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凄くかわいい

本日2話目

 おっちゃんは驚いていたけど俺はもっと驚いた。この銀髪ロリータたちがエルフ? いやたしかにかなりスレンダーでロリってところは最高でエルフっぽい特徴だとは思う。でも人間にしか見えないぞ。


「ああすまん、悪気があるわけじゃないんだ。それに他の奴らはあんまり気づかないだろうしフード被ってりゃ見られることもないだろう。職業柄どうしても相手の素性を見抜く力がついちまってな」


 警戒している二人に頭を下げておっちゃんは謝罪した。鍛冶屋には様々な依頼があるだろうし色んな人種も来るから慣れてるんだろうな。それでもギルドマスター達も何も言わなかったからおっちゃんが凄いんだろう。


「あんまり人里で見ないから驚いちまったぜ。でもうちだとエルフの出力に合う装備なんてあったかな。防具はその辺の見といてくれ、ちょっと奥行って探してくるわ」


 そう言っておっちゃんは奥に消えていってしまった。取り残された俺たちは鍛冶屋の装備を一通り見る事にしたが、なんだかクロエとイリスの様子がおかしい。


「どうしたん?」


「どうしたって……私たちエルフなのよ。何も思わないの」


 なんだろう、凄く可愛いしか出てこないけど。


「なんだろう、凄く可愛いしか出てこないけどなんかあるの」


「なっ! ……いやキミヒトって最初からこうだったか」


「おねえちゃん、キミヒト変人だから私たちが何者でも特に気にしない」


「うん、というか俺この世界の住人じゃないし。エルフだろうが獣人だろうが魔物だろうが意志疎通できるなら何も気にしないよ」


「キミヒト、それは懐広すぎる」


 イリスに突っ込まれたが実際その通りだと思う。地球から来た異世界に憧れているような人間達はむしろ獣人とかエルフに好意的だろう。モンスターとの意思疎通も日常的に猫とか犬と喋りたいって思う人もいるくらいだしな。


 この国の歴史や常識を色々見てエルフや獣人はあまり良い感情を持たれていないというものが書かれていた。一般常識でそうだと言われても俺の中の常識ではそんなことはどうでもよかった。


 というかエルフに至ってはあっちじゃ神聖視すらされていると言っても過言じゃないだろう。俺も大好きだよロリっ子エルフ。美人なエルフも好きだけど、こういったロリっ子……いや待てよロリっ子のエルフって年齢300歳とかよくあるよな。合法ロリなら手を出しても……あかん野宿する時理性持つかな。年齢聞いとこ。


「……それで、ここにある装備はやっぱだめか?」


 でも後でな。妄想が膨らみ過ぎると色々と支障をきたすしまだ出会って間もないしあんまりがつがつ行くのは好感度下がるだろう。今は好感度を稼ぐために年齢を聞かない様にしておこううん。俺の精神衛生上のためにな。


「そうね……かなり質の高いものなのはわかるけど、私はともかくイリスが使うには足りないわね」


「本気出したら一回で壊れる」


 まじかよ、ここ結構有名な所なんだけど。貴族だけじゃなくて騎士団の武器とかも作ってたはずだけど。王宮騎士団の連中と面識作れなかったのは結構痛いところだったか。


 俺が使えるのは一般的な生活魔法だけで王宮で修行したのは剣術のみだったからな。魔法使い組とは別の場所で修行していたが、両方才能あるやつは両方やってたの羨ましかったな。魔法剣士とかいう器用貧乏職めっちゃ好きなのに。


 鍛冶屋の装備を一通り見ていると奥からおっちゃんが帰ってきた。


「これくらいじゃないか? といってももらいもんだから店に並べてなかった代物だが」


 おっちゃんが持って帰って来たのは、ゲームとかでよくあるでかい杖じゃなくて、ポケットとかにしまえるタイプのちょい太い枝のような杖だった。ハリポタとかそういう感じのあれ。


「これは『エルフでも扱える神木で作った杖だ。やってもいい奴にやってくれ』とか言って置いていかれたんだ。誰だかもわからなかったが、かなりの力を秘めていることだけは確かだから取って置いたんだ」


 たしかに何か他の装備とは違うように見える。惹きつけられるというか、こう幼い頃にめちゃくちゃ真っすぐな木の枝拾ってチャンバラしたくなるような、そんなすぐに使いたくなるような魅力がある。


 チャンバラのように実際には役に立たないなんてこともないだろうし、力を秘めているのは間違いないだろう。こういう時にゲームみたいに装備品の名前確認出来たら便利なんだけど……って俺使えるわ。トウシで似た事できるわ。


 さっそく使ってみた。


《神木の枝の杖》

強固な魔法の力が込められた杖。


 といってもこのくらいしかわからないけど。魔法効果もわからないけど真偽の判定くらいは出来る。つまりこれは間違いなく本物の神木の杖だな。


「キミヒト、どうしたじっと見つめて」


 俺が杖を穴が開くほど凝視していたからおっちゃんが声をかけてくる。


「なあおっちゃん、これいくらするんだ?」


「俺もこれ持ってきて思ったんだが、本当に扱えるならただで良いぞ。魔法自慢の人間達にはこの杖扱えなかったからな」


「勇者たちは?」


「あいつらにはこんないいもの見せてたまるかよ」


 いい笑顔で応えてくれるおっちゃんに感謝だな。街の人たちと仲良くするとこういうメリットがあるからとても楽しい。充実してるって気持ちにさせられるからお互いに得してる最高の関係だ。


「じゃあ厚意に甘えて試させてらおうかな。イリス、どうだ?」


「最高……これなら大丈夫そう。本気出したら壊れると思うけど」


「おいおい嬢ちゃん、エルフでもこれを壊れる出力の魔法はそうそうないだろう。まじで言ってんのか?」


「試していいなら、やる」


 いつになるイリスの目に本気の光が宿っている。今までまともに装備使えたためしがないんだろうな。凄く楽しそうだ。


「……どうやら本気みたいだな。じゃあ軽くで良いなら試し打ちさせてやるよ、こっちに来な」


 俺たちはおっちゃんに連れられて奥の試し打ち広場みたいなところに向かう。そこではミスリルで作られた鎧が飾られてあった。たぶんあれが的だろうな。ミスリルは魔法に対しても打撃に対しても強い耐性を持つ。的にはうってつけってわけだ。


 おっちゃんが軽くイリスに説明するとイリスは杖を構える。


「あいすぼーる」


 イリスが軽く呟くと杖の先端に氷が集まり一瞬で射出される。目にも止まらず飛んで行った氷は鎧に当たりチュインという音と共に弾かれた。


「ははは、その杖を壊すって言ってた割には控えめじゃないか」


「む、壊さない様に威力抑えたのにその言い草。なら普通にやる。アイスボール」


 さっきとは比べ物にならない密度の魔力が杖の先端に収束する。大きさは同じくらいだが明らかにおかしい。そして気づいた時にはミスリルの鎧には穴が開いていた。


 おいおい、完全に別魔法なんだが。出力の調整ってそんな簡単には出来ないって聞いた気がするんだけど。だから下級魔法とか上級魔法とかに分かれてるはずなんだけど。


「……まじかよ。魔法軽減のバフもかかってるんだぞあの鎧には。すまん、エルフの力を甘く見てた。良いもの見せてもらったから防具は半額で売ってやる」


 おっちゃんはそう言って疲れたように笑っていた。

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