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01話:まさかの展開

暇なときに書くだけだと一向に進まないので、遅くても週一くらいは投稿していこうと思います。




 私はステ振りを終えてから魔法のマスタリーについて確認していた。この世界がゲームだとしたら何がなんでも確認しておかないといけない。基本的にこの世界……というか私の知っている「奇跡への軌跡」は、『自由に過ごす』というよくわからないコンセプトのゲームだった。一応チュートリアルには戦闘もあるんだけど、戦闘を必ずしないといけないという決まりは存在しない。生産系のスキルを覚えたければ各職業のNPCへ弟子入りという形で見習いからスタートできるし、戦闘や生産系の職業以外にもなぜか学問を学ぶ『学園』があったりと割と様々な事に手を出している運営だなぁ……程度に思っていたけれどまさか運営が会社ではなく神様だったとは流石に予想の枠を超えていたからね。まぁ、なぜかゲームに翻訳機能があり、様々な国の言語に対応していてチャットがリアルタイムでその端末のログインしている母国語に即翻訳されているのは流石におかしいなと思っていたんだけど……。


 まぁ、ともあれ魔法マスタリーの確認をしよう。私は閉じていたステータス画面をもう一度開き、マスタリーの画面を出す。


 【氷魔法マスタリー1】(フリーズアローマスタリー0)


 うーん、ゲームと全く同じだとしたらフリーズアローを使えばマスタリーレベルが上がるはずだけど……。まぁ、試してみよう。


 ということで私は近くの木へとフリーズアローを放つ。


 「≪フリーズアロー≫」


 なるほどねぇ。フリーズアローを思い浮かべながら口に出すだけでモーションから発動までゲームと全く同じだ。でも、だとしたら……私の知っている魔法名を言えば発動しちゃったりしちゃうんじゃ……??と、期待半分まさかという思い半分でやってみた。思い浮かべるのは私の知っている最上級の魔法名の一つ「ホワイトグラヴィサイズ」だ。自分のあらかじめ設定している重力の割合を白い鎌に見立てて広げていくというよくわからない効果の魔法だったんだけど、使いどころを考えると、とんでもなく有能だったんだよねぇ……。なんて思い出に浸りながら

……

 「ホワイトグラヴィサイズ!!」


 う、うーーん……。これはすごく恥ずかしいです……。発動しなかった。私の今の心境を三文字で表すとするとorzだと思う……。ま、まぁ、気にしてもしょうがないし、とりあえず街に向かうとしましょうか。この世界が本当にゲームなら記憶している街や村(生前の最新アップデート時まで)はすべてたどり着けるはずだしね!!


 ということで通称『始まりの街』と呼ばれている『ロミア』という街を目指す私……だったんだけども……??ま、迷った!?え??この辺りって雑魚モンスターと木々があるだけで何も難しい道なんてなかったはずだよね……??そんなことを考えながら彷徨っていると、街道に出たらしい。ここがどこなのかわからないけれど、明らかにロミアへ向かう道ではない。や、やばくない!?

 

 そんなことを思っていると叫び声が聞こえた……。


 「きゃー!!だ、誰かー!!」


 私はさすがに聞こえてしまったものはしょうがないと割り切り、声がした方向へ向かう。すると馬車がテンプレのように襲われていた。護衛だと思われる6人の人たちがリザードマン30体ほどと戦っていた。


 私は加勢が必要なのかと一人の護衛に尋ねようとした。ゲームの場合、聞かないで勝手に加勢に入るとすごい怒ってくる人がいたからだ。だけど、明らかに護衛の人が劣勢だったのでこれは聞く必要もないかなぁと勝手に判断し、味方??に当たらないように慎重に魔法を放つ。


 「≪フリーズアロー≫」


 フリーズアローはリザードマン3体を巻き込み、周囲を凍らせながら周りの木々にぶつかり停止。霧散した。


 私はMPを確認しながら続けざまにフリーズアローを放つ。明らかに先ほどより威力と範囲が増している。5体ほど巻き込み、また周囲を凍らせながら、周りの岩にぶつかり停止。霧散した。


 そんなことをしていると護衛の人たちも余裕が出てきたのか劣勢ではなくなり、話す余裕すら出てきて、話しかけてきた。


 「お嬢さん、旅の人かい?ふっ(リザードマンを倒す)いやぁ、助かったよ。はっ(リザードマンを倒す)いきなり襲われて相手の数が多くて困っていたんだよ。はぁぁっ(リザードマンを倒す)」


 この人何気に凄くない!?話しながらずっと大剣でリザードマンを倒しまくってるんだけど??とか考えているとリザードマンが撤退を開始、戦闘は終了した。


 「叫び声が聞こえたので、お邪魔かと思いましたが劣勢に見えたので援護だけでもと思いまして」


 「正直助かったぞ。俺だけなら何とでもなるんだが護衛対象を傷つけるわけにはいかなかったからな。しかし、大した装備もしていないが、キャスターが一人旅って危なくないのか?」


 「いやぁ、ロミアに向かってたはずが迷ってしまいまして……ははは(苦笑)」


 「え?ロミアに行くってお前……ここどこかわかっているのか?ここは『ミルサンロ街道』、ロミアとはかなり遠いぞ?」


 護衛のおじさん(名前がわからない)が言った言葉が上手く理解できない私……。え??『ミルサンロ街道』って私の目指してた場所と正反対の街道だった。


 「えっと、おじさん、『ロミア街道』って……」


 「ああ、真逆だ……。それはそれと自己紹介がまだだったな。俺はガンツっていう、職業は見ての通りウォーリアーだ。チーム炎竜のリーダーをしている。よろしく頼む」


 「私はリン ハルカゼ。職業はご想像通りキャスターです。よろしくお願いします。」


 そういってぺこりとお辞儀をする私をガンツさんは笑っていた。


 はてチーム炎竜……どこかで聞いたような……??


 そんなことを思っていると馬車の方向から呼び声が。


 「ガンツさん!」


 「おっと、お嬢様が目を覚ましたみたいだな。お前さんのことも紹介したいから一緒に来てくれ」


 は、はい!!と条件反射で答えてしまう私。お嬢様ってことは有力者なのかな??ゲーム「奇跡への軌跡」で有力者とは≪領主≫や≪国主≫と呼ばれる国や地域の代表者と、各種のギルドマスター、その統括者のグランドマスターなどがいたけど……??私は「奇跡への軌跡」では≪国主≫や≪領主≫のキャラとはそれなりにクエストを通じて顔見知りだから顔を見れば大体だれかわかるはず……。


 案内されるがまま馬車へ向かう私とガンツさん。馬車の前では御者らしき超絶美形な執事風の人が立っていた。ガンツさんは事情を簡潔に説明する。


 「お嬢様、ガンツ様と助太刀に来てくれたというキャスターのリン ハルカゼ様をお連れしました」


 「お通しして」


 中から声がして私とガンツさんは中へ入る。するとそこにいたのは……。


 「初めまして。リン ハルカゼさん、わたくしは≪ミリアーヌ法国≫が国主、≪エリゼ・フォン・シュバルツ・ミリアーヌ≫です。」


 !?え??法国の国主!?ミリアーヌ法国は小国家だけど周りの国のバランスを保つ重要な国……。それがお忍びでミルサンロ街道にいる……!?私は危うく卒倒しそうになった。それに……そうだ!!チーム炎竜ってミリアーヌ法国で一組だけいるSクラスの冒険家じゃなかったっけ!?あれ??でも、リザードマン30体程度に手こずってたよ??


 どういうことなんだろうと思いながら自己紹介をする私。


 「これはこれは、お乗りなのが国主様だとはつゆ知らずご無礼を。私はリン ハルカゼ。キャスターでございます。」


 「ガンツさん、この方で間違いなさそうですが……明らかに只者には見えません。少し手伝っていただきましょう♪何より可愛いじゃないですか♪」


 「はぁ……また姫様のわがままですか……。まぁ、俺もこいつだと思います。もし違うなら流石に丸腰でこんなところに来ないでしょうから。見たところ空間魔法の使い手には見えませんし。魔法の威力は明らかに装備品の価値を逸脱していますしね」


 「え??ど、どういうことなんでしょうか??」


 本気で困惑している私をくすくすと笑いながらエリゼ様は……


 「実はですね。わたくしがこの≪紋章の入っていない馬車≫でミルサンロ街道にいたのは暗殺者さんの撃滅という理由なんですよ♪で、こちらのガンツさんはわが国のSランク冒険家のパーティーのリーダーさんです」


 「え??でも、リザードマン相手に手こずって……あ!!」


 「お気づきになられたかもしれませんが、彼は重ね掛けデバフで弱体化に弱体化を重ねて戦っていました。暗殺者さんが来てくれてもガンツさんがモンスターを圧倒していちゃうと逃げられてしまいますからね♪」


 「まぁ、お前が来て魔法を放った時から徐々にデバフは解除していったんだけどな」


 なるほど、試されてたわけですか……。というか怪しまれてたのね!!


 「それで頼みというのはほかでもありません。わたくしの護衛に加わっていただけないでしょうか?」


 「え??ガンツさん……というかチーム炎竜がいるのにですか??」


 「だからこそですよ。ガンツさんが近くにいると暗殺者さんが来てくれませんからね♪」


 それっていわゆるデコイじゃないですかー……。うーーん、私レベル1なんだけど……。無理したら死んじゃうんじゃないかなぁ??


 「大変言いにくいのですが、私、レベル1なので護衛を引き受けることはできません!!」


 「え?レベル1なのですか?装備はレベル相応ですが、窓から見ていた貴女の魔法の精度と威力はとてもレベル1のそれとは思えませんが?」


 「でも、事実なので……というか装備で察していらっしゃるみたいですし……すみませんがロミアに行きたいのでお断りさせていただければなぁと……」


 「なら水晶玉に一度でいいので触れるだけ触れてくれませんか?本当にレベル1か確かめるだけですので!お願いします♪」


 この国主様ぐいぐい来るなぁ……こんなキャラだったっけ……??それに水晶玉持ってるの!?あれってギルドでしか置いてなかったんだけどなぁ……。(ゲームでは)まぁ、それで納得してくれるならいいかなぁ。


 「わかりました。でも、本当に触れるだけですよ??ステータス低いのですぐにやられちゃいますから……。それとガンツさんは退出していただけるとありがたいです。無暗にステータスをさらけ出したくありませんので。」


 そう答えるとガンツさんはわかったと言って馬車から降りて、エリゼ様は満足した様子で水晶玉を取り出した。(何気に空間魔法を使って)って、この国主様超強いじゃん!!私絶対要らないって!!


 「では、お願いしますね♪」


 「は……はい……」


 そう言って私は水晶玉に触れた。すると……。


 【名前】リン ハルカゼ


 【性別】女性


 【年齢】15歳


 【種族】ヒューマン


 【ステータス】


Lv:3


 HP :15/17

 MP :180/363

STR:0 

 VIT:0

 DEX:0

 INT:30

 LUK:0


 振り忘れステータス:12(本人にしか見えない)

 

 【スキル】氷の魔法マスタリー:1(フリーズアローマスタリー:2)

 

 残りスキルポイント:2(本人にしか見えない)


 【装備品】ただのワンド


 レ、レベル上がってる……!!まぁ、誤差の範囲……誤差の範囲……だよね??


 「なるほど、本当に先ほどまでレベル1だったみたいですね。疑ってすみませんでした。ただ、なんですかこのステータス!?尖りすぎじゃないですか!?」


 え??極振りって珍しいのかな……??確かにゲームでも極振りは一部のプレイヤーのみで大体皆はHPやLUK、DEXとかにも振っていたけど……。ちなみにHPMPはレベルアップ時に一割増える(端数切捨て)以外は振って増やすか装備の補正で補う以外にはない。(ちなみに私はHPは気持ちだけ盛って他はINTをどれだけあげられるかといういわゆる火力厨だった。職業はヒーラーなのにHPを盛らずに回復量ばっかりあげてる変なやつっていうのが私に対する評価でしたが……。)


 「HPもVITもDEXもLUKも上げないなんて、攻撃してくださいって言っているようなものじゃないですか!回避も盾も何もないのに!」


 「いやぁ、そうなんですけどね……世界中の本が読みたくてINT以外に上げていないんですよね。ははは……」


 この世界でも私はどうやら廃人ゲーマーの時代の血が騒ぐんですなんて言えない……。ちなみに理由に挙げた本とはいわゆる魔導書と呼ばれるもので一定の素ステのINTが必要で、それを見ると色々な魔法を覚えられる便利なものなんだけど、装備のステが関係ないからブーストしたりして一時的に読める状態にする、というチート的なことができない。なので私の言っていることにも納得してもらえる……はず!!ゴリ押せ!!私!!


 「ま、まぁ、これでご納得いただけると思いますので辞退させていただきたく……。」


 するとエリゼ様は何を思ったのか一瞬考えこむ表情をして、はっと顔をあげた。


 「そ、そうだわ!貴女が法国に来てくれるならわたくしの秘蔵の魔導書を読ませてあげてもいいですよ?」


 むっ、法国秘蔵の魔導書と言えばヒーラーに関するものがすごく多いし、私としては願ったり叶ったりな条件だ……けど、そこまでして私を勧誘する目的が不明だから怖いなぁ……。表情に出ていたのか、エリゼ様は。


 「まぁ、警戒してしまいますよね。≪なぜ私なのかと≫それにはきちんとした理由があります。まず、5日前にさかのぼりますが、わたくし宛に神託が届きました。それによるとこの場所に5日後……つまりは今日訪れる女の子に会いなさいと。その子は絶対にわかるはずの特徴をしていると。それ自体には意味は見出せませんでしたが、暗殺者さんを出迎えるのにもちょうどいいかなと思い、出向くことにいたしました♪そして、何人かに会いましたがその方たちはいたって普通でした。装備からステータス何もかもが普通でした。が、リンさん、貴女は明らかにほかの方々とは違う。態度、明らかにおかしな魔法の錬度にステータスや装備、何もかもが違う。というのが理由では弱いでしょうか?」


 神託ってあのアンラ・マンユっていう神様からかな……??っていうか五日前とかまだ私死んでないよ!?勝手に決めないでよ!!まぁ、それ自体はいいけど、理由としては納得がいった。法国は神託という神官の職に就いている人だけが持つ特殊なスキルによって占いの精度が少し高いVerみたいなことができるけど、あれも神様(アンラ・マンユ様??)がゲームに介入した結果だったんだ……。


 私は観念したように


 「わかりました。お引き受けしますよぅ」と呟くとエリゼ様はにっこり微笑んで


 「これからよろしくお願いしますね♪」と言った。

感想お待ちしております。

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