クールで冷淡に見える彼女。前編
作者の趣味をぶら下げただけです。
これはとある日の男女の話。
特別でもなんでもないどこかのだれかのお話。
「ねぇ、貴方。」
教室の掃除をしていた俺に声が掛けられる。聞いたことない声だ。長い黒髪と鋭い目がどこか威圧的な圧力を醸し出している。
「聞こえていないのかしら?そこで箒を非効率的に振り回している貴方よ。」
どうやら、彼女の声は俺に向いているようだ。
「何か用か?」
俺は落ち着いてそう答ようとする。しかし、彼女の物言わせぬ雰囲気が心臓を高鳴らせる。
「えぇ、貴方。このあと暇かしら、少しお話があるのだけれど。」
彼女は少し、ほんの少しではあるがふらつきながらそう答えた。
こんな言い方をされてしまえば多少の察しはつく。年頃の男なら誰でも思うはずだ。しかし俺は過去にそれで痛い目にあっている。これは俗に言う「嘘告」だと俺は読んだ。だから俺はあくまでも相手にとって屈辱となるよう嘘告白を回避してやろうと考えを巡らせ……
「貴方、冗談だと思っているわね?」
刹那。
彼女は唇を押し当てた。
執拗に、何度も何度も。最初に彼女に感じた冷たい雰囲気はどこかへ消え去ってしまうほどに甘い。求めるようなキス。
「おい、お前、何のつもりだよ!俺はお前を知らないんだぞ!」
驚きのあまり感情的な言葉が口から吐き出される。
すると彼女はまた冷淡なオーラを纏う。
「えぇ、知っているわ。貴方が私を知らないことなんてね。でも私は貴方の全てを知っている。好きな食べ物から、性的嗜好までね。」
この女、とんでもないことを言いやがった。
「貴方の部屋に『実録!!隣のクラスメイトのスカートの中』というAVがあることや、PCの中にある『人体の神秘』フォルダにいかがわしい画像があることもお見通しよ。」
恐ろしかった。確かに本当に親しい友人の数人はAVの存在は知っているし「人体の神秘フォルダ」の存在も知られている。
が。しかし。
自分が認知していないような今日会った女に、知られているはずなどない。
「もしかして……不思議に思っているのかしら?私の貴方についての知識量を……」
私は。貴方が好きだから。
「あなたに繋がることなら何だってするわ。恐喝、恫喝、脅迫?いいえ、それ以上の事だって。」
狂っていた。
彼女は。
だから……もし、もしもだけれど、貴方が私を受け入れないのなら……貴方をころ……いえ。貴方が私を認識するまで、貴方の周りの人達を消してあげる。これを妄言とするか脅しと取るかは貴方の自由よ?でもね、私はそれくらいあなたが好きだということには変わりないわ。
と、大それた事を言ってしまったわ。まだ本題を話していなかったわね。
「私は、貴方が好きよ。」
つづきはいつか絶対書きます