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ギフトを授かってから、三月に一度神殿に両親とお出掛けするようになった。お祈りしてから個室に移動して、お茶とお菓子を戴いてから封印の装飾品の点検をしてもらう。

いつも腕輪の点検の後は神官様に見送られ帰るだけなのだが、その日は違った。


「ジュリア、次はその腕輪を交換しなくちゃいけないんだ。どんな装飾品がいい?」


神官様と話しをしたお父様が装飾品が並べられたケースを見せながら私に聞いてくる。交換の意味はわからなかったけど、沢山の新しい装飾品が並んでいるケースを見せられた事で腕輪が取り上げられるのかもと思い、一生懸命手を背中に隠しながらお父様に伝える。


「嫌…お父様、コレが良いの」


「あのね、その腕輪はジュリアが着けるのには小さくなってしまったの。だからそれは、もう着けられないのよ」


「お母様、コレ大きくならないの?私この腕輪をずっと着けてたいの」


ギフトを授かった日から、目を合わせてくれなくなった両親の瞳の色の石が付いた大切な腕輪なのだ。この石を見ると両親に見守られている気がするのだ。

私が涙をためて両親に訴えている姿を見て、神官様が優しいお声で提案してくださった。


「めったに無いことですが…同じ物を作ることは出来ますよ、次に神殿へ来るまでに用意しておきましょう。デザインも同じ物にしますか?」


「同じ物か…ジュリアはコレが良いのか?」


「はい、お父様」


こくこくと、首を何度も縦に動かす。

お父様が私に確認してから、では手首に着けるサイズではなく、二の腕に着けるサイズで作って欲しいとオーダーしていた。ドレスの下に着ける事で、ずっと同じデザインの物を着けている事を周りに知られないようにだろう。

通常、封印をされるギフトを持っていることは知られたくないことなので、同じ装飾品、同じデザインの物を作ることはしないのだ。


「同じ物ならココに着ける事になるが、良いのか?」


私は手首にあった腕輪が二の腕につけられる事になり、寝る前にいつも見つめていた石が、見づらくなることが寂しかったが、違う物にされない様なので頷いた。


それから何度か小さくなった腕輪を交換したが、私は毎回同じデザインの腕輪にしてもらい交換していた。

両親はその度に、少し困った顔をしていたが、私が絶対に同じ物で無くては嫌だと言って聞かなかったので諦めてくれていた。


私の8歳の誕生日の朝、今日の予定は神殿へ行くと聞いていたはずなのに、とても可愛らしいドレスを着せられた。神殿に行く時のドレスは、シンプルなデザインのドレスしか着ていなかったのに、明るい色のドレスにたっぷりのフリル。髪も軽く梳いて、ハーフアップにしてもらうだけなのに、今日は編み込みの中にリボンを入れた、ちょっと凝った髪型にしてくれた。可愛らしいドレスに凝った髪型、5歳の誕生日以来、可愛らしいドレスで神殿へ行ったことが無かったので、不思議に思いメイドに聞いてみる。


「今日は、神殿に行く日ではないの?」


「いいえお嬢様、旦那様と奥様と神殿へ行く予定ですよ」


「そう」


たまに神殿の帰りに買い物や食事に行くことがあったので、誕生日だから神殿の後に、どこかに連れて行って貰えるからお洒落しているのかもと、お出掛けを期待しながら馬車に乗った。お買い物だったら何を買って貰おうか、食事に行くならケーキは食べれるのかな?そんな事を思いながら馬車に乗り込む。


馬車に乗るのもそんなに頻繁ではないので、通いなれた神殿への道でも嬉しくて、外の景色を眺めながらお母様に聞いてみる。


「お母様、神殿の後でどこかに行くのですか?」


「交換が終わってから、教えてあげるわ。ちょっと良いことがあるのよ」


神殿へ行く時の馬車の中では笑顔が少ないお母様が、今日は笑顔で答えてくれたことが嬉しくて、ますます楽しい気分になった。


古い腕輪を外してもらって、新しい腕輪をつけ神官様に封印をしてもらう。古い腕輪は、石などを再利用してまた次の腕輪に作り変えてもらうので神官様にお渡しして交換は終了する。


部屋を出て神官様の案内で歩きだす。私はお母様が良いことがあると言っていたので、この後連れて行って貰えるところは、どこなんだろうと考えていたので、いつもの馬車乗り場に向かう帰り道ではないとは気づかずに弾むように歩いていた。


「こちらでお待ちです」


神官様がそうおっしゃって、両親が立ち止まった。この時にやっと、いつもと違う場所に来ている事に気付いた。神殿の中庭だった。沢山の綺麗な花が咲いている庭の木陰にテーブルセットがあり、知らない親子がお茶を飲んでいるのが見えて驚いて、その場から動けなくなってしまった。


「ジュリア、どうしたんだい?早くこちらに来なさい」


両親が、お茶をしている知らない親子のもとへ行き、挨拶をして固まったまま動かない私に気付きお父様から声をかけられる。まだお茶会デビューもしていない私は、知らない人が怖くて下を向いてその場から動けないでいた。


そこに大人とは違う小さな気配が近づいてきて、優しい声と同時に、私の手を繋いでくれた人がいた。


「初めましてエリオットです、大丈夫だよ。一緒にあっちでお茶を飲もう」


うつむいていた顔をゆっくり上げてみると、キラキラした笑顔のお兄さんがいた。


「あれ?緊張してるのかな?喉乾いてない?」


そう言いながら私の顔を覗き込んで、また笑ってくれた。

その笑顔の瞳の中に、驚いた顔の私が映っていた…。

読んでいただけて嬉しいです、ありがとうございます。

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