Sランク悪役令嬢vs最弱悪役令嬢
これはとある世界での物語。
私は良家のお嬢様オブお嬢様なお嬢様だ。
自分でも何を言っているか分からないけど兎にも角にも、お嬢様の中でも高ランクのお嬢様だ。
そんな私に対抗しようとしてくる忌々しいお嬢様が一人いる。
隣町の小さい街の貴族の令嬢。
そいつは私の足元にも及ばない最弱と言っても差し支えないお嬢様だ。
私はそいつにぐうの音も出ないような政策を打ち出した。
消費税率8%を今年の秋には10%にあげてあげるわ!
老後は2000万ゼニーの貯蓄が無いと生活していけません!!
だからお金の運用を自分でやってお金貯めてね!!!
フ……完璧すぎるわ、私の政策。
この政策の後には更に第二、第三の矢が控えている。
こんな世の中じゃ、低所得者には子供を作るなんて到底無理な話ね!
さすが私。
Sランク悪役令嬢のあだ名は伊達じゃないわ。
しかしそいつは私に対抗して全く角度の違う政策を打ち出してきた。
消費税率は25%!!!
しかし福祉制度は万全です!!
だからお金はバンバン使ってオッケーよ!!
く……なんて政策を打ち出してくるんだこの弱小令嬢め。
これだと、私の町の民達が移住してしまう。
しかしこれには何か罠があるに違いない。
小賢しい最弱悪役令嬢の事だ。
何か……何かを見落としている。
そうか、この制度では夫婦共働きでないと暮らしていくのには厳しい政策だ。
しかし出生率は私の町を超えているという。
それは社会保障が充実しているからだろう。
く……悔しいっ。
こうなったら私の町も消費税率25%にあげてやる!!
そして。
消費税率25%になった私の町がどうなったかというと。
見事に経済が低迷し、破綻して。
私の名前は見事Sランク悪役令嬢として教科書に載ることになりました。
だって社会保障制度を整えなかったから出生率が下がりに下がりまくったんだもの。
教訓。大事だね、社会保障制度と出生率。
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