【3】勇者様、再発行する。
「あの。勇者って冒険者とどう違うんですか?」
僕は不自然に思い、おばさんに尋ねる。
「お……お…お。えええええええ!!!!」
おばさんが僕の紙を両手で掴み、さらに叫ぶ。
その瞬間、周りの冒険者が一斉に駆けつけ僕のステータスを見る。
「なんだか恥ずかしいです。裸を見られてるようで…。そんなにまじまじ見ないでください。」
周りの冒険者達がザワザワ……。
なんだ?りんね様にとりあえず報告した方がいいんだろうか?
僕は悩んでいたら、おばさんが目を輝かせ僕に言う。
「あんた!!なんだよ!!再発行だったのかい!勇者なら勇者って言ってくれよ!私はてっきり、冒険者登録かと思ったじゃないか!」
「まじかよ!あの人勇者様なのか…!!」
「すげえ。生で初めて勇者見た!!」
「しかし、あの身なりはなんだよ。気味が悪いぞ。」
「あの…勇者様!!これ!よかったらどうぞ!!(こんがり肉)」
なんだなんだ。この反応は。
僕は若干嬉しいがある意味トラブルに違いない。
「本当にいいのかい?再発行しちゃうと、勇者の階級がルーキーになっちまうよ………?」
「なんかよくわからないけど、再発行でいいです!0から始めたいので!!」
「そうかい……。勿体無いねえ……。」
僕は冒険者登録を済ませ、ギルドを出てりんね様に報告する。
「りんね様。冒険者登録終わりました。この後どうしましょう。」
「もうすぐ日が暮れちゃうし、明日クエスト討伐してきなさい。まずは金を貯めること!!」
「え?それじゃあ今日は・・・?」
「野宿以外ないわね。やる気あるなら、死者蘇生の秘伝書について調べてらっしゃい。」
「はあ・・・。了解です。」
通話を切り、野宿に最適な人目のない場所を探し街をウロウロ。
お腹を空かせ惨めに屋台街を歩いていると、左から声をかけられる。
「操さーーん!!操さーーん!!」
僕は振り向くと天使がそこにいた。
「天照さん!!!!!!!!!!!」
「冒険者登録完了したんですね。おめでとうございます!」
天照さんの褒め言葉は最高に嬉しい。
この肉体も喜んでいるんだろうか?僕の心と裏腹に、お腹がグゥーと鳴ってしまう。
「操さん…夕食のお金ないんですか?」
「あはは……一文無しなもんで。明日から金稼ぎです!」
「それでしたら、私!夕食ごちそうさせてください!!」
「え。いや悪いですよ。そんな。」
「いいじゃないですか!助けてくれたお礼もしてませんし!!恩返しさせてください!!」
なんということでしょう。
地球で不遇だった僕の人生。この世界に来てから、なんだか良いことが起こるような。
「じゃあ、頂いちゃおうかな。」
「やった!!じゃあ行きましょう!!」
こうして僕は、転生して初めての最高に幸せな夕食を体験する。