13話「カーヴィスレッドのトウカ」
ここは町『マガディエ』
宿屋、飯屋、申し訳程度にこれらはあり、ノドカ達のような冒険者にとって充分とも言えた。
だが悠長に飯を食べ、宿でグースカ寝てる場合と違う、なぜならノドカ達三人はかなり急いでいるからだ。
この町に居るという人物、これから味方になるであろう人物「トウカ」という男が居るからだ!
そしてそのトウカを狙い、わるい能力者が迫ってきているともいうのだ、急ぐのだ、ノドカ御一行!
「レイカ様の情報によるとこの町にトウカは居るようだ……! 特徴は顔に蜘蛛の巣のようなイレズミ! 以上!」
「まずいな、この狭い町なら少し探せば見つかるかもしれないが、それはトウカを狙ってきた能力者の立場からしても同様。スペリィ、ウツリ、ここは一旦バラけて探した方が良い、敵の能力者またはトウカを見つけたら各自知らせてくれ!」
ノドカの発案、三手に別れて探そう作戦。
見つけた奴が大声で知らせる、単純かつ合理的な作戦、各自散ってトウカを探しだす!
「じゃあノドカ! 私はこっちの商店街を探すよ! 私の鉄能力ならなんとかして知らせられそうだし……みんな気をつけてね!」
「頼んだぞ! あと敵は女だ、女には多少警戒しろ! 俺は裏路地を探そう、スペリィは中央広場付近を探索してくれ」
「おうよ任せい!」
「敵の挑発に乗るなよ」
「やかましィ~! 余計なお世話だコラァ!」
そして綺麗に各自解散……とここで早くもアクションを起こしたのはウツリ。
商店街にてトウカらしき人物を発見! 顔に蜘蛛の巣のイレズミ、案外一目見ると印象強い特徴だ。
「あ! あ、あのあ、あのー!」
ウツリは自覚していなかったが、彼女はものすごい人見知りだった!
ノドカや親しい人以外の、面識ない人に話しかけるなんて初の試みだ。なんで言葉が思うように出ないのか分からない、でも声をかけたからには話し通さなくては!
「ん? 俺に何か用?」
「えーっと……トウカさんでよろし、いですか!?」
「……そうだけど? どこで俺の名前を」
ご名答、トウカという人物で間違いはないようだ、レイカの心強い協力者である能力者。
ベージュ色のコートに身を包み、ハットを被った男、述べた通り顔には蜘蛛の巣のイレズミ。
「レイカっていう人から、合流しろって言われたんす! です!」
「あ、そうかそういうことか、レイカのアレか……聞いているよ、君がノドカ? 思ったより可愛いな」
「え!? あ、いや私はウツリ、ノドカは別の所に居るんです、今呼びますから!」
無事にトウカと合流に成功、ウツリは作戦通りノドカとスペリィに自分の居場所を知らせようと、自分が持つ大鎌を地面に突き立てる。
そのまま力を加え真上方向に鉄の刃をグングン伸ばす! アドバルーン的方法でノドカ達に自身の居場所を知らせようという感じだ!
「おお、君は能力者か、すげぇ、最近は大鎌の刃が伸びたりするんだな。レイカから聞いていたけど実際見ると凄いな、ところでこの雨も君の能力かい?」
「雨? 空に雲ひとつ無いのに雨なんてそんなわけ……」
ウツリは気づいて居なかったが、パラパラと頭上から砂のような物が降ってきていた。
なんだこれは、竜巻が起こったわけでもないし風が強いって事もない、この真っ黒い砂の群は一体……!
「さ、砂鉄だ……ノドカだ、ノドカからの合図だ! 敵と遭遇したんだ、行かなきゃ!」
「ま、待て待て可愛いウツリさん、状況が読めない、敵とはなんだ? この町に居るのか、君たち能力者が認識する敵ってことはその敵も能力者かい?」
「そうです、レイカさんからの使命を邪魔しようとする能力者が居るんですよ。分かることは、そいつが女で、性格が乱暴ってことだけ、私達はトウカさんを守るために急いでここにやってきたんです」
「ほぉ、それはご苦労様だったね、じゃあ急ごうかノドカとやらの元に。俺も微力ながら協力させてもらおう、うん」
「え、トウカさんも戦えるんですか?」
「結構いけますね」
「なんで敬語?」
そんなやりとりをしつつノドカの方へ向かうウツリとトウカ。
トウカを狙う能力者をどうにかしなくてはノドカ一行に安心は訪れない。
「ぐあばああああ!」
っとここでウツリが盛大にこけた! 大鎌持って走るからこうなる!
「大丈夫か!?」
「大丈夫……いやスカート破けた……トウカさんはノドカをお願いします! すぐ追いかけますから! 黒髪でメガネ、白い服! それがノドカですお願いします!」
「破けたスカートを拝んでおきたいが敵の相手をするのが優先だな! ……丁度手持ちに糸がある! これを使ってスカートをどうにかしておいてくれ!」
トウカは懐から糸の塊と針を取り出し、ウツリに投げ渡す、そして全速力でノドカの居る場所まで走る走る!
そんな中、曲がり道に差し掛かった瞬間謎の人影が!
ソイツも走ってやってきた、異常な肌の露出、否が応でも女だと分かるそいつ。ぶつかりそうになる寸前で両者身を仰け反らせなんとか衝突を回避する。
「うおっほぉ! なんだお前危ないなァ! あたし急いでんだ、悪いな! ん? お前その顔の蜘蛛の巣のイレズミ、トウカか!?」
「なぜ俺の名を、誰だ君は、名乗れ巨乳娘」
「結構偉そうな口調だな、はは~ん、私というライバル出現に焦っているわけだ。何を隠そう私はレイカ様の嫁だからな! お前みたいな奴にレイカ様の味方は務まらんぜ!」
「何言ってんだこいつ、お前もしかして俺に用があるって敵か? 能力者か?」
「そうそう能力者、だが安心しな、あたし達はあんたを守り……」
セリフを言い切る前に、トウカは腕を大きく振り動かし「なにか」をした。
「能力」を使ったのだろう、そうに違いない、現に次の瞬間。
「うぉわぁぁ、な、なんだ何をした!?」
スペリィは全身をぐるぐる巻きにされ縛られ、哀れにも地面に倒れ伏せてしまった。
行動不能、それが今のスペリィにはあった。
「丸腰で糸を切れる道具もなし、詰んだなお前、まぁ教えておいてやろう女の能力者、俺の能力、名は「カーヴィスレッド」その特性は糸だ、俺は糸を全身どこからでも出せる糸マンだ」
「やめろぉ何するんだ! あたしはレイカ様の命令であんたと合流しにきたんだよ! 女の乱暴な能力者があんたを狙ってるって話だからさぁ! 分かれよトウカ!」
「えっそうだったの?」
相手を速攻で捕らえ能力の説明までしたのに誤爆だったとは、ちょっとミスったな、やっちまった感があるな、ごめん。
そう思いつつ、周りをキョロキョロしつつスペリィをどーしよーかと悩む。
「爪クロー!」
スペリィはあっさりトウカの糸を切って脱出した。
「あれっ? お前いつの間に爪が伸びたんだ?
さっきまで生えてなかったろそんな長い爪」
「こっちも説明してやる! あたしの能力は気配を消す能力! 爪の気配を消していた、だからあんたは爪が見えていても、認識が出来なかったわけだ」
「はぇ~、必要ないであろう説明をありがとう」
「ブーメラン発言だな、あんたみたいに名前を付けるならそうだな……えーと「ロー・エグジスタンス」ってとこだな、どやっ」
「翻訳すると薄い存在感……よわそうだなぁ」
「お前のソレだって「曲がってる糸」でクソださいだろ! いい加減にしろ!」
「うるさいな痴女! 和訳して勝った気になってんじゃねー!」
「ブーメランだろそれも!」
そんな夫婦漫才を繰り広げる彼らに迫り来る男性がひとり。
黒い髪で白い服、メガネ、おやどこかで聞いた特徴だ。
いやノドカだ、まさしくノドカ、だが様子がおかしい、ふらふら歩いているし、目も虚ろだ。
「あ、ノドカ! 無事だったか良かった! このスペリィ様がトウカを見つけておいてやったぞ(口喧嘩に夢中で忘れてた)」
「俺は、誰なんだ」
「は?」
「ここは、どこなんだっけ、確かお前は、スペリィ? スペリィとは、どんな人物だったか、味方か、トウカって誰だ……」
「お、おいおいノドカ何言ってんだ? なんか様子が変だぞ? トウカって奴はここに居る、合流したから大丈夫だ」
様子がおかしいノドカに、少し焦るスペリィ。そんな二人の様子を見て、トウカが一言。
「敵の能力にハマったか、錯乱してるな、戦闘不能か。無能力者でも殺せるな、今のこのノドカは」
「ノドカ? ノドカって俺か、俺の名前はノドカというのか?」
「おいおいノドカ嘘だろ記憶喪失!? なんでだよどうしたんだよ!」
「巨乳痴女のスペリィ落ち着け、ノドカは放って置いて、向こうを見ろ向こうを」
「二つ名みたいに呼ぶんじゃねえ! ん? なんだあの怪しい女……」
二人の目線の先、数メートル先、少し歩けば届く先。
そこに女が立っていた、黒髪で黒タイツ、顔に三角の模様が三つ入った女。こちらをジッと見ている。
「トウカ……こっちに来なさい、痛くしないから
少しお話しましょう、楽しいお話、ほんの少しのチャットタイム」
感情が一切篭ってないような、だが高い声の誘い声。
あいつが敵なのは間違いない、だが能力は未知、
キ ャ ラ ク タ ー 紹 介
トウカ・マゼンタペッシュ
糸を放ち操る能力「カーヴィスレッド」




