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第二十一話 VS myself

「お待たせ‼︎月美ちゃん‼︎」


「それを使ってこの早さ…ごめんなさい、戦闘中だったかしら?」


「終盤だったから大丈夫だよ。」


「急いで貰ったところ悪いけれど、二人じゃないと倒せない敵ではあるけど、急ぎで対処しないといけない相手では無いの。」


「ピンチじゃなくて安心したよ。ピンチだから呼ばれたのに間に合わないっていうのが、一番悔しいからね。それで、二人じゃなきゃ倒せないけど急がなくて良いってことは…」


「えぇ、あなたが想像している敵で間違いないと思うわ。」


 月美が銃で指した先に、オーラを撒き散らすヒトガタの姿。


「一人でオーラ攻撃まで持ち込んでおいてくれたんだね。ただ…」


「確かに、お互い聖因子を消費し過ぎているわね。アース。」


 月美が空に向けて呼びかけると、空から光が降り注ぎ、収縮。アースが顕現する。


「相変わらず、神を扱き使うな。今回も、知りたいのはデビルの数か?」


「えぇ。」


「残りは、あそこにいるヒトガタで最後だ。」


「なら、まぁあのヒトガタを倒すぐらいの余裕はありそうだね。」


「えぇ。動きに異変が無い内に倒しましょう。リスクは出来るだけ小さくしておきたいわ。」


 月美がハンマーを操作し、ウインドウを出す。『ムーン・リコレクション』を発動し、舞の銃を射抜く。と、同時に激しい頭痛が月美を襲う。


「ッつ‼︎」


「月美ちゃん‼︎大丈夫⁉︎」


「えぇ。まずは、ヒトガタを…っ‼︎」


「でも‼︎」


「この現象の原因は分からないの‼︎あのヒトガタが原因の可能性もある…だから‼︎」


ー分かるよ。月美ちゃんは、本当にそう考えてる訳じゃない。ボクが月美ちゃんに気を取られて最悪の事態になるのを避けたいんだ。月美ちゃんがこんなになってるのに、ボクが周りが見えなくなっちゃ、駄目だよね。


 月美の思いを汲み、舞はハンマーを長押し。チャージショットを溜める。溜まるのを待ちながら、苦しいのを耐え、声を堪えている月美の姿を横目で見る。


ーすぐに倒して、月美ちゃんが苦しんでる原因を見つけて解決する‼︎


 舞が引き金を引き、特大のエネルギー弾が放たれる。と、同時に月美が動き出した。舞の首を掴む。慌ててその手を振り解いて月美から距離をとりながらも、横目でヒトガタの方角を見る。きちんとヒトガタの撃破には成功したようだ。


ー月美ちゃんが一番恐れていた事態は避けられたけど…


 そのことだけを確認し、月美に視線を戻す。その目は赤く光り、敵意を露わにしている。


「アース‼︎月美ちゃんが変だ‼︎こうなった理由‼︎分かる⁉︎」


「影山月美の中に、デビルの反応を感知した。今までは感知出来なかったのだが…」


 月美が動き出す。手を前にかざすと、白い光が現れて収縮。それが弾けると、周囲に熱風が広がる。咄嗟に銃で顔を守る舞。しかし、ジリジリと聖因子が削られる。


ーごめんよ。ちょっとだけ、我慢して‼︎


 舞はハンマーを操作。ウインドウを操作して樹斬ノ術を使い、木の枝を伸ばして月美を拘束する。力を吸い取る能力を発動すると、相性が悪いからか舞にダメージが入り、残りの聖因子が減少する。


「帰って来て…月美ちゃん‼︎」


 それでも、舞は月美を諦めない。むしろ、聖因子で聖因子を傷付けることが出来ないはずなのに自分の聖因子が減ったことで、月美が自分の意思で舞を攻撃している可能性が更に減り、更に奮起する。


ーこの聖因子じゃない何かを吸いきれば、月美ちゃんを元に‼︎


「木村舞‼︎影山月美の本体からデビルの反応だ‼︎ヒトガタに似た原理の可能性がある‼︎」


「そっか‼︎ヒトガタは肉体を動かしてるけど、今回は代わりに精神体を…」


「……んなさい…」


「っ‼︎月美ちゃん‼︎」


 どうやら、月美が意識を取り戻したようだ。目の色も元に戻っている。


「大丈夫⁉︎」


「いいえ、大丈夫なんかじゃ、無い…今はあなたが私の中のデビルの力を吸ってくれたおかげで、一時的に抑えられているだけ。このままだと、そのうち完全に乗っ取られて、共倒れよ。そうなる前に、私を…」


「ヒトガタと、一緒なんだよね。」


「あなた、まさか、私の肉体に…」


「任せてって‼︎オーラ攻撃の出来ないヒトガタなんてボク一人で十分だから‼︎月美ちゃんはボクを信じて‼︎だからさ。ちゃんとボクのこと、待ってておくれよ。」


 月美は、一瞬希望を抱く。舞が自分を救い、二人で二回目のラグナロクを乗り切る未来を。しかし、そんなのは夢物語だと自分に言い聞かせる。


「待ちなさい‼︎あなたがするべきはそんなことじゃない‼︎欲張らないで‼︎」


「残念。ボクの欲張りは筋金入りだから。」


 恥ずかしそうに「ゴメンよ。」と前置きし、月美の頬に軽い口付け。


「よし。やる気満タン‼︎」


 舞は月美の本体が待つ、神名西大学附属高校の寮へと向かう。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


ー何故、私は今までこの存在に気付かなかったの…


 舞を追いかけ、今からでも思い直して自分を殺すという安全策を取るように忠告したいと思った。それでも、自分の中のデビルを抑えるので精一杯で、体を動かすことは出来ない。


「…まだそこにいるの?アース。」


「何か問題か?」


「…お願い。あの子を止めて。」


「…君は勘違いをしている。同じ目的を持っていたとしても、同じ方法を取るとは限らない。」


「…そう。」


 アースへの説得を諦め、少しでも長く自分の中のデビルを抑えられるよう、今ある情報を整理する。その中で、初めて時間が止まった日のことを思い出す。


ーあの日、謎の声が聞こえて。その声の主の力で聖因子を放射して、デビルを撃破した。あの声の主が、私の中のデビルなのね。


 その記憶に付随し、舞との初めての会話を、初めての食事を思い出す。そのときの舞の、緊張したような表情、安堵した際の笑顔、何故か見せた寂しげな表情を。その思考を振り解き、更に情報を集めようとする。


ー無駄だと思うけどなぁ。


 頭の中に直接響くように声が聞こえた。その声は、「あの日」に聞こえたものと同じもので。


「あなた、私の中のデビルね?」


ーそうさ。君のおかげでここまで成長出来た。


「成長?」


 その言葉に疑問を覚える。しかし、その意味を考えている内に思考力が落ちていく。そのまま意識を何かに塗り替えられられるような感覚が月美を襲う。その何かに飲み込まれるような感覚。


ー○○ちゃん‼︎


 完全に飲み込まれる直前。どこからか、幼い少女の声が聞こえた気がした。聞いたことが無いはずなのに耳に馴染むように、とても懐かしいもののように感じた。そんな感覚を抱きながら、意識を飲み込まれていく。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「木村舞。この先には行かせないよ。」


「だったら、月美ちゃんを返して。」


「悪いけど、それは出来ない。僕の進化に必要だからね。」


「そっか。そうだよね。じゃあ、力ずくでも返して貰うよ。」


 手から熱風を出す月美の中のデビル。樹斬ノ術の枝でそれを防ぎながら月美の本体を目指す舞。影山月美を巡る戦いの幕が上がる。

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