一度転がれば雪だるまのように大きくなってしまいます。
「日本って終わってらぁ~」
ふっとため息をついた。
国民一人当たり1千万の借金?
賃金格差で気が付けばアメリカの半分の賃金しかもらえていない。
コンビニのドアから出るときに こんな国にいたくないと心の底から思った・・・
え?
「どこだここは?」
夜のはずが昼間に。
コンクリートのはずが 田舎に。
日本人のはずが ヨーロッパ人になっていた。
「夢でも見てるのか?」
言葉は理解できるし話すことも出来たが しかし 夢ではなかった。
「・・・疲れた」
市場の街並みを歩き回ってみたもののヒントになりそうなものは何もない。
「オレ 帰りたいのかな?それよりのどが・・渇いた」
市場は人こそ多く賑わっていたものの使われているのは銀貨や金貨だ。
10円玉は銅で出来ているとは言ってもそのままお金の代わりに使うには無理があるだろう。
オレは市場通りを抜けて街からどんどん 離れていった。
誰かに付けられているような気がするが・・ あれ?そんな事より
運がいい事に道は一本道だし 馬車の車輪の後がある。
しばらく進むと一軒の農家とマキ割りをする少女の姿が見えてきた。
井戸もあるぞ。
「あの すみません。。そこの井戸の水を・・」
驚いて大きな斧を放してしまった少女だったがこちらに振り向いてペコリとうなずくと「旅の人?いくらでも飲んでいって」と言ってくれた。
井戸水は冷たくてとても美味しい。
水を飲みながら座っていると 少女はこちらにお構いもせずにマキ割りの続きをしようとする。
「重そうだな。。」
そもそも 少女の伸長と同じぐらいある斧でマキ割りをするなんて無理がある。
やっとこ 持ち上げているじゃないか。
のどの渇きが癒えたオレは お礼にマキ割りを手伝ってあげることにした。
「手伝ってくれるの? ありがとう。 はい お兄ちゃん」
ドスン! うりゃ! え?
「重い・・」
重力に引っ張られて俺の手は斧と一緒に地面に落ちた。
どうなっているんだ? 重いと言ってもその重さは限度を超えていた。
うりゃぁぁ おっし せ~の~で! とわぁ どりゃ!
斧と地面に挟まれて手が抜けない。。
そうこうもがいているうちに 物陰から笑いながら男が3人現れた。
「おかしな 服装をしている奴がいたから金目なものを持っていないかとつけて着てみれば ヘタレじゃねぇか がははは」
ヘラヘラと笑いながら にじり寄ってくる。
足音と共に腰のナイフが ガチャガチャと音を立てる。
二人はオレの前に立つと さげすむ様な顔をしてナイフに手がかかった。
「おら! 大人しくしてろ!」
となりに目を配るともう一人は少女の手を引っ張ると軽々と持ち上げて自由を奪ってしまった。
絶体絶命
「痛いよぉ~ お兄ちゃん助けて!!」
「うわ! 離せ! うごけ 動けオレ!!」
そんなとき 心の奥で声が聞こえた
「フォロワーを 一人獲得しました」
力がみなぎる
安心しきっている盗賊の顔・体に斧の一撃が襲い掛かった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
気が付けば 片手で斧を振り回している。
斧の長いリーチを生かして 男の溝内に一撃を入れると男は吹っ飛んでいった。
「ぐぇええ つええ・・ぐぶ。。」
そう言い残すと最後の男も倒れた。
「お兄ちゃんありがとう シクシク」
少女がこちらへすり寄って来て顔をうずめてきた。
「家には 誰かいないのか?」
「うんん 誰もいないよ。私 一人で暮らしているの」
「いくら何でも それはないだろ?それともご両親は今は出かけているのか?」
「私 精霊なの。だから 街では暮らせない。私の名前はミーフ。お兄ちゃんは?」
「俺の名前は・・そうだな。ベルク! ゲームではそう名乗っている」
「ベルク。ところでゲームって何?」
「いいや 何でもない。それより 聞きたい事があるんだ」
こうして ベルクはミーフと出会ったのでした。