ガリ勉ファンタジー奮闘記
チキンでガリ勉、誰よりも逃げ腰な主人公が異世界からの脱出の為に奮闘していくギャグとシリアス入り交じるドタバタファンタジーです!
そんな主人公に協力してくれる仲間達も個性の殴り合いのように暴れてます(笑)。
ゆったりと投稿していくのでご興味があれば見守ってあげてください!
1話 目が覚めたら異世界なんて
僕は端的に言うと、物凄く頭がいい。
別に嫌味とか自慢とかではなく、本当にそうなのだ。高校も当然学年一位の成績を収め、なんなら全国模試だって2位だ。
1位じゃないとかそういう細かい意見は却下するとして、僕は間違いなく『ガリ勉』に属している筈なのである。
何故そんな事を突然語り出しているのか。
それは僕の今の状況に起因する。
記憶が正しければ、僕は先程まで、某進学塾のワックスできれーいに磨かれた床を踏みしめ、人工的な蛍光灯の光に照らされていた。周りにはたくさんの塾生が勉学に励み、辺りをうろついていた筈だった。
だがどうだろうか。
今僕の前に広がっているのは、生い茂る草原、澄み切った青い空、そして。
「……人が誰もいない……」
自分以外誰も居ない、というありえなさすぎる景色
であった。
正直混乱して、今すぐにでも取り乱したい。
が、状況が状況故に逆に冷静になっている自分がいる。
ただ一つだけ言えることは、ここは間違いなく僕の知っている地球とは違うということだ。
だってそうじゃなきゃ、僕の目の前であんなすらいむみたいな物体がぶよんぶよん飛び跳ねている訳が無いのだから。
………すらいむ……?
「ぴゅぎゅ!」
ぷに。
「…ぷ、…ぷにってしたぁぁぁぁぁぁぁ!!
夢じゃないっ夢じゃないんだァァァ!!
ギャァァァァァァァ!!」
ほんとに、ほんとにやめて欲しいが急に近付いてきたすらいむのような物。それに触れた瞬間、抑えていたモノが色々弾け、僕は未だかつて無いスピードで全力疾走をした。
だって、だって気持ち悪いじゃないか…!!
なんだよぷにって…!!
そんな触感生き物で味わいたくないに決まっている。というか、アイツ生き物なのか!?
「ぴゃいぎゅあ!」
「ヒィっ来るな!!寄るな!!
追ってくるなぁァァァ!!!!」
僕の懇親の叫びも虚しく、容赦のないスピードで追ってくるすらいむ。正直もう息が続かない、あと10秒くらいで息切れをして倒れる。絶対に倒れる。50円ならかけてもいい。
(なんなんだよコレっ……!!目が覚めたらRPG世界とかっガリ勉な
んかが背負っていいイベントじゃないんだっての……!!)
そう、大分脱線したが冒頭に話を戻そう。
僕は『ガリ勉』であり、運動や勇気なんてものとはかけ離れた生活を送ってきたのである。
そんな体力筋力もやし野郎が、異世界に飛ばされて上手くやっていけるのか。否、そもそもに生き残れるのか。答えは簡単。
反論の余地なくNo。即死だ。なんなら秒でジ・エンドだと思う。
現に今、多分レベル的には4くらいなんだろうという序盤敵のすらいむにすら抵抗も出来ずに追われ、この儚い命を散らそうとしているのだ。あぁすらいむってどんな風に人殺すんだろうな。
…見たことも無いから分からないやぁ。取り敢えずベトベトは気持ち悪いので服とかに入り込んで中から殺しにかかるのだけはやめてください。僕はむさい男です。
むさい男なうえに貧弱です。
「…っはぁはぁっ…!!っ……?!」
「ぴゅぎゅぎゅぅ!」
「…はぁ……ここまでか…」
僕にしては頑張った方だ。目の前の巨大岩に行く手を阻まれるまでは、走るスピードを決して落とさなかった。半分諦めてはいたが、僕にもがむしゃらになれる精神はあったんだな…。
それでも振り切ることの出来なかったすらいむは、もう真後ろに迫っている。
攻撃できるものも手段もなく、正直もうお手上げとしか言いようのない。
「…はぁ………もう終わりだぁ…!
せめて、せめて全国入試で1位になってから
この命を終わらせたかったァ…!!もう誰でもいいから助けてく
れよ〜っ!」
「ぷぎゃぁぁ!!」
「ひぃはいっ騒いでごめんなさいすらいむ様
肩でもお揉みしましょうか肩あるのか分か
りませんが___……え…?」
攻撃的な鳴き声が響き、情けない事を言いながら土下座をかました瞬間だった。
覚悟したはずの衝撃が全く来ない。
ビクビクとしながら瞑っていた目を開くと、そこにはさっきのすらいむの姿はなく、代わりにそいつの粘液のようなモノが残っていた。
「ぼ、僕…助かった………?」
「……情けない 」
前言撤回。
残っていたのはすらいむの残骸だけではない。
そこに佇んでいたのは、巨大岩の上でこちらを軽蔑の眼差しで見下ろす、1人の少女だった。
主人公:笹木真那風
身長:167cm 体重:58kg
性格:ビビり 脆弱 逃げ腰
特技:勉強 速読 早口言葉