ!獣人は人じゃないんだし、見た目がちょっと人間に似ているからって気にすることないよ。連のいた世界でも犬?とか猫?とかっていう動物を飼ってるんでしょ?確かそうやって本に書いてあったけど、あっている?」

 そうなのだ、確かに人と同じ見た目をしているが、この檻の中にいる人たちの頭には、耳が生えていたり、尻尾が生えている者もいる。だが、どう見ても人間だ。俺にはそうとしか思えない。

 「なあカイラ、この中にいる人・・獣人って基本どうなるんだ?」

 「うーん、私もよく知らないけど、労働力とかじゃない?まあ中には変態みたいなやつもいると思うけど、それがどうしたの?」

 この価値観の違いというというのはいかんせん慣れない。檻の中にはまだ幼い様子の子もいる。そんな目でこっちを見ないでくれ。俺にはどうしようもないんだ。それに、もしここに今いる獣人を全員買ったところで、それは俺の自己満足でしかない。それに根強く残る文化や歴史といったものを変えるには、途方もない労力がいるし、俺にその力はない。そう思い、後ろのことについては考えないことにした。幸いにも檻の中で騒ぐといったことはないため前に意識を向けると少しは気にならなくなった。だがすすり泣く音は俺の耳の中でずっと反響していた。

 その後、少しづつあたりが明るく、文明的になってきた。門番にリーダー的な存在の奴が紙を見せると、門番は集団を一瞥し、そのまま何事も無く、街の中に入ることができた。

 「にーちゃんたち、着いたぜ」

 そう俺たちに言うのは先ほど門番と話していた、ひげ面の男だった。

 「あ、ああ、ここまで送ってくれて助かったよ。あんたたちがいなかったら入れないところだったよ」

 「おう、こっちこそ獣の群れから助けてくれてありがとな!俺たちは、この後、後ろの荷物を届けなきゃいけないからもう行くが、また何かあった時は頼ってくれよ!」

 「分かった、じゃあな」

 そう言って、奴隷を乗せた馬車は走り去っていった。その姿がみえなくなるまで俺は目で追っていた。

 「蓮!この後どうする?どこか泊まれるとこあるかな?」

 急に話しかけられて少し驚いた。

 「そうだな、どうしようか、とりあえず何か食べたいな」

 「確かに、私もおなか減った」

 そう言いながら腹をさするカイラを見て、とりあえず適当な店に入った。

価値観の相違って人と関係を持つうえで、かなり大切な要素になってきますよね。そんなことを思う筆者は、ご飯粒残す人が苦手です。次はどうしようか・・・

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