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始まりの物語

「キミを守るためならば、ボクはヒトであることを捨てよう」


 これは、幸福しあわせな物語か。不幸ふしあわせな物語か。



 太陽暦ももう2400年に到達している地球は、地球外生命体との共存という数百年前では考えもつかないような世界となっていた。その中で、人類は『ヒト』という悪く言えば無機質な分類で呼ばれるようになったけれど、それでも過去と変わらず特に不自由もないような日常を繰り広げていた。それが見せかけだけの日常だということに誰も気がつくこともなく。

 そして、『ソレ』は突然、いや必然だったのだろう、地球に現れた。


『愚かなヒトどもよ。この地球(ホシ)は今、この時より我ら天人(カミ)が支配する。増えすぎたヒトは一度整理する必要があるからな』


 そんな暴論と共に現れた天人と名乗る生命体は、高度に進歩していたはずのヒトの攻撃能力を意にも介さず、虐殺と呼ぶのすらも烏滸がましいほどにヒトという存在をこの地球から消していったのだ。

 ただ、ヒトもただやられていくわけではない。ヒトの中でも飛び抜けた能力を持つ者達は、各々の方法で生き延びていった。でも、それでも、天人に支配された地球にもはやヒトとしての生活を営む余地などは存在していなかった。

 天人の支配する星となってしまった地球に現存するヒトは、たった1年が経った2401年には残り1000人ほどとなった。

 そんなもはや消え行きそうな中でも、まだ希望の灯火は残っていた。それは、つい1年前までは日本と呼ばれていたこの地域に唯一生き残っている1組の男女もそうだった。


「レン。私たち、幸せになれる時がまた来るのかな……?」


「もちろんだよ、リン。僕達は絶対にこの支配を打ち破ってまたあの日常に戻るんだ」


「うん……!」


「その時には、僕の想いをまた伝えさせてほしい」


 まだ少しの幼さを残す風貌の少年、レンの力強い言葉に、逆に年齢よりも大人びている少女、リンは静かに頷く。


 そんな2人の下に、天人の魔の手が近づく……

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