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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
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始まりの始まり

よろしくお願いします

 「ほら早く起きて!」

 そんな声が聞こえてきて、ぼんやりと目を開けるとそこには幼馴染がいた。

 「おはよう」

 そんな風に眠たい目をこすりながら徐々に意識が鮮明になってきた。朝日に眼球を照らされながら俺のことを起こしてきた奴を見ると制服を着ている。少しずつ状況を整理していくうちに一つの事実に気が付くことができた。

 「寝坊している」そのことに。

 だが不思議なことに目の前にいる奴は微塵も焦っている様子は見えない。おかしくないか?このままでは自分も遅刻してしまうというのにどうして少しも焦りを見せないのか。それによくよく考えてみるとなんだか周りもいまだぼやけている雰囲気がする。

 それに幼馴染と最初言ったが、そもそも俺に幼馴染なんていたか?

 そんなことを考えているうちに目の前にはご飯とみそ汁、そして昨日の残り物が用意されている。これまた不思議なことに食べているような気はするのだけどどうにも味が分かりにくい。箸も持っているような持っていないような気がする。しかも気が付くといつの間にか俺は通っている学校の制服を着ている。いや学校なんていっていたか?

 いや、学生であったことは確かなはずだ。俺の年齢は今年で18歳になった。

 またまた気が付くと玄関先にいた。既に俺を起こしに来た奴の姿は見えないが、この扉の向こうにいる気がする。というか部屋の中まで起こしに来て、家を先に出て扉を閉めてその先で待っていることなんてあり得るのか。

 扉を開けようと一歩前に踏み出すが、どうにも進みが悪い。ふわふわした雲の上で足踏みしている感じだ。でも早く学校に着かないと生徒指導の先生に怒鳴られてしまう。そう思うと後ろには閉じられた校門があった。ギリギリ間に合ったようだ。

 一時間目は古文の授業であった。授業が始まり担当が教室の中に入ってくると驚いた。なんなんだあの筋骨隆々の男は。古文の担当教員は背の低い優しそうな女の先生だったはずだ。

 じっとその様子を観察していると急にサイレン?のような音が耳の中に入ってきた。あまりのうるささに耳を塞いでしまった。だが周りのクラスメイトは全く気にしていない様子だった。すると突然黒板の前にいた男が近づいてきた。

「とっとと起きろ!」

 そんな可愛げのない野太い男の声で俺は現実の世界に帰還した。そしてようやく気が付いた、あれは夢だ。俺には幼馴染もいないし、学校にもほとんど通っていなかった。

 いまだ朦朧とする意識の中あたりを見回すと、その場所は3つの石壁に囲まれており、そのうちの壁の上部に一つだけ設けられた数本の強固な鉄の棒から作られる隙間から四本の陽光が差し込んでいた。そして顔を左に向けると鉄柵が付いている監獄のような場所だった。いや監獄だ。それにここはかつていた場所とは違う。鉄柵の向こう側にいる人間が二人。そいつらは頭から足先まで鎧で身を包んでおり、腰には武士が使う刀よりも、厚みがあり簡素ながらも美しい装飾が施された巨大な剣が刺さっている。

 次第に頭が目を覚まし現実を受け止め始めた。

 そうだった俺、念願かなって異世界に来たんだった。

ありがとうございました

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