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4話「マグネットドライブ その1」

ここは町はずれの屋敷、ノドカ達はその門番のスペリィと戦闘していた。



「ノドカ! だ、大丈夫か!? 血が出てる!」



「大丈夫だ、手加減してくれたようで、傷は浅い……だが聞けスペリィ、俺たちも常人じゃない、お前と同じ……」



ノドカの言葉に、その大きな耳を向ける事はなく、遮って喋りだす。



「さて、口数が多いとまた怪我をするぞ? その口からかっ裂いてやろうか!」



ニヤリと笑って見せるスペリィ、瞳孔は開き、戦闘態勢そのものと言ったところだ。正面の敵、ノドカとウツリを見据え、先ほどの高速移動を繰り出そうと脚に力を込める。



「くっ……! やるしかないのか!」



「ノドカ! 次は避けないとだめだぞ!」



スペリィはそのまま調子のいい口調で高らかに喋り出す。強敵だ! 今の彼女は強敵のようなオーラを出している!



「無駄! 私の身体能力には追いつけな……! っうごわぁ!」



突如現れた生物がスペリィに突っ込み、彼女は吹き飛ばされた。正面は見れても横には視線が行かなかった様子である。



「なっ……魔物か!」



「門番真っ先にやられたぞ!」



スペリィを突き飛ばした魔物、その容姿は猪に近いものがあるが、全身に角が生えており体色も紫と、スペリィの容姿に負けるとも劣らない奇抜な容姿だった。

類は友を呼ぶとはこのことか、いやそんなことより鼻息を荒くしてノドカ達を睨みつけている、どうやら気分が優れないようで、興奮しているようだ。



「とりあえず今の魔物の攻撃で門番スペリィは気絶してくれたようだな……ウツリ、今はあの魔物を倒すのに専念だ!」



「おうっ! なぁノドカ! こいつを捌いたらタコライス作れるか!?」



「豚肉だから今日食べたものとはまた違う味になりそうだな。何より肉も紫色かもしれない」



「じゃあいらないや!」



相手が魔物なら心おきなくやりやすい、魔物は普通の動物とはまた違う、この世界に住む悪というべきか、生物のカテゴリに入るかも微妙な者たちだ。

一説だと魔術だとか、錬金術だとか、そこいらの呪術から生まれだした魔力の塊だとも言われている、こう言ってはアレだが、殺してもなんら罪にはならない。



「獣系の魔物の強みは、スタミナとタフさにある、耐久力は一から十まで様々だが……」



「わかった、わかったから! 一撃で仕留められるなんて思ってないから! こっちは如何に相手の攻撃を喰らわずに相手に致命傷を与えられるか……でしょ!?」



ノドカの助言……もというんちくを聞くのはもう飽きた、と言わんばかりの態度のウツリであったが、要点は理解していた。

そもそもウツリの武器である鎌が、広範囲に及ぶ上、金属であるため殺傷力も申し分無い、ほとんどの戦闘において優位を取れるであろう能力なので、ドジさえ踏まなければ勝てるのである。

そんな二人のやり取りをよそに、猪の魔物は全速力で突っ込んでくる。



「危なッ!」



思った以上の速度で焦ったが、間一髪でかわすウツリ、外れたのが分かった猪の魔物は、第二攻撃を仕掛けようと短い足で旋回するが、その瞬間は隙だらけだ。



「今だ!」



ウツリは全力で鎌を振り、伸びた刃は猪の魔物を深く切りつけた。ほぼ停止していた為、急所に当てることに成功し、猪の魔物は膝から崩れ落ち動かなくなった。



「よっしゃ! ノドカ私やっぱり強くなってるよな!」



「ああ、偉いぞウツリ」



「うぅっ、ノ、ノドカ」


ノドカはウツリの頭を撫で回す、今までこんなコミュニケーションは取ったことないが、ウツリの喜びようがいつも以上に子供っぽかったので、ついやってしまったと言った所だろう。ウツリはうつむきにやにやしている。



「驚いた……まさかそこの小娘も能力者だったとは、だがよろこぶのは、まだ早い……私が残ってるぞ!」



なにか背後から声がしたと思ったら先ほど跳ね飛ばされたスペリィだった。よたよたと立ち上がる彼女を見て、ノドカは口を開く。



「スペリィ、さっきお前は私より実力が無い人間は通したくないと言ったな。だがお前を倒した魔物をウツリが倒した、これはお前より実力があるってことにはならないか?」



「ぐぬぬ……口答えするなっての! しかもあれは魔物の不意打ちだったからやられただけだ! あだだ! くそ……足が痛くて走れそうに無い」



さっきのダメージはなかなかのものだったようだ、その時、ノドカ達の背後から何かが走ってきた。



「うわ猪! まだ倒しきれてなかった!」



「ウツリ危ない!」



ノドカはウツリを抱き寄せ、そのままウツリを押し倒す形で脇に飛び猪の魔物の突進を避けた。



「ちょっ! ま、また轢かれる!」



するとその直線上に居たスペリィに向かって突っ込んでいく魔物、避けたいスペリィだが足が痛み思うように動けない。

なんの活躍もせんまま二回も魔物に轢かれてしまうのだろうか!

……だが直後、猪の魔物の足が止まる、まるで熱した鉄板の上に居るかのように飛び跳ねて苦しみだしたのだ。



「ん!? 何が起こってるんだ……?」



ノドカのおどろきをよそに、お次は猪の魔物の体が炎に包まれた。みるみるうちに焼け焦げ、パチパチと音を立てながら絶命したようだ。



「スペリィ、私に用があるって言うならお通ししてあげてって言ってるでしょう? また門前払いしようとして……」



「ひぃ! ごめんなさい!」



いつの間にか門が開いており、この屋敷に住んでいるであろう女性が現れた。背中まで伸びた銀髪をなびかせ、左右非対称の服を着ている、にこやかに微笑み続けている。



「私に何か御用? そこの青年、あと、お嬢さん?」



「……まさかあなたが、リピスラズリ氏……?」



「そうよ、私が著者リピスラズリ、本名はレイカ バギーニャ。女性だとは思わなかった? 意外そうな顔をしてるけれど」



くすくすと笑いノドカの目を見つめる彼女、名はレイカ。会うべき人間に会えたノドカだが、彼女の瞳から何か漠然とした不安を感じられる気がした。しかし根拠がないので、気のせいだと思うことにしたのであった。

そしてノドカとウツリは、レイカという女に屋敷の中へと招かれた。



「うわぁ~! なんだぁ~こいつはぁ? 館の中はすっごく広いぞ!」



屋敷の中の広さ、豪華さに驚きを隠せないウツリ、一見裕福なつくりではあるのだが壁や地面、その殆どが金属で覆われて、頑丈なつくりとなっている。

地面を歩く足音が、鉄の音を大きく響かせていた。

で、驚くウツリを横目で見るや否や、大きな声で喋り出すのはレイカのアシスタントを自称する門番、スペリィ・ノイジィ。



「ふん、常人とはセンスがまた違うレイカ様のようなお方にはふさわしい屋敷だ!」



ノドカは軽くあしらう。



「そうか」



「ム、お前なにか? ほんのまぐれで私に有利取れた感じがしてるからって好い気になっちゃいないか!?」



スペリィがノドカの脛を蹴った、小突く程度だが。



「う!?」



ノドカはその拍子で持っていた本を落として、不運にもそれは、廊下脇にある地下へと続くのだろう階段の中へと落ちて行ってしまった。



「なにをするんだお前は……!」



少し間を置いて、本が地面に叩きつけられる音がした。ノドカは呆れ気味に、そしてムカツキ気味にスペリィに話しかける。



「……スペリィとか言ったか、ちょっと拾ってこい」



「ええ!? やだよ、蹴ったのは私だけど落としたのはお前だろ!」



ノドカからの頼みをややオーバーに断るスペリィ。演技かは知らないが、足を引きずるようすを見せ始めていやがる。



「あのな、私はさっき魔物に襲われた身だぞ? くぅ、良くなったと思ったのになんだか足が重くなってきたよ、こんな私に頼み事なんて残酷だとは思わんか?」



「こっちはお前に腹を軽く裂かれたんだがそれはどうなんだ」



「それは私の攻撃をよそ見してよけ損なったお前の過失だろ! 過失!」



「ならよそ見してケガしたのはお前も一緒だろう、その過失とやらは一緒になるんじゃないのか、分かったら拾ってこい」



「なんだあ貴様はあ~!? 抑揚の無いテンションで人の揚げ足を取ってるんじゃねーぞォ!」



ついには立ち止まって口論する二人、ウツリも立ち止まり、困り顔で様子を見ている。

一方、先頭を歩いていたレイカは、その口論のようすを見るや否や、クルッと旋回しノドカとスペリィのもとへ歩いてきた。



「こうるさいわよスペリィ……歩みを止めちゃあダメ、この二人を私の部屋に案内するためだもの……ノドカも、スペリィを相手にしちゃダメよ」



レイカという女はスペリィを軽く手で押しのけ、ノドカの目を見てにこやかに話し出す。

しかしこのレイカという女、いきなり押しかけてきたノドカ、ウツリを何の疑いもなく招き入れる。

彼女は何者なのだろうか、企みでもあるのか、父の知り合いなのか? ノドカは考えるが、口に出してしまってはウツリに嘘がバレる。



「ついてきて、本は後で拾えばいいわ」



レイカはまた振り向き直し、廊下を歩いていく。ノドカとウツリはそれに従い付いて行った。

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